虫籠窓とは
虫籠窓は、町家や民家の二階正面で、土や漆喰で塗り込めた壁に、縦長の格子状の開口を並べて穿った窓である。格子の一本一本も木の芯に縄や土を巻いて塗り込めて造るため、壁と窓が一続きの塗り壁として見える。その形が虫かごに似ることからの名とされ、「虫子窓」とも書く。
虫籠窓は、低い二階と組み合わさることが多い。町家のつし二階は物置や使用人の寝所に使われた天井の低い空間で、そこに光と風を入れるための窓が虫籠窓である。記録では、田中家住宅主屋がつし2階建で、2階正面に虫籠窓を開くと書かれるように、二階の形式と並べて記されることが多い。
壁を軒裏まで塗り込める塗屋造の外観と結びつく点も特徴である。針中野中野鍼主屋の記録は「外壁は軒裏まで漆喰で塗込めて虫籠窓を穿ち」、枚方市の田中家住宅主屋の記録は「正面は軒まで塗込めて虫籠窓を穿ち」と書く。窓も含めて正面を土と漆喰で覆うことで、火に強い外構えになる。
記録と実物で見分ける手がかり
近い語との違いは、窓の格子が何でできているか、壁面から出ているかで見分けられる。虫籠窓の格子は塗り込めた土の格子で、壁と同じ面に収まる。出格子は木の格子を壁面より外に張り出したもので、主に一階の表に付く。連子窓は細い木の縦材を等間隔に並べた窓で、寺社や住宅に広く使われる。
虫籠窓は住宅に限らず、同じ屋敷の門や付属屋にも用いられる。枚方市の田中家住宅長屋門の記録は、正面を軒まで塗り込めて虫籠窓を穿つと書き、主屋と揃えた表構えをつくっていることが分かる。
現地では、二階の壁の白い塗り面に縦長のスリットが並んでいれば虫籠窓と考えてよい。開口の数や形は家ごとに異なり、長方形のほか、上下を丸めた形のものもある。後の改修でガラス窓に替えたり、内側から板でふさいだりしている例も多いため、記録の年代と照らし合わせて当初の姿を考える必要がある。
参考文献
- 針中野中野鍼主屋|国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013139
- 田中家住宅主屋(枚方市)|国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00012584
- 田中家住宅主屋|国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005638
- 田中家住宅長屋門(枚方市)|国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00012589
最終更新: 2026.09.26