登録記念物とは
登録記念物は、史跡・名勝・天然記念物に指定されていない記念物のうち、文化財としての価値に照らして保存と活用のための措置が特に必要なものとして、文部科学大臣が文化財登録原簿に登録したものである。根拠は文化財保護法第132条で、地方公共団体がすでに指定しているものは対象から除かれる。
制度は平成16年(2004年)の法改正で、有形の民俗文化財の登録制度とあわせて設けられ、平成17年4月1日に施行された。建造物を対象に平成8年から運用されてきた登録制度を、記念物にも広げたものである。
記念物は同法第2条第1項第4号に定義があり、遺跡、名勝地、動物・植物・地質鉱物の三つの系統からなる。登録記念物もこれに対応して「遺跡関係」「名勝地関係」「動物、植物及び地質鉱物関係」の3区分で登録され、記事や記録では「登録記念物(名勝地関係)」のように区分を添えて書かれる。
令和8年3月31日現在の登録件数は149件で、遺跡関係14件、名勝地関係129件、動物、植物及び地質鉱物関係6件である。名勝地関係が全体の9割近くを占める。
指定との違いと、登録されると何が起きるか
登録は指定よりも緩やかな保護の仕組みである。史跡名勝天然記念物では、現状変更や保存に影響を及ぼす行為に文化庁長官の許可が要る(第125条)。登録記念物では、現状を変更しようとする日の30日前までに文化庁長官へ届け出れば足り、文化庁長官は必要に応じて指導、助言または勧告を行う(第133条による第64条の準用)。維持の措置や非常災害のための応急措置は届出の対象外である。
考え方は建造物の登録有形文化財と共通しており、所有者による自主的な保存を前提に、届出と助言で守っていく。同じ「登録」でも対象は分かれていて、登録有形文化財は建物などの有形文化財、登録記念物は遺跡、庭園、動植物の生息地などの記念物を扱う。
登録されたものが、のちに史跡名勝天然記念物に指定されることもある。その場合、登録は抹消される(第133条による第59条第1項の準用)。登録と指定は同時には成り立たないので、記事では「登録された」と「指定された」を書き分け、経歴を書くときは登録から指定へ移った順序がわかるようにする。
参考文献
- e-Gov法令検索 文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)
- https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0100000214
- 文化庁 文化財の紹介 記念物
- https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/kinenbutsu/
- 文化庁 文化財指定等の件数(令和8年10月1日現在)
- https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/shitei.html
- 文化庁 文化財保護法の一部改正について(平成16年)
- https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunka_gyosei/shokan_horei/bunkazai/hogoho_kaisei.html
- 参議院 文化財保護法の一部を改正する法律案(第159回国会 閣法第87号)
- https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/159/meisai/m15903159087.htm
最終更新: 2026.10.04