住まいと倉庫をL字に継いだ主屋
葛利毛織工業株式会社主屋は、愛知県一宮市木曽川町玉ノ井にある昭和24年(1949年)頃建設の住宅で、2020年(令和2年)8月17日に登録有形文化財(建造物)に登録された。木造2階建、寄棟造桟瓦葺、建築面積186平方メートル。敷地南端の門を入って東側、事務所と向かい合う位置に建つ。
平面はL字を描く。東西に長い棟が住居、そこから北へ折れる棟が倉庫で、2つの用途が1つの屋根の下でつながっている。外壁は下見板張にペンキを塗るのを基本とし、1階の下屋部分だけは柱を見せる真壁として漆喰で仕上げ、腰を竪板張とする。同じ建物のなかで洋風の板壁と和風の塗り壁が上下に分かれているわけである。
建設当初、南側は工場主の住居、北側は女子寮として使われていたと伝えられる。現在は1階北側が倉庫に変わり、他は住まいとして使われている。葛利毛織工業株式会社主屋は、働く場所と暮らす場所が分かれていなかった時代の形をそのまま保っている。
「職住一体」を示す中心的な建物
この敷地が登録有形文化財として評価された理由は、工場だけでなく事務所、住居、寮、浴場、倉庫が同じ塀の内側に揃っていることにある。登録の基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」で、葛利毛織工業株式会社主屋を含む9棟が2020年(令和2年)8月17日に一括して登録された。主屋の登録番号は23-0551である。
働き手が住み込み、経営者一家も同じ敷地に暮らす。戦後まもない時期の中小の機屋では珍しくない形だったが、建物がまとまって残っている例は少ない。葛利毛織工業株式会社主屋は、その配置のなかで住と職の接点にあたる。南に暮らし、北に荷を置き、西の門を出れば事務所と工場がある。
建設年の昭和24年(1949年)は、戦後の統制が緩み、尾州の織物が再び動き出した時期にあたる。工場の南側に2スパンが増築された昭和20年(1945年)頃から数年のうちに、住まいの側も整えられたことになる。
外壁の高さで変わる仕上げを見る
門から入ってすぐ、葛利毛織工業株式会社主屋の南面が正面に来る。目の高さより上は下見板にペンキ、目の高さより下、庇の下がる下屋の部分は白い漆喰と竪板になっている。雨が跳ね上がる腰まわりを板で守り、その上を板張りにするという実用的な判断が、そのまま外観の分節になっている。
L字の内側、つまり南東に向いた角に立つと、住居棟と倉庫棟の取り合いがよく見える。屋根が直角に交わる谷の部分は雨仕舞いが難しく、瓦の納まりに手が入っている。
建築面積186平方メートルは、この敷地の9棟のなかで工場に次ぐ大きさである。数字だけを見ると小さいが、2階建てで倉庫を抱き込んだ形なので、門の内側では相当な存在感がある。
見学方法とアクセス
葛利毛織工業株式会社主屋は現在も住居として使われており、内部は公開されていない。愛知県公式観光サイトによれば、事前に相談すれば時期によって敷地内の生産現場を見学できる場合があり、その際に主屋の外観を間近に見ることになる。申し込みは2週間前までに電話(0586-87-3323)へ。2名から3名の少人数から10名程度まで、11名以上は相談が必要で、土曜と日曜は休業日のため原則受け入れていない(2026年8月31日確認)。
撮影については公開された規定が見当たらない。居住空間を含む建物なので、外観であっても撮影前に一声かけたい。
名鉄尾西線の玉ノ井駅から徒歩約2分。車では東海北陸自動車道の一宮西出口から約15分、名神高速道路の一宮インターチェンジから約25分。門の前に立つと、右手に主屋、左手に事務所という左右の構えを道路からも確かめられる。
Q&A
- 葛利毛織工業株式会社主屋の内部は見学できますか。
- 現在も住居として使われているため内部は公開されていません。事前相談による敷地内の見学が認められた場合に、外観を間近で見ることができます。連絡は2週間前までに電話(0586-87-3323)へ。
- 葛利毛織工業株式会社主屋はどんな建物ですか。
- 昭和24年(1949年)頃の木造2階建、寄棟造桟瓦葺で、建築面積は186平方メートルです。東西棟の住居と南北棟の倉庫がL字形につながっています。
- 葛利毛織工業株式会社主屋は昔どう使われていましたか。
- 建設当初は南側が工場主の住居、北側が女子寮だったと伝えられます。現在は1階北側が倉庫、その他が住居として使われています。
- 葛利毛織工業株式会社主屋はいつ登録有形文化財になりましたか。
- 2020年(令和2年)8月17日に登録有形文化財(建造物)に登録されました。登録番号は23-0551で、同じ敷地の8棟と同時です。
- 葛利毛織工業株式会社主屋へのアクセスは?
- 名鉄尾西線の玉ノ井駅から徒歩約2分です。車では東海北陸自動車道の一宮西出口から約15分、名神高速道路の一宮インターチェンジから約25分です。
基本データ
| 名称 | 葛利毛織工業株式会社主屋 |
|---|---|
| 所在地 | 愛知県一宮市木曽川町玉ノ井字宮前1 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 2020年(令和2年)登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造2階建、桟瓦葺、建築面積186平方メートル |
| 所有者 | 非公表(民間所有) |
| 公開状況 | 通常非公開、事前相談により見学可 |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース 葛利毛織工業株式会社主屋
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013404
- 文化遺産オンライン 葛利毛織工業株式会社主屋
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/458499
- 一宮市 一宮市内の文化財
- https://www.city.ichinomiya.aichi.jp/katsuryokusouzou/hakubutsukan/1044092/1024202/1036232.html
- 愛知県公式観光サイト Aichi Now 葛利毛織工業株式会社
- https://aichinow.pref.aichi.jp/spots/detail/3024/
- 一宮市観光協会 毛織物産地「尾州」のいま・むかし のこぎり屋根のある風景 vol.1
- https://www.138ss.com/feature/detail/11/
最終更新日: 2026.08.31