鳥取城の産土神として崇敬された社

長田神社は、鳥取県鳥取市東町一丁目にある神社で、天文14年(1545年)の鳥取城築城に際して城外へ遷されたと伝わり、境内の本殿・幣拝殿・中門・透塀・神饌所(仮殿)・神門・祈祷殿・手水舎の8件が平成30年(2018年)11月2日に国の登録有形文化財に登録された。神社は自らを「鳥取城内産神」と称し、「鳥取の総氏神」とも呼ばれる。兵庫県神戸市長田区の長田神社とは別の神社である。

祭神は事代主神・猿田彦神・誉田別尊・菅原道真命の4柱である。鳥取縣神社廳の資料では旧社格を県社とし、例祭は5月9日と記す。

創祀の年代ははっきりしない。神社の由緒書きによると、もとは鳥取の産土神として久松山の山麓に祀られていた。天文14年、布勢の城主だった山名誠通が久松山に城を築いたとき、社は城外東南の千騎ヶ崎の背尾へ遷され、以後、山名・吉川・宮部・池田と続く歴代の城主が崇敬した。

慶安3年(1650年)、鳥取東照宮(当時の樗谿神社)が創祀されると、長田神社は上町へ移る。享保5年(1720年)の大火で類焼し、元文6年(1741年)に藩主池田宗泰のもとで社殿が造営されたと神社は伝える。明治元年(1868年)に長田神社と改称した。

大正13年の移転遷座と社殿の造営

いまの境内は、大正時代の移転で整えられたものである。大正7年(1918年)、鳥取県知事の佐竹義文が遷座を提唱し、知事と社掌らが候補地を見て回った末に、第二の鎮座地に近い現社地が選ばれた。国有林と用水溜池だった土地で、境内の御神池はその溜池の名残だと神社は説明している。

設計と監理には、奈良県で社寺建築を担当していた技師の坂谷良之進が招かれた。大正13年(1924年)12月1日に移転遷座祭が行われ、上町の旧社地から本殿・幣拝殿・神饌所(仮殿)が移築され、中門がこのとき新築された。

その後も境内の整備は続く。文化庁の記録では、手水舎が昭和4年(1929年)、透塀が昭和7年(1932年)、神門が昭和10年(1935年)、祈祷殿が昭和34年(1959年)の建築である。透塀と手水舎の上屋は大村久兵衛、神門は上田喜太郎の奉納だと神社は記録している。

令和6年(2024年)に移転遷座から100年を迎え、神社は奉祝事業として本殿・幣殿・透塀などの改修工事を進めていると案内している。

登録有形文化財8件の配置と歩く順序

長田神社の登録有形文化財8件は、登録番号31-0246から31-0253までの連番で、第91回の登録としてそろって登録された。登録の前には、平成30年(2018年)7月20日に文化審議会が文部科学大臣へ答申している。

登録基準は2つに分かれる。本殿だけが「造形の規範となっているもの」、残る7件は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。鳥取県は、本殿の前に幣拝殿を置いて中門で結び、本殿の周りを透塀で囲み、さらに神門などを配した構成が、境内の森厳な景観をつくっていると評価している。

社殿はすべて西を正面にしている。西から参道を進むと、まず神門の手前で祈祷殿と手水舎が参道を挟んで向かい合う。神門をくぐった先に幣拝殿が建ち、その背後、透塀の正面中央に中門がある。中門の奥、境内のいちばん奥に本殿が西面して建ち、本殿の北側には神饌所が南を向いて控える。

規模を並べると、建築面積は祈祷殿が46平方メートル、幣拝殿が41平方メートル、神饌所が25平方メートル、本殿が17平方メートル、手水舎が7.0平方メートルである。門は神門が間口3.3メートル、中門が間口2.4メートル、透塀は延長41メートルにおよぶ。

建築年代の食い違いにも触れておく。本殿と幣拝殿について、文化庁のデータベースは江戸後期(1751年から1830年の幅)としている。神社は元文6年(1741年)の竣工とし、鳥取縣神社廳の由緒は天明8年(1788年)に現在の本殿を建てたと記す。透塀と神饌所も、神社の記す年と文化庁の年が1年ずれている。本サイトでは年代を文化庁の記載に合わせ、各棟のページで異説を併記した。

長田神社への行き方と参拝

長田神社は鳥取城跡(久松公園)の南側に接している。JR鳥取駅からは日ノ丸バスで「久松公園前」まで行き、歩いて3分ほどと神社は案内している。鳥取市の観光サイトは、100円循環バス「くる梨」緑コースの「市立武道館」から徒歩約7分、または路線バスで約5分の「県庁日赤前」から徒歩約10分という経路も挙げている。

車の場合、神社の案内では鳥取ICから約10分である。境内には参拝者用の駐車場があるが、正月は安全のため駐車を控えるよう求めている。

境内への参拝は自由で、参拝の記念撮影もできる。ただし祈祷や挙式の最中は神職の指示に従う必要がある。登録された8件はいずれも祭祀に使われている建物で、鳥取県の案内では内部非公開となっている。社殿の中に入れるのは、社務所で祈祷を申し込み、拝殿に昇殿する場合に限られる。社務所は祭典などで不在のこともあるため、祈祷を受けたい場合は事前に電話で確かめたい。

年中行事で大きいのは、5月8日の夕祭と9日の本祭からなる例大祭・勧学祭である。棟ごとの見どころと見学の条件は、各棟のページにまとめた。

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):長田神社本殿
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00012612
国指定文化財等データベース(文化庁):長田神社幣拝殿
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00012613
国指定文化財等データベース(文化庁):長田神社中門
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00012614
国指定文化財等データベース(文化庁):長田神社透塀
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00012615
国指定文化財等データベース(文化庁):長田神社神饌所(仮殿)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00012616
国指定文化財等データベース(文化庁):長田神社神門
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00012617
国指定文化財等データベース(文化庁):長田神社祈祷殿
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00012618
国指定文化財等データベース(文化庁):長田神社手水舎
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00012619
とっとり文化財ナビ(鳥取県):長田神社 本殿、幣拝殿、中門、透塀、神饌所(仮殿)、神門、祈祷殿、手水舎
https://db.pref.tottori.jp/bunkazainavi.nsf/bunkazai_web_view/F53F5C5816EFF4684925837F00276C48?OpenDocument
鳥取県教育委員会:県内文化財の新規国登録について(平成30年8月17日)
https://www.pref.tottori.lg.jp/secure/1135880/83008houkokuku.pdf
鳥取縣神社廳:長田神社
https://tottori-jinjacho.jp/pages/105/
長田神社:由緒書き
https://nagatajinja.com/history
長田神社:アクセス
https://nagatajinja.com/access
長田神社:よくある質問
https://nagatajinja.com/faq
長田神社:ご祈祷案内
https://nagatajinja.com/prayers
長田神社:年間行事
https://nagatajinja.com/events
鳥取市観光サイト:長田神社
https://www.torican.jp/spot/detail_1148.html

最終更新日: 2026.09.29

基本情報

名称長田神社(鳥取市)
所在地鳥取県鳥取市東町一丁目101
所有者宗教法人長田神社
指定登録有形文化財 8件
座標35.50524, 134.24063