鉄師である前の百姓

鉄で名を知られる前、絲原家は百姓だった。米蔵はその古い生業を目の前に置いている。江戸末期の建築で、絲原家の蔵のなかで最も古い一棟である。

米蔵は2階建の土蔵で建築面積は約118㎡、木組みに土を突き固め白く仕上げ、瓦を葺く。江戸末期の建築とされ、登録された絲原家の蔵では最古にあたる。この家の立場は独特だった。百姓として登録されながら松江藩の士分格を有し、米はその農の身分の基盤であると同時に、それ自体が富の蓄えでもあった。

在り続けることの価値

平成16年(2004)2月17日、歴史的景観の基準で登録された。米蔵は見せるための建築ではなく、働く建物の一群に属する。その価値は、失われずに、その場に在ることにある。大きな南蔵や主屋と並ぶことで、奥出雲の鉄師の家が、座敷や茶の華やぎと並べて、穀物を蓄えるという地味な営みをどう組み立てていたかが見えてくる。

華やぎを支えた米倉

この対比こそが眼目である。40室の主屋を歩き、茶庭を覗いた者は、ここでそのすべてを支えた米倉に出会う。江戸末期の仕口、防火の壁、瓦葺の屋根は、大きな在郷の邸宅の実務的な裏側として読める。米蔵は敷地内の順路から望める。

Q&A

Q米蔵の見どころは何ですか。
A登録された絲原家の蔵で最も古く、江戸末期にさかのぼる点である。
Q鉄師の家になぜ米蔵が要るのですか。
A絲原家は士分格をもつ登録上の百姓であり、米は身分と富の双方を支えた。
Qどのように造られていますか。
A2階建の土蔵で、木組みに土壁を塗り白漆喰で仕上げ、上に瓦を葺く。
Q大きさはどれくらいですか。
A2階で約118㎡である。
Q中に入れますか。
A記念館の敷地内にあり、立ち入りではなく順路から見学する。

基本情報

名称絲原家住宅米蔵
所在地島根県仁多郡奥出雲町大谷856-1
指定区分登録有形文化財(建造物)
登録年月日2004年(平成16)2月17日
登録番号32-0021
構造及び形式等土蔵造2階建、瓦葺、建築面積118㎡
時代・年代江戸末期
登録基準国土の歴史的景観に寄与しているもの
所有者個人(非公開)
公開状況絲原記念館の一部として公開

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース — 登録有形文化財(建造物)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00003912
絲原記念館 — 公式サイト
https://itoharas.com/
奥出雲町観光ガイド — 絲原記念館・絲原家住宅・庭園
https://okuizumo.org/jp/guide/detail/188/
しまね観光ナビ — 絲原記念館
https://www.kankou-shimane.com/destination/20282

最終更新日: 2026.07.05