3棟の土蔵で最も小さな蔵

矢橋家住宅東蔵は、岐阜県大垣市赤坂町の旧中山道沿いの屋敷にある天保年間(1830年から1844年)の土蔵で、平成9年(1997年)7月15日に国の登録有形文化財に登録された。

矢橋家住宅には東蔵・中蔵・西蔵の3棟の土蔵があり、東蔵はそのうち最も小さい。木造2階建、瓦葺で、建築面積は29平方メートル。文化庁は、主屋と同じ時期の建築と考えられるとしている。3棟の土蔵は、東蔵が建築面積29平方メートル、中蔵が52平方メートル、西蔵が61平方メートルで、いずれも木造2階建の瓦葺である。

主屋が天保4年(1833年)の建築なので、矢橋家住宅東蔵は、主屋を建てたときに屋敷の家財や商いの品を納めるために整えられた蔵の一つとみられる。

簓子下見板と板張りのけらば

矢橋家住宅東蔵は「造形の規範となっているもの」という基準で登録された。文化庁が挙げる特徴は3つある。

  • 西側に出入口を設け、柱で支えるだけの吹き放ちの庇をかけて蔵前としていること
  • 外壁を簓子下見板張とすること
  • 屋根の妻側の端(けらば)まで板張りとすること

簓子下見板張は、横板を少しずつ重ねて張り、その重なりに合わせて刻みを入れた縦の押縁(簓子)で押さえる仕上げである。土蔵の厚い漆喰壁を雨や風から守るための板で、白壁を見せる蔵とは違い、全体が板の縞目で覆われた落ち着いた表情になる。けらばまで板で包むのは、風雨の当たりやすい妻の端を念入りに守る工夫といえる。

文化庁は、この外観が屋敷構えの特徴をよく表す要素になっていると評価している。小さな蔵でも、仕上げの考え方は他の2棟と共通しており、3棟がそろって屋敷の後ろ側の景観をつくっている。

東蔵の見え方

矢橋家住宅東蔵は、主屋の奥の屋敷の後ろ側にある。主屋や塀に遮られる位置なので、旧中山道から姿を確かめるのは難しい。

文化庁の記録にある蔵前の庇や簓子下見板は、敷地の内側から見る細部である。この蔵については、主屋と同じ天保年間に建てられ、屋敷の最も古い層に属する付属屋であることを押さえておきたい。

見学方法

矢橋家住宅東蔵は非公開で、内部・外観とも見学はできない。

門の内側をのぞき込んだり、敷地に立ち入ったりしないようにしたい。見学料や予約の仕組みはない。

Q&A

Q矢橋家住宅東蔵は見学できますか?
Aできません。矢橋家住宅は一般公開されておらず、東蔵は屋敷の奥にあるため、旧中山道からも見えにくい位置です。
Q矢橋家住宅東蔵はいつの建物ですか?
A文化庁は、主屋と同じ天保年間(1830年から1844年)の建築と考えられるとしています。平成9年(1997年)7月15日に登録有形文化財に登録されました。
Q矢橋家住宅東蔵の特徴は何ですか?
A3棟の土蔵で最も小さく(建築面積29平方メートル)、西側の出入口に吹き放ちの庇を設けて蔵前とし、外壁を簓子下見板張、けらばも板張りとしている点です。
Q矢橋家住宅東蔵の登録番号と登録基準は何ですか?
A登録番号は21-0007で、登録基準は「造形の規範となっているもの」です。平成9年(1997年)7月15日付で、屋敷のほかの7棟と同時に登録されました。
Q矢橋家住宅東蔵の「簓子下見板張」とはどんな仕上げですか?
A横板を少しずつ重ねて張り、重なりに合わせて刻みを入れた縦の押縁(簓子)で押さえる外壁の仕上げです。土蔵の漆喰壁を風雨から守る役目を持ち、東蔵ではけらばまで板で包んでいます。

基本情報

名称矢橋家住宅東蔵
所在地岐阜県大垣市赤坂町226
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成9年(1997年)7月15日登録
員数1棟
寸法木造2階建、瓦葺、建築面積29平方メートル
所有者文化庁データベースに記載なし
公開状況非公開(通りからは見えにくい)

参考文献

矢橋家住宅東蔵(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000246
[62] 矢橋家住宅(大垣市公式ホームページ)
https://www.city.ogaki.lg.jp/0000019629.html
登録有形文化財(建造物)(岐阜県公式ホームページ)
https://www.pref.gifu.lg.jp/page/12417.html

最終更新日: 2026.09.24