榎本家住宅釜場とは
榎本家住宅釜場(えのもとけじゅうたくかまば)は、千葉県我孫子市布佐にある旧家榎本家の主屋の北東に建つ別棟の釜場で、昭和前期(1926年から1945年)に建てられ、令和6年(2024年)12月3日に登録有形文化財となった木造平屋建の建物である。
榎本家住宅釜場の建築面積は31平方メートル。釜場は一般に、大きな釜をかけるかまどを据え、湯を沸かしたり煮炊きをしたりする作業の場を指す。火と煙を扱う場所を母屋から切り離して別棟に建てたところに、この建物の意味がある。文化庁の解説も、別棟の釜場として貴重だと評価している。
年代は、我孫子市の報道資料によれば、建物のつくりと部材の古び具合をほかの棟と比べて、昭和初期と推定された。
煙出をもつ切妻屋根と吹き放ちの下屋
榎本家住宅釜場は東西に棟を通した切妻造で、屋根は鉄板葺とする。棟の中央には煙出(けむだし)を設ける。煙出は屋根に開けた換気口で、一般に屋根の上へ小さな屋根を一段載せた形につくり、かまどの煙や熱気を外へ逃がす役目を担う。
正面側の屋根は長く葺き降ろして下屋とし、壁を設けない吹き放ちにしている。雨をしのぎながら使える軒下の空間を、屋根を延ばすだけで生み出した実用本位のつくりである。
土間の上に現れる梁組
内部は東西の2室に分かれ、東の部屋は土間とする。土間の上には天井を張らず、二重梁を架けた和小屋の小屋組が見上げられる。煙出へと煙を抜くためにも、天井のない吹き抜けの空間が都合よかったと考えられる。
文化庁のデータベースには、この梁組を写した写真が外観とともに掲載されている。平屋の作業棟でありながら、梁を二段に重ねた架構をそのまま見せている点が、榎本家住宅釜場の内部の見どころである。
昭和33年頃の改修と資料の食い違い
文化庁の国指定文化財等データベースは、榎本家住宅釜場を昭和33年(1958年)頃に改修した建物としている。昭和33年頃は、利根川の堤防拡張に伴って屋敷の建物が曳家で動かされた時期で、文化庁は主屋・離れ・北土蔵・正門をこのとき移築したと記す。
一方、我孫子市が令和6年(2024年)7月に出した報道資料は、曳家した4棟として主屋・離れ・釜場・正門を挙げている。釜場が移されたのか、その場で手を入れられたのかは、資料によって扱いが異なる。この記事では文化庁の記載に従った。
登録の理由
榎本家住宅釜場は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」の基準で登録された。登録番号は12-0331である。文化庁は、敷地の北側の景観をかたちづくる建物として評価している。通り側に構える正門や主屋とは反対の、敷地の北の裏手で屋敷の姿を形づくっている。
見学方法
榎本家住宅釜場は個人の住まいの一部で、内部も周囲も公開されていない。主屋の北東、敷地の奥に建つため、外から姿を確かめるのは難しい。
南西から写した外観と梁組の写真が、文化庁の国指定文化財等データベースと文化遺産オンラインで見られる。現地では私有地に立ち入らないようにしたい。
Q&A
- 榎本家住宅釜場とはどんな建物ですか。
- 主屋の北東に建つ別棟の釜場です。火と煙を扱う作業を母屋から切り離した建物で、棟の中央に煙出を設けています。
- 榎本家住宅釜場はいつ建てられましたか。
- 昭和前期(1926年から1945年)で、つくりと部材の古び具合から昭和初期と推定されています。
- 榎本家住宅釜場の内部はどうなっていますか。
- 東西2室に分かれ、東の部屋は土間です。天井を張らず、二重梁を架けた和小屋の梁組を見せています。
- 榎本家住宅釜場が登録有形文化財になったのはいつですか。
- 令和6年(2024年)12月3日です。登録番号は12-0331で、「国土の歴史的景観に寄与しているもの」の基準によります。
- 榎本家住宅釜場は見学できますか。
- 個人の住まいの一部のため公開されていません。外観と梁組の写真は文化庁のデータベースで見られます。
基本データ
| 名称 | 榎本家住宅釜場(えのもとけじゅうたくかまば) |
|---|---|
| 所在地 | 千葉県我孫子市布佐字下町3051-3 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) 登録番号 12-0331 |
| 指定年 | 令和6年(2024年)12月3日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造平屋建、鉄板葺、建築面積31平方メートル |
| 所有者 | 個人 |
| 公開状況 | 非公開 |
参考文献
- 国指定文化財等データベース 榎本家住宅釜場(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00015149
- 榎本家住宅釜場(文化遺産オンライン)
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/609493
- 榎本家住宅(あびこ電脳考古博物館、我孫子市)
- https://www.city.abiko.chiba.jp/kouko/siteibunkazai/enomotokejyuutaku.html
- 報道提供資料 市内にある「榎本家住宅」が国の登録有形文化財になりました(我孫子市、2024年7月19日)
- https://www.city.abiko.chiba.jp/shisei/kouhou/houdouteikyou/R6houdou04-09.files/20240719enomotojutaku.pdf
最終更新日: 2026.09.28