日野家住宅納戸倉及び離れ

主屋の北方西寄りに、離れを介して東西棟の納戸倉が建つ。この納戸倉は屋敷全体で最も古い建物とされ、元禄15年(1702年)頃の建立である。

現存の背景には偶然と手入れの双方がある。明和7年(1770年)に一帯を襲った大火の際、この土蔵は焼失を免れ、以来、広島県安芸高田市甲田町深瀬におけるこの家の最も早い時期を今へつなぐ存在となってきた。

納戸倉は桁行約22メートルを測る大型の二階建土蔵で、大正前期に現在地へ移された。隣接する離れも大正前期のもので、六畳二室と板間に縁を廻らせた開放的な造りである。

登録の理由と価値

この納戸倉と離れは、平成27年(2015年)11月17日に歴史的景観への寄与を理由として登録有形文化財となった。屋敷内で最古であることから、8棟の中でも特別な重みを持ち、旧姓を中村という日野家の17世紀の起源を示している。

規模に見合う細部も備える。深い軒を方杖で支え、長い外壁は漆喰を厚く塗り込める。収蔵品を守り、風雨や火に耐えるための仕上げである。

離れはより軽やかな対照をなす。開放的な間取りと周囲を廻る縁が、それが仕える大きな閉じた土蔵に対して、くつろぎのある場をつくっている。

見どころ

見るべきは納戸倉の長い漆喰壁で、北側の開けた田に向かって伸びるさまが印象的である。軒下の方杖は、これほど深い屋根をどう支えたかを示しており、近くで見る価値がある。

二つの部分を合わせて読むのも楽しい。火を免れた閉じた土蔵と、風通しのよい離れが、収蔵と暮らしを並べて見せる。遠くからは淡い外壁が屋敷の歴史的な核を示す。

屋敷は私有地のため、納戸倉も離れも内部は公開されていない。いずれも道や周囲の土地から眺めるのがよい。近くで入れる史跡としては、自由に歩ける郡山城跡や安芸高田市歴史民俗博物館がある。

よくある質問

Qこの建物はなぜ重要なのですか。
A納戸倉は元禄15年(1702年)頃の建立で屋敷最古とされ、明和7年(1770年)の大火を免れました。
Q離れとはどのようなものですか。
A大正前期の軽やかな造りで、六畳二室と板間に縁を廻らせ、納戸倉に連なります。
Q納戸倉の大きさは。
A桁行約22メートルの二階建土蔵で、深い軒を方杖で支えています。
Q公開されていますか。
A私有地のため非公開ですが、道から眺めることができます。

基本データ

名称日野家住宅納戸倉及び離れ(ひのけじゅうたくなんどぐらおよびはなれ)
所在地広島県安芸高田市甲田町深瀬字久住甲172・乙172合併
指定区分登録有形文化財(建造物)
登録年月日平成27年(2015年)11月17日/登録番号 34-0151
構造土蔵造2階建及び木造平屋建、瓦葺、建築面積約199平方メートル
建築年納戸倉 元禄15年(1702年)頃・大正前期移築/離れ 大正前期(1912〜1918年)
公開状況私有地のため一般非公開

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁) — 日野家住宅納戸倉及び離れ
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00010894
安芸高田市 — 日野家住宅
https://www.akitakata.jp/ja/shisei/section/kyouiku/shisekibunkazai/cultural_asset/r899/
文化遺産オンライン — 日野家住宅主屋
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/276956

最終更新日: 2026.07.03