納戸とは
納戸は、衣類や道具を納める部屋である。窓を小さくして薄暗く保ち、座敷の裏手に置かれる。寝室を兼ねることも多い。
位置が記録に現れる。愛知県の瀧川家住宅主屋は文化11年の建築で、「表側2間続きの座敷を中心に、裏に納戸をとり、東側に大きな地炉のある土間、台所等を配する」と解説されている。表の座敷、裏の納戸という対比である。
栃木県の大川家住宅本蔵は嘉永4年の建築で、「主屋北西隅の納戸の西方に2階建の蔵前を介して南北棟で建つ」と解説されている。納戸が主屋の隅にあり、その先に蔵が続く配置で、物を納める空間が連続している。
福岡県の筑紫女学園香風亭は「十畳の主座敷と十五畳の次の間を中心に縁を廻らして下屋とし、三畳台目の茶室や納戸、玄関を付ける」と解説されている。接客の建物にも付属する。
棟として独立する例
秋田県の佐藤家住宅は明治33年の建築で、重要文化財の員数欄に「帳場棟、台所棟、納戸棟、座敷棟からなる」と記録されている。納戸が一棟をなし、帳場や座敷と並んで数えられている。
納戸は表からは見えない部屋であるため、記録でも簡潔に触れられることが多い。ただし平面の中での位置は、座敷や土間との関係で建物の使われ方を示す。
見学できる場合は、座敷の裏側を確かめるとよい。窓が小さく、収納のための造作が残っていれば納戸である。
参考文献
- 文化庁 文化財の紹介 登録有形文化財(建造物)
- https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/toroku_yukei.html
- 国指定文化財等データベース(文化庁)瀧川家住宅主屋/旗本設楽氏の陣屋を移築、座敷・納戸・地炉のある土間を配す
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004579
- 国指定文化財等データベース(文化庁)大川家住宅本蔵/外壁は腰を黒漆喰、上部を白漆喰に仕上げる
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003189
- 国指定文化財等データベース(文化庁)筑紫女学園香風亭/主座敷と次の間を中心に、茶室や納戸、玄関を付ける
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009080
- 国指定文化財等データベース(文化庁)佐藤家住宅(秋田県)/帳場棟、台所棟、納戸棟、座敷棟からなる
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/00005450
最終更新: 2026.09.02