日野家住宅洋館

日野家住宅洋館は、主屋の南東に接続して建つ。昭和11年(1936年)の建築で、木造2階建、建築面積は約92平方メートルである。横板張の外壁と上下窓の並びが、隣り合う瓦葺の和風建築とは異なる表情を見せる。

この洋館は、家がなお地域の事業や公益的な活動を担っていた時期に建てられ、間取りにもその実務の暮らしが表れている。所在地は広島県安芸高田市甲田町深瀬、国道54号線沿いである。

屋根は寄棟造の桟瓦葺で、南面中央の出入口には幾何学的な意匠の持送で支えた小さな庇が付く。

登録の理由と価値

洋館は平成27年(2015年)11月17日、歴史的景観への寄与を理由に登録有形文化財となった。農村の一族が20世紀前半に洋風の形式を取り入れつつ、古い建物も手放さなかった様子がうかがえる。

内部は見せるためでなく使うために整えられている。1階には事務室と応接室が置かれ、来客への応対や諸事業の事務が行われた。2階は一室の集会室で、住むためではなく人が集うための空間である。

建物の価値は細部にもある。窓の室内側には和紙で作られたロールブラインドが残り、この部屋が実際にどう日を遮り使われたかを伝える控えめな痕跡となっている。

見どころ

外からは、その対比が楽しい。横板張の壁、上下窓の連なり、持送付きの小庇が、伝統建築の漆喰や瓦のすぐ隣に並ぶ。一つの屋敷の中で二つの建築言語を自在に行き来した家の姿が見て取れる。

南側出入口上の幾何意匠の持送や、上階の窓の律動に注目したい。内部に残る和紙のブラインドは、ふつうは失われやすい日用の品である。

私邸のため内部の見学はできず、洋館は建物群の一部として道から眺めるのがよい。近くで屋内に入れる場所としては、安芸高田市歴史民俗博物館や、自由に歩ける郡山城跡がある。

よくある質問

Q洋館はいつ建てられましたか。
A昭和11年(1936年)で、主屋の南東に接続して建っています。
Q何に使われていましたか。
A1階が事務室と応接室、2階が集会室で、家の事業や公益的な活動を反映した使い方でした。
Q内部に当初のものは残っていますか。
Aはい。窓の室内側に和紙のロールブラインドが残っています。
Q見学できますか。
A私邸の一部のため内部は非公開ですが、外観は道から眺められます。

基本データ

名称日野家住宅洋館(ひのけじゅうたくようかん)
所在地広島県安芸高田市甲田町深瀬字久住甲172・乙172合併
指定区分登録有形文化財(建造物)
登録年月日平成27年(2015年)11月17日/登録番号 34-0149
構造木造2階建、寄棟造桟瓦葺、建築面積約92平方メートル
建築年昭和11年(1936年)
公開状況私有地のため一般非公開

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁) — 日野家住宅洋館
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00010892
安芸高田市 — 日野家住宅
https://www.akitakata.jp/ja/shisei/section/kyouiku/shisekibunkazai/cultural_asset/r899/
文化遺産オンライン — 日野家住宅主屋
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/276956

最終更新日: 2026.07.03