主屋の背後に建つ土蔵

花田今井家住宅蔵は、岐阜県下呂市御厩野の主屋の背面側に建つ土蔵である。明治8年頃、明治初期に建てられ、農家の暮らしを支える一棟として営まれてきた。

土蔵は厚い漆喰塗の壁をもつ防火建築で、家財や穀物、道具を火や湿気から守るために用いられた。本件は二階建で、切妻造の妻入とし、漆喰の躯体の上に別の屋根を載せる置屋根形式をとる。雨水が壁面に直接かからないよう工夫された造りである。

簡素な形に凝らした細部

外壁は白い漆喰塗とし、腰部を高く竪板張で覆って、下方の壁を雨のはね返りから守る。内部は一階・二階とも板敷で、隅を区画して押入状に設える。収納を主とする建物らしい実用の工夫である。

全体は簡素だが、正面の扉回りには明らかに意を凝らした造作が見られる。機能本位の建物のなかで、造り手が手仕事を示せる数少ない場所であった。平成28年(2016年)に登録有形文化財となり、規模や装飾ではなく、敷地とその周辺の歴史的景観を形づくる点が評価された。

見どころ

この蔵の見どころは壁の表情にある。上部の滑らかな白漆喰と、下部の濃い竪板張との対比が、小さな建物にまっすぐな存在感を与える。手を掛けた扉回りも近くで見る値打ちがある。

蔵は個人の住宅の敷地内にあり、一般には公開されていない。主屋や他の附属屋とともに、公道からその外観をよく見ることができる。訪れる前には下呂市に公開状況を確認したい。

Q&A

Q土蔵とは何ですか?
A厚い漆喰塗の壁をもつ防火建築で、家財や穀物、道具を火や湿気から守るために用いられました。
Q蔵はいつ建てられましたか?
A明治8年頃(明治初期)で、主屋よりやや後の建築にあたります。
Q置屋根とは何ですか?
A漆喰の躯体の上に別の屋根を載せる形式で、雨水が下の土壁にかからないようにする工夫です。
Q簡素なのになぜ文化財なのですか?
A平成28年(2016年)に、敷地の歴史的景観への寄与が評価されて登録されました。扉回りの造作や漆喰の仕上げも価値の一部です。
Q内部は見学できますか?
Aできません。個人住宅の敷地内にあり一般公開はされていません。外観は公道から見ることができます。

基本情報

名称花田今井家住宅蔵(はなたいまいけじゅうたくくら)
所在地岐阜県下呂市御厩野字花田垣内149-1
種別・区分登録有形文化財(建造物)
登録年月日平成28年(2016年)11月29日/登録番号 21-0246
員数・規模1棟。建築面積38平方メートル
構造形式土蔵造2階建、瓦葺、切妻造妻入、置屋根形式
年代明治8年頃(1875年頃)
公開状況個人住宅。外観は公道から見学可。詳細は下呂市に要確認。

参考文献

文化遺産オンライン — 花田今井家住宅蔵
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/299159
国指定文化財等データベース(文化庁)— 花田今井家住宅蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00011312
岐阜県 登録有形文化財(建造物)
https://www.pref.gifu.lg.jp/page/12417.html
文化庁 登録有形文化財(建造物)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/toroku_yukei.html

最終更新日: 2026.07.07