経蔵とは

経蔵は、寺院で経典を納めておくための建物である。経堂とも呼ぶ。一切経などの大部の経典を保管するための建物で、古代の伽藍では鐘楼と対になるように講堂の前方に置かれることが多かったとされる。

内部に八角形の回転式の書架を据えた経蔵もあり、この書架や建物を輪蔵と呼ぶ。観光庁の解説は、日光の輪蔵について、八角形の回転棚に経典を納め、棚を一回転させることが中の経典を一字一句読むことと同じと考えられていると説明している。京都の仁和寺の経蔵も、八つの面に多数の引き出しをもつ八角形の回転書架を備える。

建物の形は、方形の平面に屋根をかけたものから、火災に備えて土蔵造としたものまでさまざまである。

記録と実物で見分ける手がかり

記録では、建物の形式と内部の設備が書かれる。兵庫県丹波市の慧日寺経蔵は、置き屋根式の切妻造、平入の土蔵造で、内部の南側を四・九メートル四方の吹抜けとし、奥に須弥壇を構えて扇垂木の軒をもつ宮殿風の経庫を置く、類例の少ない経蔵と記録される。岡山県の西大寺の経蔵(輪蔵)は、平面六角形の建物の内部に八角輪蔵を据え付けた遺構として解説されている。

記録では「経蔵(輪蔵)」のように併記されることが多い。記事では、回転書架をもつかどうかを記録や解説で確かめてから、輪蔵の語を使いたい。

参考文献

慧日寺経蔵|国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010325
三猿・御水舎・輪蔵|観光庁 地域観光資源の多言語解説文データベース
https://www.mlit.go.jp/tagengo-db/R2-00011.html
仁和寺 経蔵|観光庁 地域観光資源の多言語解説文データベース
https://www.mlit.go.jp/tagengo-db/en/R1-00349.html
西大寺高祖堂、経蔵(輪蔵)、仁王門、石門、鐘楼門|岡山県
https://www.pref.okayama.jp/uploaded/attachment/273130.pdf

最終更新: 2026.09.26