宮城正門前の橋に立っていた灯
明治村二重橋飾電燈は、愛知県犬山市の博物館明治村にある明治21年(1888年)製の鋳鉄製飾電燈で、平成15年(2003年)に国の登録有形文化財となった。
もとは東京都千代田区、皇居正門前に架かる橋、通称二重橋に立っていた。皇居造営にともなって橋が鉄橋に架け替えられたとき、西側の両端に二基ずつ、あわせて四基の飾り電灯が据えられた。そのうちの一基がこれである。昭和38年(1963年)に取り外され、昭和40年(1965年)に明治村へ移された。
全高は5.2メートル。ドイツのハルコート(HARKORT)社が鋳造したもので、全体が植物意匠のネオ・バロック様式で覆われている。葉と蔓と渦巻きが、主幹を這い上がり、腕の先まで続く。
なぜ登録有形文化財なのか
明治村二重橋飾電燈が登録有形文化財に登録されたのは2003年12月1日、「造形の規範となっているもの」という基準による。登録番号は23-0071。文化庁のデータベースでは建築物ではなく、種別を交通、その他工作物として扱っている。橋に属する設備だったためである。員数は1基で、周囲の鉄柵も同じ一件に含まれている。
この年代の装飾照明が、まるごと残ることは多くない。この一基は基部から主幹、腕、火屋、笠までを保ったまま、しかも橋の高欄の一部を伴って移された。文化庁の記載はこれをドイツ製の鉄製品としており、当時ようやく動き出した国内の鋳物ではなく、新しい宮城の一帯に据えるために輸入された金物の側に位置づけられる。
見どころ
一本の幹に五つの灯
基部は角壺形で、どっしりと据わっている。そこから主幹が一本立ち上がり、頂部に一灯を掲げる。さらに四方へ張り出した腕から、それぞれ一灯ずつが吊られる。腕は葉文様に加工した丸鋼でつくられており、大きなグローブを支えているようには見えないほど軽やかである。近づいたらグローブの数を数えてみてほしい。腕が構造ではなく装飾に見えるので、遠目には五灯あることに気づきにくい。
卵形の火屋と巻き上がる笠
ガラスの火屋は円筒ではなく卵形をしている。その上にかぶさる笠は、蔓が放射状に巻き上がる形に仕上げられている。ネオ・バロックの語彙がもっとも濃く出ているのはこの部分で、正面からではなく見上げたときに効いてくる。
鉄柵は橋の高欄
明治村二重橋飾電燈を囲む鉄柵は、展示のために後から付けたものではない。二重橋とそのたもとにあった唐草模様の鋳鉄製欄干を、電燈とともに運んで柵に転用したものである。文化庁の記載も「鉄製高欄付」とし、周囲の鉄柵が高欄の一部であると明記している。堀の対岸から皇居の橋を撮った人は、すでにその後継を写している。ここでは元の文様が手の届く距離にある。
見学方法
明治村二重橋飾電燈は、村内1丁目の11番地にあたる区画、東京盲学校車寄と鉄道局新橋工場のあいだに屋外で立っている。屋外なので入る建物はなく、閉まる扉もない。開村している時間ならいつでも見られる。
入村料は大人2,500円、高校生1,500円、中学生と小学生が700円、未就学児は無料。開村時間は4月から7月と9月、10月、3月が9:30~17:00、8月は10:00~17:00、11月の平日は9:30~16:00、12月から2月は10:00~16:00で、入村は閉村の30分前まで。
8月には日を決めて夜間開村があり、20:30まで延長される。ただし一部のエリアは17:00で閉まり、荒天の場合は延長そのものが中止になる。村内を暗くなってから歩けるのはこの日だけである。日程は年によって変わるので、これに合わせて出かけるなら事前にカレンダーを見ておきたい。
個人の撮影に許可は要らない。屋外なので建物内での三脚使用の制限は当てはまらないが、山林に立ち入っての撮影は禁止されている。名鉄犬山駅東口からのバスで約20分、車なら中央自動車道の小牧東インターチェンジから3キロメートルで、駐車場は普通車1,000円。1丁目は正門を入ってすぐの一帯なので、この飾電燈は順路の早い段階で目に入る。
Q&A
- 明治村二重橋飾電燈は村内のどこにありますか?
- 1丁目の11番地、正門を入ってすぐの一帯です。東京盲学校車寄と鉄道局新橋工場のあいだに屋外で立っています。入村料のほかに必要な料金はありません。
- 明治村二重橋飾電燈は皇居の橋にあった本物ですか?
- 本物です。橋の西側の両端に二基ずつ、計四基の飾り電灯が立っており、そのうちの一基がこれにあたります。昭和38年(1963年)に取り外され、昭和40年(1965年)に明治村へ移されました。
- 明治村二重橋飾電燈の高さと製造元を教えてください。
- 全高5.2メートル、明治21年(1888年)にドイツのハルコート社が鋳造した鉄製です。灯は全部で五つあり、主幹の頂部に一灯、四方の腕からそれぞれ一灯が吊られています。
- 明治村二重橋飾電燈を暗くなってから見ることはできますか?
- 8月の夜間開村の日に限られます。20:30まで延長されますが、荒天時は中止になることがあります。それ以外の時期は季節によって16:00か17:00に閉村するため、日中に見学することになります。
- 明治村二重橋飾電燈を囲む鉄柵は何ですか?
- 二重橋とそのたもとにあった唐草模様の鋳鉄製欄干の一部です。電燈とともに運ばれ、周囲を囲う柵として使われています。登録上も同じ一件に含まれています。
基本情報
| 名称 | 明治村二重橋飾電燈 |
|---|---|
| 所在地 | 愛知県犬山市内山1 博物館明治村内 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成15年(2003年)登録 |
| 員数 | 1基 |
| 寸法 | 鉄製、高さ5.2メートル、鉄製高欄付 |
| 所有者 | 公益財団法人明治村 |
| 公開状況 | 屋外。開村時間内は入村者が見学可能 |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース:明治村二重橋飾電燈
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00003658
- 文化庁 文化遺産オンライン:明治村二重橋飾電燈
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/139428
- 博物館明治村:二重橋飾電燈
- https://www.meijimura.com/sight/二重橋飾電燈
- 博物館明治村:開村時間・休村日
- https://www.meijimura.com/guide/open/
- 博物館明治村:チケット・料金
- https://www.meijimura.com/guide/price/
- 博物館明治村:アクセス
- https://www.meijimura.com/guide/access/
- 博物館明治村:村内での撮影について
- https://www.meijimura.com/photography/
最終更新日: 2026.09.03