練積とは

練積は、石やコンクリートブロックを積むとき、石と石のあいだの目地や背後の裏込めにモルタルやコンクリートを詰め、全体を一体に固める積み方である。「練石積」とも書く。これに対して、接着材を使わず、石の組み合わせと裏込めの栗石だけで安定させる積み方を空積という。

練積は、水の流れや土圧を受ける土木構造物に多く用いられる。石の隙間から水が抜けにくく、石が一つずつ動くことも防げるため、流水を受ける砂防堰堤や護岸、高さのある擁壁に向く。反対に、背後の水を抜きにくいので、堤体に水抜きの穴を設けることが多い。

練積と空積の別は、石をどう接合するかの区別であり、石をどんな模様に積むかとは別の軸である。谷積は石を斜めに落とし込む積み方、布積は横目地を通して水平に積む積み方で、どちらも練積にも空積にもなりうる。記録の「谷積重力式練積堰堤」は、谷積の模様で、練積によって一体に固め、重力式の構造で水を受ける堰堤、と三つの要素に分けて読むことができる。

記録と実物で見分ける手がかり

砂防堰堤の記録では、形式の中に練積の語が入ることが多い。鳥取県の正法寺川の石堰堤群は、狸沢第一号から南沢の各号まで、いずれも谷積の重力式練積堰堤と記され、上流側と下流側の法勾配の違いや、水抜穴の形が添えられている。新潟県の万内川十三号堰堤も重力式練積堰堤と書かれる。法勾配の「2分」「3分」は、高さ1に対する水平の出を示す割合で、堤体の断面の形を表す。

現地では、石と石のあいだの目地を見る。目地がモルタルで埋められ、表面に細い線状の目地が見えれば練積である。石どうしが直接かみ合い、隙間に小石が詰まっているだけなら空積と考えてよい。ただし、空積の石垣を後の補修でモルタル充填した例や、表面だけ目地を塗った例もあり、見た目だけで当初の工法を決めることはできない。

参考文献

正法寺川狸沢第一号石堰堤|国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004865
正法寺川狸沢第三号石堰堤|国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004867
正法寺川南沢第五号石堰堤|国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004888
万内川十三号堰堤|国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003220

最終更新: 2026.09.26