鳥海山大物忌神社吹浦口ノ宮本殿とは

鳥海山大物忌神社吹浦口ノ宮本殿は、山形県飽海郡遊佐町吹浦にある宝永8年(1711年)頃の一間社流造の社殿で、平成24年(2012年)に登録有形文化財となった。

境内のいちばん奥、岡の南斜面を上りきった最上段に南を向いて建ち、主祭神の大物忌神を祀る。すぐ西隣には同じ規模の摂社月山神社本殿があり、正面から見て右が鳥海山大物忌神社吹浦口ノ宮本殿、左が月山神社本殿という並びになる。

木造平屋建で、屋根は銅板葺、建築面積は16平方メートル。文化庁の国指定文化財等データベースは年代を宝永8年頃とし、昭和38年(1963年)の改修を併記している。

前身の社殿は宝永3年(1706年)正月の火災で焼けた。遊佐町と鶴岡市の資料は、現在の本殿を庄内藩主の酒井家が宝永8年に再建したと伝えている。

鳥海山大物忌神社吹浦口ノ宮本殿が登録された理由

鳥海山大物忌神社吹浦口ノ宮本殿の登録基準は「造形の規範となっているもの」である。吹浦口ノ宮で登録された6件のうち、この基準によるのは鳥海山大物忌神社吹浦口ノ宮本殿と摂社月山神社本殿の2棟だけで、残る4件は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録された。

評価の中心は細部の組み立てにある。身舎(もや)は円柱の上に連三斗を組み、柱と柱の間には中備として蟇股を飾る。規模は一間社という小さな形式ながら、組物と彫刻を省略せずに備えている。

とくに文化庁が特異な形式と書くのが妻飾である。側面の三角形の部分を見ると、虹梁の上に巻斗と通肘木を2段に積み重ね、その上に笈形を添えた大瓶束を立てている。大瓶束だけで棟を受ける一般的な構成に比べ、段数が多く、縦に伸びた印象を与える。

鳥海山大物忌神社吹浦口ノ宮本殿の見どころ

鳥海山大物忌神社吹浦口ノ宮本殿を見るときは、まず隣の月山神社本殿と見比べたい。遊佐町の案内によれば、2棟は彫刻と脇障子の絵柄を除けば、形も大きさもまったく同じ一間社流造である。違いは細部にしか現れないので、並んだ2棟の同じ場所を交互に見ていくと差が分かりやすい。

注目したいのは3か所。正面の向拝に入る蟇股の彫刻、身舎の左右に立つ脇障子の板絵、そして前述の妻飾である。遊佐町の案内では、向拝の蟇股彫刻と脇障子板絵が本殿の見どころとして写真付きで紹介されている。

年に一度、鳥海山大物忌神社吹浦口ノ宮本殿の前が舞台になる日がある。5月4日の例大祭宵祭で、吹浦田楽の花笠舞が大物忌神と月山神の2棟の前で奉納される。山吹や八重桜の生花で飾った花笠が本殿の前で舞うのは、この夜だけである。

鳥海山大物忌神社吹浦口ノ宮本殿の見学方法

鳥海山大物忌神社吹浦口ノ宮本殿は玉垣と中門に囲まれた神域の内側にあり、立ち入りも内部の拝観もできない。参拝者は下段の拝殿の前で拝むことになり、本殿はその奥の高い位置にある。

外観を確かめるなら、石段を上って拝殿の前まで進み、玉垣の外から見ることになる。妻飾は側面にあるので、正面だけでなく横からの見え方にも気を配りたい。

撮影について神社の公式な案内は確認できなかった。祭事や祈祷の最中は控え、判断に迷うときは授与所で尋ねるのが確実である。境内への行き方と参拝の条件は、鳥海山大物忌神社吹浦口ノ宮のページにまとめてある。

Q&A

Q鳥海山大物忌神社吹浦口ノ宮本殿はいつ建てられたのですか?
A文化庁のデータベースでは宝永8年(1711年)頃の建築で、昭和38年(1963年)に改修されています。宝永3年(1706年)の火災のあと、庄内藩主の酒井家が再建したと伝わります。
Q鳥海山大物忌神社吹浦口ノ宮本殿の中に入ったり、近くで見たりできますか?
A鳥海山大物忌神社吹浦口ノ宮本殿は玉垣の内側にあり、立ち入りや内部の拝観はできません。拝殿の前まで石段を上り、玉垣の外から外観を見ることになります。
Q鳥海山大物忌神社吹浦口ノ宮本殿はなぜ登録有形文化財になったのですか?
A「造形の規範となっているもの」という基準で、平成24年(2012年)に登録されました。円柱に連三斗を組み、蟇股を飾る丁寧な造りと、虹梁の上に巻斗と通肘木を2段重ねて笈形付きの大瓶束を立てる珍しい妻飾が評価されています。
Q鳥海山大物忌神社吹浦口ノ宮本殿と摂社月山神社本殿は何が違うのですか?
A2棟は同じ規模・同じ形式の一間社流造で、違いは彫刻と脇障子の絵柄などの細部です。正面から見て右が大物忌神を祀る本殿、左が月山神を祀る月山神社本殿です。
Q鳥海山大物忌神社吹浦口ノ宮本殿を訪ねるのにおすすめの日はありますか?
A5月4日の例大祭宵祭では、鳥海山大物忌神社吹浦口ノ宮本殿と月山神社本殿の前で吹浦田楽の花笠舞が奉納されます。日程や時間は変わることがあるので、事前に神社へ確認してください。

基本情報

名称鳥海山大物忌神社吹浦口ノ宮本殿
所在地山形県飽海郡遊佐町吹浦字布倉1
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成24年(2012年)
員数1棟
寸法木造平屋建、銅板葺、建築面積16㎡
所有者宗教法人鳥海山大物忌神社
公開状況境内は参拝自由、社殿内部は非公開

参考文献

鳥海山大物忌神社吹浦口ノ宮本殿(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009122
鳥海山大物忌神社吹浦口ノ宮本殿(文化遺産オンライン)
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/210295
史跡鳥海山案内 PDF(遊佐町教育課)
https://www.town.yuza.yamagata.jp/uploads/public/archive_0000003229_00/%E3%80%90PDF%E3%80%91%E5%8F%B2%E8%B7%A1%E9%B3%A5%E6%B5%B7%E5%B1%B1%E6%A1%88%E5%86%85.pdf
鳥海山大物忌神社 吹浦口ノ宮(鶴岡市 酒井家ゆかりの地)
https://www.city.tsuruoka.lg.jp/static/sakai400th/yukarinochi/oomonoimi-f.html
祭事(鳥海山大物忌神社)
https://oomonoimijinja.verse.jp/saiji.html

最終更新日: 2026.09.16