笏谷石とは
笏谷石は、福井市の中央部にある足羽山丘陵の一帯から切り出された凝灰岩の石材である。越前石、福井石などとも呼ばれ、濡れると青みが増すことから越前青石の名もある。産業技術総合研究所地質調査総合センターの解説によれば、新第三紀中新世の凝灰岩で、採石の歴史は古墳時代にさかのぼる。
やわらかく加工しやすいため、用途は幅広い。古墳の石棺にはじまり、中世には石仏や石塔、近世には城の石垣や天守の石瓦に用いられた。丸岡城の天守の屋根が笏谷石の石瓦で葺かれていることはよく知られる。近世には三国湊から北前船で各地に運ばれ、北陸だけでなく東北や北海道にも笏谷石製の品が残る。
笏谷石は坑内で掘り出されていたが、同じ解説によれば、平成11年(1999年)に最後の採石事業所が廃業し、現在は新たに採掘されていない。修理で同じ石を確保することが難しい石材になっている。
記録と実物で見分ける手がかり
記録では、どの部分に笏谷石を使ったかが書かれる。齋藤家住宅の門柱は、笏谷石製の主柱と控柱を立てた門で、主柱の高さは3.1メートルに達し、県内の笏谷石製門柱の中でもとりわけ大型とされる。料亭天狗楼の表門は、棟石と鬼を笏谷石でつくり、同じ料亭棟は玄関に笏谷石を敷く。愛山荘の石蔵は、笏谷石を積んで壁とする。門柱、棟飾り、敷石、壁と、一つの石材が建物のさまざまな部分に使われていることが分かる。
現地では、石の色と肌を見る。青緑がかった灰色で、きめが細かく、表面が風化して丸みを帯びていれば笏谷石の可能性がある。雨に濡れた日には青みが強く見える。ただし、福井周辺には似た色の凝灰岩がほかにもあり、産地の特定は記録の記載に拠るのが確実である。
参考文献
- 近畿の石材(切石)笏谷石|地質ニュース(産業技術総合研究所 地質調査総合センター)
- https://www.gsj.jp/data/chishitsunews/01_09_04.pdf
- 齋藤家住宅門柱|国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00011297
- 料亭天狗楼表門|国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010774
- 愛山荘石蔵|国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00011682
最終更新: 2026.09.26