宗像大社辺津宮とは

宗像大社辺津宮は、福岡県宗像市田島にある宗像大社の三宮のひとつで、境内の本殿(天正6年・1578年)と拝殿(天正18年・1590年)の2棟が明治40年(1907年)に国の重要文化財に指定されている。

白砂の庭の先に、張り出した前屋根をもつ拝殿と、朱の軒の本殿が並ぶ
拝殿(右)と、その奥に建つ朱塗りの本殿(左)そらみみ / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons

宗像大社は、玄界灘に浮かぶ沖ノ島の沖津宮、大島の中津宮、九州本土の辺津宮の三宮を総称した名である(宗像大社)。辺津宮には三女神のうち市杵島姫神がまつられ、福岡県は辺津宮を三宮の総社と紹介している。

辺津宮は、平成29年(2017年)7月に世界文化遺産に登録された「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群の構成資産のひとつでもある(福岡県)。社殿をとりまく境内は国の史跡「宗像神社境内」に含まれる(宗像市)。

三女神と沖ノ島の祭祀

宗像大社の由緒によれば、田心姫神・湍津姫神・市杵島姫神の三柱は天照大神と素戔嗚尊の誓約から生まれた女神で、『日本書紀』(720年)には、歴代天皇を助ければ天皇に祀られるとの神勅が記される。

この地を治めた宗像氏は大和朝廷の対外交流を担い、大化の改新(645年)のあと宗像は九州で唯一の神郡となった(宗像大社)。沖ノ島では4世紀から9世紀にかけて航海の安全を祈る国家的な祭祀が行われ、出土した約8万点の奉献品は、いまは辺津宮境内の神宝館に収められている(福岡県、宗像大社)。

中世の宗像は大宮司家が社と地域をともに治めた。本殿は火災ののち天正6年(1578年)に大宮司宗像氏貞が再建し、拝殿は天正18年(1590年)に、筑前を一時治めた小早川隆景が再建した(福岡県)。2棟のあいだにある12年の隔たりは、宗像の支配が大宮司家から豊臣政権下の大名へ移った時期と重なる。

境内の配置と歩く順序

観光庁の多言語解説文は、鳥居をくぐって参道を進み、手水舎で手と口を清めて、菊の御紋を掲げた神門を入る順を示している。神門の先で最初に正面に見えるのが拝殿で、その奥に本殿が建つ。

石灯籠に挟まれた緑色の屋根の門と、門の奥に見える拝殿の破風
神門の奥に正面の拝殿を望むそらみみ (Soramimi) / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons

本殿の右手からは、市杵島姫神の降臨の地とされる高宮祭場へ山道が通じる。社殿を持たない古代の祭場で、北西には沖ノ島へ向かう海路を望む(宗像大社、観光庁)。高宮から下った先には、田心姫神をまつる第二宮と湍津姫神をまつる第三宮が並ぶ。伊勢神宮の古い社殿を譲り受けたもので、昭和53年(1978年)に移された(宗像大社、福岡県)。

木立に囲まれ、石で縁取られた平らな祭場
社殿をもたない高宮祭場そらみみ (Soramimi) / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons

本殿のまわりには大小24社の摂末社があり、121の神々がまつられる(宗像大社)。観光庁の解説文によれば、これらの小社は延宝3年(1675年)に宗像各地から移されたものである。本殿の左手には、沖ノ島の出土品を収める神宝館が建つ。

辺津宮の重要文化財

辺津宮で国の重要文化財に指定されているのは次の2棟で、いずれも明治40年(1907年)5月27日の指定である(文化庁)。建物の構造と見どころは、それぞれのページで扱っている。

  • 宗像神社辺津宮本殿:天正6年(1578年)、五間社流造、柿葺。附として棟札9枚
  • 宗像神社辺津宮拝殿:天正18年(1590年)、切妻造・妻入、柿葺。附として棟札1枚

文化庁の名称が「宗像大社」ではなく「宗像神社」となっているのは、指定当時の社名による。

参拝と見学

JR鹿児島本線の東郷駅北口から、宗像大社経由神湊波止場行きの西鉄バスに乗ると約12分で「宗像大社前」に着き、停留所は境内のすぐ前にある。JR赤間駅からは車で約12分、九州自動車道の若宮インターチェンジと古賀インターチェンジからはそれぞれ約35分。第1から第3まで約1,000台の駐車場があり、無料である(福岡県観光連盟)。

境内の参拝時間は公式サイトに示されていない。神宝館は午前9時から午後4時30分まで(最終入館は午後4時)で、休館日はない。拝観料は一般800円、高校生・大学生500円、小学生・中学生400円である(宗像大社)。祈願は神門の外の祈願殿で受け付け、受付時間は午前9時から午後5時(宗像大社)。

秋季大祭の初日にあたる10月1日には、大島から神湊へ船団が神輿を運ぶみあれ祭があり、10月3日の夜には高宮祭場で悠久舞の神楽が奉納される(宗像大社、福岡県)。

参考文献

宗像神社辺津宮本殿(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/102/3487
宗像神社辺津宮拝殿(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/102/3488
辺津宮(宗像大社公式サイト)
https://munakata-taisha.or.jp/about_hetsu.html
由緒(宗像大社公式サイト)
https://munakata-taisha.or.jp/yuisyo.html
神宝館(宗像大社公式サイト)
https://munakata-taisha.or.jp/shinpoukan.html
グラフふくおか 2017秋号 特集(福岡県)
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/somu/graph-f/2017autumn/plan/plan_01.html
「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群 多言語解説文案(福岡県)
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/267839.pdf
辺津宮の歩き方(観光庁 地域観光資源の多言語解説文データベース)
https://www.mlit.go.jp/tagengo-db/R1-00740.html
宗像市の維持向上すべき歴史的風致(宗像市 歴史的風致維持向上計画)
https://www.mlit.go.jp/common/001260071.pdf
宗像大社(クロスロードふくおか 福岡県観光情報)
https://www.crossroadfukuoka.jp/spot/12532

最終更新日: 2026.10.29

基本情報

名称宗像大社辺津宮
所在地福岡県宗像市田島
所有者宗像大社
指定重要文化財 2件
座標33.81845, 130.51162