中沢川東山堰堤とは

中沢川東山堰堤は、山形県尾花沢市大字押切の中沢川上流に大正5年(1916年)から大正9年(1920年)にかけて築かれた石造の砂防堰堤で、平成22年(2010年)1月15日に登録有形文化財(建造物)として登録された。読みは「なかざわがわひがしやまえんてい」。

中沢川は最上川水系丹生川の支流で、山形県によれば流域面積約11.7平方キロメートル、流路延長約8.2キロメートル、平均の渓床勾配が約10.6分の1という急流である。東山堰堤はその上流の狭窄部、川が湾曲して流れる場所に築かれた。

規模は堤長12メートル、堤高2.4メートル。石を練積にした重力式の堰堤で、右岸の上流側には空積の護岸が付く。

登録の理由と価値

大正2年(1913年)、中沢川を含む丹生川流域を豪雨が襲い、多くの山腹崩壊が起きて沿川に大きな洪水被害が出た。山形県の砂防事業は、この水害などをきっかけに大正5年(1916年)に始まっている。中沢川東山堰堤は、その県営事業で最初に築かれた近代砂防施設の一つで、文化庁も「県内初の県営事業による近代砂防施設」と位置づけている。

中沢川では東山堰堤を含む4基の砂防堰堤が同じ日に登録された。山形県は、練積の石造堰堤を空積の石積護岸と組み合わせて下流への土砂流出を防ぐ構成が全国的にも初期の事例であり、築造から90年以上を経ても機能を果たしていると説明している。

登録番号は06-0115。登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。

見どころ

湾曲部で土石流を受ける配置

中沢川東山堰堤は、川が曲がりながら流れる狭い谷に置かれている。湾曲して下ってくる土石流を、堰堤本体と右岸上流側の護岸がいっしょに受け止める。堰堤だけでなく、川の曲がりと護岸を含めた配置そのものが砂防の仕組みになっている。

練積と空積の使い分け

堰堤の本体は、石の間をモルタルなどで固める練積で築かれた重力式である。これに対して護岸は、石だけを組み上げる空積とする。水と土砂を正面から受ける堤体は固め、斜面を守る護岸は石積みのまま残す、という使い分けが見て取れる。

下流に続く堰堤群

東山堰堤の180メートル下流に崩上流堰堤、その70メートル下流に崩下流堰堤、さらに420メートル下流に河原沢堰堤が続く。いずれも大正期の練積の石造堰堤で、低い堰堤を段々に連ねて急な河床を緩め、川筋を安定させている。最下流部には、大正9年(1920年)建立の宮澤砂防記念碑が立つ。東山堰堤は、この連なりの最も上流にあたる。

見学方法

中沢川東山堰堤は山間の渓流に築かれた現役の砂防施設である。山形県・尾花沢市の公開資料には、見学のための駐車場や遊歩道、公開日の案内は見当たらない。所在地は尾花沢市大字押切字柳平で、訪れる場合は河川内や堤体に立ち入らず、周囲から見るにとどめたい。

尾花沢市は日本有数の豪雪地域で、山形県によれば平野部でも積雪が2メートルを超えることがある。冬の山間部は近づけないものと考えたほうがよい。

Q&A

Q中沢川東山堰堤はいつ、なぜ造られたのですか。
A大正2年(1913年)の丹生川流域の水害をきっかけに山形県の砂防事業が始まり、大正5年(1916年)から大正9年(1920年)にかけて築かれました。県内初の県営事業による近代砂防施設の一つです。
Q中沢川東山堰堤の大きさと構造は。
A堤長12メートル、堤高2.4メートルの、練積による重力式の石造堰堤です。右岸の上流側に空積の護岸が付きます。
Q中沢川東山堰堤はいつ登録有形文化財になりましたか。
A平成22年(2010年)1月15日に、中沢川のほかの3基の堰堤とともに登録されました。登録番号は06-0115です。
Q中沢川東山堰堤のほかに登録されている堰堤はありますか。
Aあります。下流に崩上流堰堤、崩下流堰堤、河原沢堰堤が続き、4基とも登録有形文化財です。東山堰堤はその最上流にあたります。
Q中沢川東山堰堤は見学できますか。
A山間の渓流にある現役の砂防施設で、見学用の駐車場や遊歩道などの案内は公開資料に見当たりません。訪れる場合は河川内や堤体に立ち入らず、周囲から見るにとどめてください。冬は豪雪のため近づけないと考えてください。

基本情報

名称中沢川東山堰堤(なかざわがわひがしやまえんてい)
所在地山形県尾花沢市大字押切字柳平
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成22年(2010年)1月15日登録
員数1基
寸法重力式石造堰堤、堤長12メートル、堤高2.4メートル、護岸付
所有者記載なし(山形県の県営砂防事業で築造)
公開状況屋外の砂防施設。見学の案内なし

参考文献

国指定文化財等データベース 中沢川東山堰堤(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00007953
文化遺産オンライン 中沢川東山堰堤(文化庁)
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/204016
登録有形文化財登録 中沢川砂防施設(山形県)
https://www200.pref.yamagata.jp/documents/4123/nakazawagawa.pdf
尾花沢市の文化財(尾花沢市)
https://www.city.obanazawa.yamagata.jp/kosodate-bunka/rekishi-bunka/bunkazai-iseki/566

最終更新日: 2026.10.01