白壁の奥の四十室

奥出雲町大谷、白壁の絲原家に入ると、約40室が連なる大邸宅の全容が見えてくる。主屋は大正13年(1924)の再建で、松江藩主を迎えた邸宅のなかでも最大の一棟である。

絲原家は奥出雲の砂鉄地帯でたたら製鉄を営んだ鉄師の家である。備後(現在の広島県)から移り住み、帰農ののち製鉄に加わった一族で、その歴史は約400年におよぶ。松江藩のもとでは鉄師頭取を務め、藩内の鉄師を統率した。現在の主屋は先代の居宅の跡地に建てられ、木造2階建に平屋部を伴い、瓦葺、建築面積は約900㎡を数える。

なぜ守るべき造形か

平成16年(2004)2月17日に登録有形文化財となり、登録基準は「造形の規範となっているもの」。農村の住宅としては破格の規模で、約40室・建坪およそ350坪が、接客・居住・勤めの各空間を一つの秩序ある構成にまとめている。用材には絲原家の山林から伐り出した木が使われ、大正期の造作や天井、窓ガラスが今も残る。

いまの主屋を歩く

主屋の一部は現在、カフェ「茶房十五代」となっている。天井や什器、窓硝子は大正期のもので、卓は絲原家山林の欅を挽いたものだという。座敷からは、江戸末期に砂鉄採取跡地で起工された池泉回遊式庭園が望める。見学は絲原記念館を通じて行い、展示替え日と年末年始を除き通年公開されている。

Q&A

Q主屋から何が読み取れますか。
Aたたら製鉄で築いた富の大きさである。松江藩主の宿所となり、与謝野晶子ら文人も迎えるだけの格式を備えていた。
Qいつ建てられましたか。
A現在の主屋は大正13年(1924)の建築で、同じ敷地の先代の居宅を建て替えたものである。
Q部屋数はどれくらいですか。
A記録では約40室、建坪およそ350坪とされる。
Q中に入れますか。
A絲原記念館の一部として公開され、一棟はカフェ「茶房十五代」として営業している。
Q撮影はできますか。
A撮影の可否は記念館の案内に従う。展示や室内で制限がある場合があるため受付で確認したい。

基本情報

名称絲原家住宅主屋
所在地島根県仁多郡奥出雲町大谷856-1
指定区分登録有形文化財(建造物)
登録年月日2004年(平成16)2月17日
登録番号32-0018
構造及び形式等木造2階一部平屋建、瓦葺、建築面積900㎡
時代・年代大正13年(1924)
登録基準造形の規範となっているもの
所有者個人(非公開)
公開状況絲原記念館の一部として公開

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース — 登録有形文化財(建造物)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00003909
絲原記念館 — 公式サイト
https://itoharas.com/
奥出雲町観光ガイド — 絲原記念館・絲原家住宅・庭園
https://okuizumo.org/jp/guide/detail/188/
しまね観光ナビ — 絲原記念館
https://www.kankou-shimane.com/destination/20282

最終更新日: 2026.07.05