築地塀とは

築地塀は、土を突き固めたり塗り重ねたりしてつくった土塀の上に、瓦などで小さな屋根を載せた塀である。単に築地、あるいは築垣とも呼ばれる。古代から寺院や宮殿、官衙の周囲を囲む塀として用いられ、近世には御所や公家屋敷、寺院、大規模な屋敷の表構えに広く見られる。

古い築地塀は、両側に板で型枠を組み、その中に土を薄い層ごとに入れて叩き締める版築でつくられた。京都市埋蔵文化財研究所による東寺の東築地塀の調査では、数センチから10センチほどの厚みで土を何層にも叩き締めた版築が確かめられ、下層には室町時代の築地塀が残っていたことが報告されている。

一方、柱を立てて骨組みをつくり、その両面に土や漆喰を塗った構造の築地塀もある。京都の興正寺の築地塀の記録は、切石積の基礎の上に一間ごとに柱を立てて桁でつなぎ、外側を漆喰塗とすると書く。名称は築地塀でも、中身が版築の土とは限らない点に注意したい。

記録と実物で見分ける手がかり

登録有形文化財の記録では、「構造及び形式等」欄に「土塀、瓦葺、延長78m」のように構造の種別と延長が書かれ、解説で仕上げが補われる。藤岡家住宅の築地塀は、外面を中塗り、内面を漆喰で仕上げ、一部をモルタル塗とすると記される。

近い形式の練塀とは、名前と構造がしばしば入れ替わる。瓦と粘土を交互に積み重ねた塀は本来練塀と呼ぶが、谷中の観音寺の塀のように、名称を築地塀としながら記録の構造欄では練塀と書かれる例がある。記事では名称と構造欄の両方を確かめ、どちらの構造かを書き分けたい。

寺院の築地塀には、壁面に白い横線を引いたものがある。定規筋と呼ばれ、興正寺の築地塀は五本の定規筋を付けると記録される。線の数は寺格を表すものとされる。現地では、壁の上の屋根、壁面の仕上げ、基礎の石積を見て、記録と照らし合わせるとよい。

参考文献

東寺東築地塀の調査(リーフレット京都)|京都市埋蔵文化財研究所
https://www.kyoto-arc.or.jp/news/leaflet/305.pdf
藤岡家住宅築地塀|国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005346
興正寺東面南側築地塀|文化遺産オンライン
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/617240
「築地」について|鎌倉市
https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/rekibun/documents/01_oshiki.pdf

最終更新: 2026.09.26