阿部家住宅蚕蔵とは

阿部家住宅蚕蔵は、福島県福島市笹木野字萱場にある阿部家の屋敷の東辺中央に、街路に面して建つ土蔵造2階建の蔵で、明治中期(明治は1868〜1912年)の建築として平成20年(2008年)に国の登録有形文化財に登録された。読みは「かいこぐら」。

阿部家住宅蚕蔵は、桁行7.9メートル、梁間5.4メートル、建築面積43平方メートル。屋根は切妻造の桟瓦葺で、西面に鉄板葺の庇を付ける。

繭を置き、人が寝起きした蔵

文化庁の解説によると、阿部家住宅蚕蔵の1階は繭置場、2階は使用人の部屋として使われた。名前は「蚕」でも、蚕を飼う蚕室ではなく、収穫した繭を納めておく蔵である。

繭を蔵にまとめて置き、その上に使用人を住まわせていたことから、阿部家が養蚕や繭の取り扱いに関わり、働き手を抱える家だったことがうかがえる。ただし阿部家の家業を具体的に記した資料は、今回確認できなかった。

阿部家住宅蚕蔵は、登録基準のうち「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録された。屋敷の表側、街路に沿って建つこの蔵が、道からの阿部家の印象を決めている。

赤い瓦と海鼠壁

文化庁の解説は、阿部家住宅蚕蔵の赤い瓦が目をひくと書いている。白い漆喰の壁の上に赤い桟瓦が載り、屋敷のほかの蔵の鉄板葺や黒い瓦とは色合いがはっきり違う。

外壁の腰には海鼠壁を張る。四角い平瓦を並べ、目地を漆喰で蒲鉾形に盛り上げた壁で、雨の跳ね返りや湿気から土壁を守る。白と灰色の格子が、道を歩く目の高さに並ぶことになる。

出入口は西面に2か所、南面と北面に1か所ずつ、合わせて4か所ある。繭の出し入れと使用人の出入りを分けたのか、戸口の多さはほかの蔵にない特徴である。道に面した東面には戸口を設けていない。

阿部家住宅蚕蔵の見学

阿部家住宅蚕蔵は個人住宅の蔵で、内部は公開されていない。福島県の近代化遺産の一覧も内部の写真撮影は不可としている。

阿部家住宅蚕蔵は街路に面して建つので、屋敷の9棟のなかではいちばん見やすい。赤い瓦は道の反対側から見上げると、海鼠壁の格子は近づいて目の高さで見ると分かりやすい。撮影は公道の上からにとどめたい。屋敷への行き方は阿部家住宅(福島市)のページにまとめてある。

Q&A

Q阿部家住宅蚕蔵は何に使われた蔵ですか?
A文化庁の解説によると、1階は繭置場、2階は使用人の部屋として使われました。
Q阿部家住宅蚕蔵はいつ建てられましたか?
A文化庁のデータベースでは明治中期の建築です(明治は1868〜1912年)。
Q阿部家住宅蚕蔵の外観の特徴は?
A赤い桟瓦葺の切妻屋根と、白漆喰の外壁の腰に張った海鼠壁です。桁行7.9メートル、梁間5.4メートルの土蔵造2階建です。
Q阿部家住宅蚕蔵が登録有形文化財になった理由は?
A「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として平成20年(2008年)に登録されました。街路に面して屋敷の表側の景観をつくっています。
Q阿部家住宅蚕蔵は見学できますか?
A内部は公開されていません。阿部家住宅は個人住宅ですが、蚕蔵は街路に面しているため外観は道路からよく見えます。

基本情報

名称阿部家住宅蚕蔵
所在地福島県福島市笹木野字萱場24-1他
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成20年(2008年)登録
員数1棟
寸法建築面積43㎡(桁行7.9m・梁間5.4m)
所有者個人
公開状況非公開(個人住宅。外観は道路から)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)阿部家住宅蚕蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006993
文化遺産オンライン 阿部家住宅蚕蔵
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/153595
福島市 福島市の文化財 -登録有形文化財(建造物) 66件-
https://www.city.fukushima.fukushima.jp/soshiki/7/1032/2/1/3/725.html
福島県 近代化遺産 市町村別一覧表(PDF)
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/397116.pdf

最終更新日: 2026.09.30