伝統の姿をまとった倉庫

一宮市の旧町会議事堂の北に、うっかり通り過ぎてしまいそうな小ぶりの建物が建つ。大正13年(1924年)頃、木曽川町がその役場の倉庫として建てたもので、2006年からは木曽川資料館の収蔵室として、館の資料を納めている。登録上の名称は木曽川資料館収蔵室(旧木曽川町役場倉庫)である。

道から見ると、東西に棟を通した切妻造・桟瓦葺の白い2階建倉庫にすぎない。建築面積は約41平方メートルと小さい。見どころは造り方にある。柱と壁は鉄筋コンクリート造で、1920年代前半の地方の町ではまだ珍しい材料だった。その上に、木造のキングポストトラスが屋根を架ける。

名称は隣の主屋と同じく、近くを流れる木曽川ではなく、その川に由来する旧木曽川町を指している。

登録の理由と価値

この倉庫は2006年8月3日、登録番号23-0221として登録有形文化財に登録された。近代工法によって伝統形式を造った好例と評価されている。

目に見える細部は、いずれも旧来の土蔵の形式を引く。壁は白色モルタル塗、軒下には蛇腹を廻し、開口部には鉄扉、扉口や窓には小庇を架ける。ただし壁を支えるのは厚い土ではなく鉄筋コンクリートである。町の記録を納める倉庫にとって、その理由は火であった。中の文書を守るうえで、コンクリートは木や土壁より確かな防火を約束し、しかも塗り壁の倉庫という見慣れた姿を保った。

見どころ

現在この建物は館の収蔵庫として使われるため、見学は外観が中心になる。白い壁、軒の蛇腹、小庇の連なりが、土ではない材料で土蔵の文法を再現しているさまを追いたい。隣に建つ主屋との輪郭の違いにも注目したい。倉庫は東西棟の切妻造、旧議事堂は南北棟の寄棟造である。

隣の主屋、すなわち旧議場は資料館の展示室で、無料で入れる。木造で議事と展示を担う建物と、コンクリートで保管を担う建物。二棟をあわせて見ると、1920年代の地方の町が公共の建物をどう造り分けたかがよくわかる。

名鉄名古屋本線の新木曽川駅から徒歩約3分。開館日が限られることがあるため、出かける前に一宮市へ確認しておくとよい。

Q&A

Qもともと何の建物ですか。
A木曽川町役場の倉庫として大正13年(1924年)頃に建てられた建物で、現在は木曽川資料館の収蔵室として資料を納めている。
Qどこが珍しいのですか。
A柱と壁が鉄筋コンクリート造で、1920年代前半の地方の町では新しい材料だった。屋根は木造のキングポストトラスで受け、外観は塗り壁の土蔵をまねている。
Qなぜ倉庫をコンクリートで建てたのですか。
A防火のためである。町の記録を納める倉庫には、木や土より確実に火に耐える構造が求められ、コンクリートがその役目を果たした。
Q内部は見学できますか。
A収蔵庫として使われているため、見学は外観が中心となる。隣の主屋が展示室で、こちらは無料で入館できる。
Qどうやって行けばよいですか。
A名鉄名古屋本線の新木曽川駅から徒歩約3分。開館日が限られることがあるので、事前に一宮市へ確認するとよい。

基本データ

名称木曽川資料館収蔵室(旧木曽川町役場倉庫)
所在地愛知県一宮市木曽川町黒田字宝光寺東13-2
指定区分登録有形文化財(建造物)
登録2006年8月3日/登録番号23-0221
構造鉄筋コンクリート造2階建、切妻造、桟瓦葺、木造キングポストトラス
建築面積約41平方メートル(1棟)
年代大正13年(1924年)頃
所有者一宮市
アクセス名鉄名古屋本線・新木曽川駅から徒歩約3分
公開収蔵庫として使用、見学は外観が中心。隣接する主屋は入館無料

参考文献

国指定文化財等データベース — 木曽川資料館収蔵室(旧木曽川町役場倉庫)(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00005617
文化遺産オンライン — 木曽川資料館収蔵室(旧木曽川町役場倉庫)
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/152225
木曽川資料館 — 一宮市公式サイト
https://www.city.ichinomiya.aichi.jp/shisetsu/1044555/1008973.html
一宮市内の文化財 — 一宮市公式サイト
https://www.city.ichinomiya.aichi.jp/katsuryokusouzou/hakubutsukan/1044092/1024202/1036232.html

最終更新日: 2026.07.11