一棟に収めた三つの役割

花田今井家住宅の主屋の背面、蔵の西隣に、三つの役割を一度にこなす建物が建つ。水車小屋・味噌蔵・納屋を複合させたもので、昭和初期、おおむね1920年代後半の建築にあたる。

西面の北寄りに水車小屋を置き、その南に味噌蔵を建て、これらを覆う形で納屋を重ねる。一棟のなかに三つの機能を収めた構成で、見せるための造りではなく、山間の大規模農家の日々の仕事から生まれた形である。

この附属屋が語りかけるもの

水車はかつて各地の農村で穀物の脱穀や製粉に使われたが、その場に残る例は少ない。使われてきた屋敷のなかに今も建つことが、当時の作業のありようを知る手がかりとなる。

味噌は日本の食卓を支える発酵食品で、この規模の農家では自家で仕込み、蓄えることが多かった。水車小屋の隣に専用の蔵が並ぶのはそのためである。平成28年(2016年)に登録有形文化財となり、再現することが容易でないものとして評価された。失われた技術や暮らしの習いを、この一棟がとどめている。

見どころ

見どころは、三つの用途が一棟にまとめられ、ひとまとまりに読める点にある。水車小屋・味噌蔵・納屋が一つの屋根を分け合う姿は、大規模な農家が自らの手でこなした仕事の幅を示す。製粉から発酵、貯蔵までがここに集まっている。

この附属屋は個人の住宅の敷地内にあり、一般には公開されていない。主屋の背後にあたり、外観は公道から見ることができる。さらに見学を望む場合は、あらかじめ下呂市に確認するとよい。

Q&A

Qこの一棟には何が入っていますか?
A水車小屋・味噌蔵・納屋が複合しています。水車小屋と味噌蔵を覆う形で納屋が重ねられ、一棟にまとめられています。
Q水車小屋が残ることになぜ意味があるのですか?
A水車はかつて脱穀や製粉に広く使われましたが、その場に残る例は多くありません。使われてきた屋敷のなかに残る点が貴重です。
Q味噌蔵がなぜ並ぶのですか?
A味噌は日本料理の基本となる発酵食品で、この規模の農家では自家で仕込み蓄えました。そのため水車小屋の隣に専用の蔵があります。
Qいつ建てられましたか?
A昭和初期、おおむね1920年代後半の建築で、昭和55年(1980年)に改修されています。
Q内部は見学できますか?
Aできません。個人住宅の敷地内にあり一般公開はされていません。外観は公道から見ることができます。下呂市にご確認ください。

基本情報

名称花田今井家住宅水車小屋・味噌蔵及び納屋(はなたいまいけじゅうたくすいしゃごや・みそぐらおよびなや)
所在地岐阜県下呂市御厩野字花田垣内149-1
種別・区分登録有形文化財(建造物)
登録年月日平成28年(2016年)11月29日/登録番号 21-0247
員数・規模1棟。建築面積53平方メートル
構造形式木造2階建、瓦葺。水車小屋・味噌蔵・納屋の複合
年代昭和初期(1926〜1930年頃)/昭和55年改修
公開状況個人住宅。外観は公道から見学可。詳細は下呂市に要確認。

参考文献

文化遺産オンライン — 花田今井家住宅水車小屋・味噌蔵及び納屋
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/292890
国指定文化財等データベース(文化庁)— 水車小屋・味噌蔵及び納屋
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00011313
岐阜県 登録有形文化財(建造物)
https://www.pref.gifu.lg.jp/page/12417.html
文化庁 登録有形文化財(建造物)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/toroku_yukei.html

最終更新日: 2026.07.07