校地の北端に立つ、背の高い木造の屋内運動場

旧鮎川小学校屋内運動場は、秋田県由利本荘市町村にある昭和28年(1953年)建築の木造の体育館で、平成24年(2012年)2月23日に登録有形文化財として登録された。

旧鮎川小学校の4棟のうち、いちばん北に置かれた建物である。東西に長い切妻造、桟瓦葺の平屋で、西面に下屋を付ける。建築面積は548平方メートル。南側の北校舎棟とは昇降口を介してつながっている。

市の平面図によれば、旧鮎川小学校屋内運動場は桁行33.65メートル、梁間14.56メートル。このうち西端の4.55メートル分にステージとその両脇の用具室が収まり、残る29.1メートルが床の広がる運動場になっている。

高さを見せるための妻面

旧鮎川小学校屋内運動場は、国土の歴史的景観に寄与しているものとして登録された。登録の説明がとくに取り上げているのは、東の妻面である。

灰色に塗った妻壁に、白い柱が何本も縦に通っている。柱は軒の高さで止まらず、切妻の三角形の中へ伸びていく。平屋の校舎棟が並ぶなかで、この白い縦の線が屋内運動場の背の高さをいっそう強調する。由利本荘市の資料も、灰色の壁面に高く延びる白い柱列が屋内運動場の高さを際立たせていると説明している。

旧鮎川小学校では4棟すべてが切妻を東の校庭に向けているが、そのなかで妻面にこれほど手をかけたのは屋内運動場だけである。市の資料は、妻を特徴的にして高さを強調した屋内運動場を校地の北側に置いたことを、全体の均衡を意識した設計の一部として挙げている。

市教育委員会の資料によれば、体育館の壁に掲げられた棟札から、設計者が遠田長吉、建築請負が木内文吉、敷地の地ならしが畠山久治、棟梁が石川宇一郎であったことが分かる。旧鮎川小学校の建設にかかわった人の名が確かめられるのは、この棟札による。

内部の見どころ

旧鮎川小学校屋内運動場の内部は、天井の高い広い一室である。屋根は校舎棟と同じ洋小屋のキングポストトラスで組まれ、柱を立てずに梁間を渡している。

長い両側の壁(平側)には大きな窓が連なり、外の光をたっぷり取り込む。晴れた日には床に窓の形が並んで落ちる。

西の妻側にはステージがある。平成3年(1991年)に改修が行われ、このとき外壁の塗装も施された。

2018年からは、鳥海山 木のおもちゃ館の「もりのあそびば」としてこの空間が使われている。ツリーハウス、すべり台の付いた「ちょうかいタワー」、5,000個の木の玉を満たした「木のどんぐりプール」、26の小部屋からなる「あそびのこべや」などが置かれ、遊具の多くに秋田県産の木材が使われている。ステージは「もりのステージ」として残る。

遊具の上から天井を見上げると、トラスの斜材が規則正しく並んでいるのが見える。子どもが遊ぶための場所になっても、体育館として建てられた骨組みはそのまま目に入る。

旧鮎川小学校屋内運動場の見学

旧鮎川小学校屋内運動場の内部は、鳥海山 木のおもちゃ館の有料ゾーンに入っている。中に入るには入館料(おとな810円、こども610円)が必要で、受付は北校舎棟にある。

東の妻面は、校庭の側から見るのがよい。旧鮎川小学校の校庭はグラウンドとして開放されており、少し離れて立つと、白い柱列と切妻の輪郭が一度に収まる。午前中は東からの光が妻面に当たり、灰色と白の対比がはっきりする。

館内での写真撮影はできる。もりのあそびばは子どもが遊んでいる場所なので、フラッシュや三脚は使わず、ほかの利用者が写り込まないよう気を配りたい。

開館時間や休館日、アクセスは旧鮎川小学校のページにまとめてある。

Q&A

Q旧鮎川小学校屋内運動場はいつ建てられ、いつ登録有形文化財になりましたか?
A旧鮎川小学校屋内運動場は昭和28年(1953年)に、鮎川中学校の校舎の一部として建てられました。平成24年(2012年)2月23日に、ほかの3棟とともに登録有形文化財に登録されています。
Q旧鮎川小学校屋内運動場の外観で注目すべき点はどこですか?
A東の妻面です。灰色の壁に白い柱が縦に何本も伸び、建物の高さを強調しています。校庭側から見ると全体がよく分かります。
Q旧鮎川小学校屋内運動場の中に入れますか?料金はかかりますか?
A入れます。内部は鳥海山 木のおもちゃ館の有料ゾーン「もりのあそびば」で、入館料はおとな810円、こども610円です(2026年4月1日改定)。受付は北校舎棟にあります。
Q旧鮎川小学校屋内運動場の中はいまどのように使われていますか?
A木製遊具を集めた遊び場になっています。ちょうかいタワー、ツリーハウス、木のどんぐりプール、26室のあそびのこべやなどがあり、西端のステージも残っています。
Q旧鮎川小学校屋内運動場の建設にかかわった人は分かっていますか?
A分かっています。市教育委員会の資料によれば、体育館の壁に掲げられた棟札に、設計者の遠田長吉、建築請負の木内文吉、棟梁の石川宇一郎らの名が記されています。

基本情報

名称旧鮎川小学校屋内運動場
所在地秋田県由利本荘市町村字鳴瀬台65-1
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成24年(2012年)2月23日登録
員数1棟
寸法建築面積548㎡
所有者由利本荘市
公開状況鳥海山 木のおもちゃ館の有料ゾーンとして公開

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース「旧鮎川小学校屋内運動場」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009118
文化遺産オンライン「旧鮎川小学校屋内運動場」
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/200951
由利本荘市「旧鮎川小学校(きゅうあゆかわしょうがっこう)」
https://www.city.yurihonjo.lg.jp/1001503/1002098/1002113/1002126/1003562.html
由利本荘市教育委員会「(資料)旧鮎川小学校」(PDF)
https://www.city.yurihonjo.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/003/562/1003562_003.pdf
由利本荘市「(資料)旧鮎川小学校平面図」(PDF)
https://www.city.yurihonjo.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/003/562/1003562_004.pdf
由利本荘市「鳥海山 木のおもちゃ館の概要」
https://www.city.yurihonjo.lg.jp/1001503/1002097/1002111/1003670.html
鳥海山 木のおもちゃ館「施設紹介」
https://chokaisan-wtm.jp/floorguide/

最終更新日: 2026.09.24