ヒガシマル醤油元本社工場事務所及び圧搾場 ― 江戸後期の町家と明治の圧搾場
ヒガシマル醤油元本社工場事務所及び圧搾場は、兵庫県たつの市龍野町大手にある醤油工場の事務所と圧搾場からなる建物で、事務所は江戸後期(1751〜1830年)、圧搾場は明治中期(1883〜1897年)の建築とされ、平成25年(2013年)12月24日に国の登録有形文化財に登録された。登録番号は28-0569で、元本社工場の6件のうち最初の番号にあたる。
通りの北側の敷地に南面して建つ。構造は土蔵造平屋建、瓦葺一部鉄板葺で、建築面積は862平方メートル。ヒガシマル醤油元本社工場事務所及び圧搾場は6件のなかでもっとも広く、年代がもっとも古い部分も含んでいる。
ヒガシマル醤油元本社工場事務所及び圧搾場の表と奥
通りに見せているのは事務所の顔である。切妻造、本瓦葺の町家を基本とし、建ちの低いつし二階で、外壁は漆喰で軒先まで塗り込め、正面に虫籠窓をあける。醸造元の事務所でありながら、形は城下の商家そのものだ。
その背面に、明治中期の圧搾場が増築されている。文化庁の解説によれば、内部には圧搾機や生汁槽、煉瓦の煙突など、醤油造りに関わる設備が残る。熟成を終えた諸味(もろみ)を搾り、流れ出る生の醤油を槽に受けるのが圧搾の工程で、ヒガシマル醤油元本社工場事務所及び圧搾場の奥には醸造の最終段階の道具立てがまとまって残されていることになる。
表の町家は江戸後期、奥の作業場は明治中期。1棟として登録されていても、前と後ろで100年近い開きがある。
ヒガシマル醤油元本社工場事務所及び圧搾場が登録された理由
登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。町家を基本としたヒガシマル醤油元本社工場事務所及び圧搾場の正面は、西隣の仕込蔵三とともに通りの北側の並びをつくる。文化庁は仕込蔵三について、隣り合う事務所と調和した景観をつくると評しており、低い軒と白い壁をもつこの事務所が、その並びの基準になっている。
江戸後期の町家を事務所として使い続け、その奥に明治の生産設備を足していった構成も見逃せない。商いの場と製造の場が1棟のなかで前後に並ぶ形は、醸造元が町家の敷地のなかで仕事を広げていった過程をうかがわせる。
ヒガシマル醤油元本社工場事務所及び圧搾場の見学
ヒガシマル醤油元本社工場事務所及び圧搾場は工場の建物で、内部を一般に公開するという案内は見当たらない。圧搾機や生汁槽、煉瓦の煙突は内部の設備なので、通りからは見えない。外から見られるのは、通りに面した事務所の正面である。
虫籠窓の並ぶ低い2階と、軒先まで白く塗り込めた壁は、通りの南側に渡って少し離れると全体がつかみやすい。西隣の仕込蔵三と並べて眺めると、町家の事務所と町家風の仕込蔵がどう呼応しているかがよくわかる。敷地には入らず、通りから見学したい。
Q&A
- ヒガシマル醤油元本社工場事務所及び圧搾場はどんな建物ですか?
- 兵庫県たつの市龍野町大手の通りの北側に南面して建つ、醤油工場の事務所と圧搾場です。事務所は江戸後期の町家を基本とし、背面に明治中期の圧搾場が増築されています。土蔵造平屋建、瓦葺一部鉄板葺、建築面積862平方メートルです。
- ヒガシマル醤油元本社工場事務所及び圧搾場はいつ建てられ、いつ登録されましたか?
- 文化庁のデータベースでは、事務所が江戸後期(1751〜1830年)、圧搾場が明治中期(1883〜1897年)の建築です。平成25年(2013年)12月24日に登録有形文化財に登録されました。登録番号は28-0569です。
- ヒガシマル醤油元本社工場事務所及び圧搾場の中には何が残っていますか?
- 文化庁の解説によると、圧搾機、生汁槽、煉瓦の煙突など、醤油の製造に関わる設備が内部に残っています。
- ヒガシマル醤油元本社工場事務所及び圧搾場はなぜ登録有形文化財になったのですか?
- 「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録されました。漆喰で軒先まで塗り込めた壁と虫籠窓をもつ低いつし二階の正面が、隣の仕込蔵三とともに通りの景観をつくっています。
- ヒガシマル醤油元本社工場事務所及び圧搾場は見学できますか?撮影はできますか?
- 内部の一般公開の案内はなく、見学は通りから外観を見る形になります。撮影可否についての公式の案内は見当たらないため、敷地に入らず通りから撮るのが無難です。
基本情報
| 名称 | ヒガシマル醤油元本社工場事務所及び圧搾場(ひがしまるしょうゆもとほんしゃこうじょうじむしょおよびあっさくじょう) |
|---|---|
| 所在地 | 兵庫県たつの市龍野町大手61他 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物)/登録番号 28-0569 |
| 指定年 | 平成25年(2013年)12月24日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 土蔵造平屋建、瓦葺一部鉄板葺、建築面積862平方メートル |
| 所有者 | ヒガシマル醤油株式会社 |
| 公開状況 | 内部の一般公開の案内なし(外観は通りから見学可) |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース「ヒガシマル醤油元本社工場事務所及び圧搾場」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009811
- 文化庁 国指定文化財等データベース「ヒガシマル醤油元本社工場仕込蔵三」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009815
- 文化遺産オンライン「ヒガシマル醤油元本社工場事務所及び圧搾場」
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/279380
- たつの市「ヒガシマル醤油元本社工場」
- https://www.city.tatsuno.lg.jp/soshiki/1041/gyomu/5/4/4099.html
最終更新日: 2026.09.30