主屋の西に続く二間続きの座敷

矢橋家住宅書院(紅於亭)は、岐阜県大垣市赤坂町の旧中山道沿いの屋敷にある嘉永年間(1848年から1854年)の座敷棟で、平成9年(1997年)7月15日に国の登録有形文化財に登録された。紅於亭は「こうおてい」と読む。

主屋の西側に接続し、二間続きの座敷を中心とする。北東の隅には表門へ通じる式台玄関を設けている。木造平屋建、瓦葺で、建築面積は84平方メートル。平屋でありながら屋根を二重にかけている点は、隠居(竹雪廬)と共通する。

主屋が家族と家業の場なら、矢橋家住宅書院(紅於亭)は客を迎えるための棟である。表門から入った客は、主屋を通らずに式台玄関から座敷へ上がることができた。「紅於」の2字は、晩唐の杜牧の詩句「霜葉は二月の花よりも紅なり」を思わせるが、命名の経緯を記した公開資料は見当たらない。

数寄屋に通じる職人の技

矢橋家住宅書院(紅於亭)は、隠居(竹雪廬)とともに「再現することが容易でないもの」という基準で登録された。文化庁が挙げるのは玄関まわりの細部である。

  • 式台の黒漆喰仕上げ
  • 四半敷に見立てた目地を刻んだ土間床
  • 網代に編んだ腰壁

いずれも数寄屋造に通じる高い技能によるものと評価されている。四半敷は正方形の敷材を斜め45度に振って並べる敷き方で、土間の仕上げ面に目地を刻むことで、その意匠を一続きの床に写している。網代は薄く削いだ材を斜めに編み込む技法で、腰壁に使えば手仕事の細かさがそのまま壁面の表情になる。

客を迎える玄関に最も手間をかけた構成からは、この書院が矢橋家にとって対外的な顔であったことが読み取れる。

書院の見どころと見え方

矢橋家住宅書院(紅於亭)は、表門と塀の奥、主屋の西側にある。文化庁の記録が見どころとして挙げる玄関の土間や腰壁は建物の内側にあり、通りから確かめることはできない。

外から意識できるのは、表門の先にこの書院の玄関があるという位置関係である。街道に立って表門を正面に見たとき、その奥に客のための座敷棟が控えている。屋敷の間口に、家族の入口(主屋)と客の入口(表門から書院)が並んでいる構成を思い描くと、表通りの外観の意味が分かりやすい。

見学方法

矢橋家住宅書院(紅於亭)は非公開で、内部の見学はできない。表門と塀の奥にあるため、通りから建物を見るのも難しい。

門の内側をのぞき込んだり、敷地に立ち入ったりしないようにしたい。見学料や予約の仕組みはない。

Q&A

Q矢橋家住宅書院(紅於亭)は見学できますか?
Aできません。内部は非公開で、建物は表門と塀の奥にあるため、旧中山道の路上からも姿はほとんど見えません。
Q矢橋家住宅書院(紅於亭)はどんな建物ですか?
A嘉永年間(1848年から1854年)に建てられた二間続きの座敷棟で、主屋の西に接続し、北東に表門へ通じる式台玄関を持ちます。建築面積は84平方メートルです。
Q矢橋家住宅書院(紅於亭)はなぜ登録されたのですか?
A玄関の式台の黒漆喰、四半敷きの目地を付けた土間床、網代編みの腰壁など、数寄屋造に通じる高い技能が用いられ、再現が容易でないと評価されたためです。
Q矢橋家住宅書院(紅於亭)の登録番号と登録基準は何ですか?
A登録番号は21-0004で、登録基準は「再現することが容易でないもの」です。矢橋家住宅でこの基準が適用されたのは、書院と隠居(竹雪廬)の2棟だけです。
Q矢橋家住宅書院の別名「紅於亭」は何と読みますか?
A「こうおてい」と読みます。杜牧の詩句「霜葉は二月の花よりも紅なり」を思わせる名ですが、命名の経緯を記した公開資料は見当たりません。

基本情報

名称矢橋家住宅書院(紅於亭)
所在地岐阜県大垣市赤坂町226
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成9年(1997年)7月15日登録
員数1棟
寸法木造平屋建、瓦葺、建築面積84平方メートル
所有者文化庁データベースに記載なし
公開状況非公開(通りからは見えにくい)

参考文献

矢橋家住宅書院(紅於亭)(文化庁 国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000243
[62] 矢橋家住宅(大垣市公式ホームページ)
https://www.city.ogaki.lg.jp/0000019629.html
登録有形文化財(建造物)(岐阜県公式ホームページ)
https://www.pref.gifu.lg.jp/page/12417.html

最終更新日: 2026.09.24