坂部家住宅乾蔵とは
坂部家住宅乾蔵は、和歌山県和歌山市府中の坂部家の屋敷の北西隅に建つ明治前期(1868〜1882年)の土蔵で、平成27年(2015年)に登録有形文化財に登録された。
名前の「乾(いぬい)」は、十二支で表す方角のうち北西を指す語である。坂部家住宅乾蔵は、その名のとおり屋敷の北西の角に建つ。土蔵造の2階建で建築面積は20㎡、およそ6坪の広さになる。棟を南北に通した切妻造で、妻側が北と南を向く。
屋根は置屋根の形式で、本瓦葺とする。外壁は漆喰塗りで、腰には板を縦に張る。和歌山県の紹介によれば、壁は白漆喰で仕上げ、窓の庇まわりまで漆喰で丁寧に塗り込めており、戸口は東面にあけている。
坂部家住宅乾蔵が登録された理由
坂部家住宅乾蔵の登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁の解説は、坂部家住宅乾蔵が角地に建ち、農村部の歴史的な景観をつくっていることを理由に挙げる。
屋敷の角に立つ蔵は、外を通る人の目にまず入る建物になる。白い漆喰の壁と本瓦の切妻屋根が角で高く立ち上がることで、塀や垣根だけでは生まれない、旧家の屋敷らしい輪郭が外からも分かる。
用途も伝わっている。坂部家住宅乾蔵はもともと家財道具を納める蔵で、2階には食器類がしまわれていたと文化庁は記している。1階に何を納めていたかまでは解説に書かれていない。
坂部家住宅乾蔵の見どころ
置屋根は、土で厚く塗り固めた蔵の本体の上に、別に組んだ瓦屋根を載せる造り方である。本体と屋根の間に空気の層ができ、夏の日射しや火の粉から中を守る工夫とされる。坂部家住宅乾蔵でも、軒下を見上げて、壁の上端と屋根の取り合いがどうなっているかを確かめたい。
腰の竪板張も見ておきたい。漆喰の壁は雨のはね返りに弱いため、地面に近い部分を板で覆って守ることが多い。坂部家住宅乾蔵では板を縦に張っており、白い壁の下に木の帯が回る。
窓まわりの仕上げにも注目したい。和歌山県は、窓の庇の周囲まで漆喰で丁寧に仕上げていると評している。小さな蔵でも、開口部の細部に左官の手間がかけられている。
坂部家住宅乾蔵の見学
坂部家住宅乾蔵は個人の屋敷の蔵で、内部は公開されていない。一方で敷地の北西の角地に建つため、屋敷の4棟のなかでは外から姿をとらえやすい建物だと考えられる。
眺めるときは敷地に入らず、道路から外観を見るにとどめたい。南北棟なので長い壁は東と西を向き、西側の壁は午後に日を受ける。撮影も道路からの外観に限ってほしい。屋敷への行き方は坂部家住宅のページにある。
Q&A
- 坂部家住宅乾蔵の「乾」とはどういう意味ですか?
- 方角の北西を表す語です。蔵が屋敷の北西隅に建つことに由来する呼び名と考えられます。
- 坂部家住宅乾蔵はいつ建てられましたか?
- 文化庁の示す年代は明治前期(1868〜1882年)です。
- 坂部家住宅乾蔵は何に使われていた蔵ですか?
- 家財道具を納める蔵で、2階には食器類が保管されていたと文化庁は記しています。
- 坂部家住宅乾蔵の構造の特徴は?
- 土蔵造2階建、南北棟の切妻造で、置屋根形式の本瓦葺です。外壁は漆喰塗りで、腰は竪板張とし、戸口は東面にあります。
- 坂部家住宅乾蔵は見学できますか?
- 内部は非公開です。屋敷の北西の角地に建つため、敷地の外の道路から外観を見ることになります。
基本情報
| 名称 | 坂部家住宅乾蔵 |
|---|---|
| 所在地 | 和歌山県和歌山市府中875 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 2015年3月26日(平成27年)登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 建築面積20㎡ |
| 所有者 | 個人(和歌山県の文化財紹介による。文化庁データベースに所有者名の記載なし) |
| 公開状況 | 内部非公開(外観は敷地の外の道路から) |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁)坂部家住宅乾蔵
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010490
- 文化遺産オンライン 坂部家住宅乾蔵
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/234218
- わかやまの文化財(和歌山県教育庁文化遺産課)坂部家住宅(離座敷・乾蔵・門長屋)
- https://wakayama-bunkazai.jp/bunkazai/bunkazai-spot-889/
- 和歌山県教育委員会 国登録有形文化財(一覧)
- https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/500700/mokuroku/d00155458.html
最終更新日: 2026.10.06