日本最古の観覧車 ― 函館に息づく昭和の宝物

北海道函館市の函館公園内にたたずむ「函館公園こどものくに空中観覧車」は、1950年(昭和25年)に製造された、現役で稼働する日本最古の観覧車です。2019年(令和元年)12月には国の登録有形文化財に登録され、その歴史的・文化的価値が正式に認められました。

高さわずか10メートルの小さな観覧車ですが、そこには70年以上にわたって函館の人々に愛され続けてきた、かけがえのない物語が詰まっています。昭和のレトロな雰囲気を色濃く残すこの観覧車は、訪れる人々を懐かしい時代へと誘います。

歴史的背景

この観覧車の歴史は、1950年(昭和25年)にまで遡ります。当初は函館近郊の七飯町にある大沼国定公園の湖畔に設置されました。戦後復興期の日本において、人々に喜びと娯楽を届ける存在として親しまれました。

1965年(昭和40年)、観覧車は現在の函館公園内「こどものくに」へ移設されます。こどものくには1956年(昭和31年)5月に開園した小さな遊園地で、函館公園の一角に位置しています。函館公園そのものは1879年(明治12年)に、当時の函館駐在英国領事の呼びかけと市民の協力によって誕生した、全国的にも珍しい歴史ある都市公園です。

2006年(平成18年)には、こどものくにの遊戯機械を含む函館公園全体が国の登録記念物(名勝地)に登録され、日本で唯一の「文化財である遊園地」という称号を持つことになりました。そして2019年(令和元年)12月5日、空中観覧車は単独で国の登録有形文化財(建造物)に登録されました。

文化財指定の理由

文化審議会は、本観覧車を「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録有形文化財にふさわしいと評価しました。その主な理由は以下の通りです。

  • 国内に現存する観覧車の中で最も古く、現役で稼働している点が極めて希少であること。
  • 函館公園の象徴的存在として、地域の歴史的景観に大きく貢献していること。
  • 二本背合せの山形鋼を放射状に配し、外周と中間二か所を山形鋼で八角形に繋ぐという独特の構造が、昭和中期の工業技術を伝える貴重な資料であること。

この登録は、単なる構造物としての価値だけでなく、70年以上にわたり世代を超えて函館の人々に親しまれてきた文化的継続性をも評価したものです。

建築・構造の特徴

本観覧車は、鉄骨造で全体の高さは10メートル。二本の支柱の間隔は2.2メートルで、その間に直径8メートルのホイールが取り付けられています。ホイールは円形ではなく八角形をしており、二本背合せの山形鋼を放射状に配し、外周と中間の二か所を山形鋼で八角形に繋ぐという特徴的な構造を持っています。

ホイールの外周には8台のゴンドラが吊り下げられています。現代の観覧車で一般的なカプセル型ではなく、ベンチ型の2人乗りゴンドラで、囲いがない開放的な造りが最大の特徴です。乗客はベンチに座り、前方の柵を閉めてバーを握る方式で、風を直接感じながら空中散歩を楽しむことができます。

一周にかかる時間は約3分45秒。頂上付近では右手に津軽海峡、左手に函館山を望むことができます。こどものくにの公式サイトでは「ある意味絶叫系」と紹介されており、小さいながらも十分なスリルを味わえる構造となっています。

見どころ・魅力

日本最古の観覧車に乗る体験は、他では得られない特別なものです。ゆっくりと上昇するにつれ、函館公園の木々の上に広がる景色が目に飛び込んできます。囲いのないゴンドラから感じる津軽海峡の風、函館の歴史ある西部地区の街並み、そして函館山のシルエット——これらが一体となって、忘れがたい体験を生み出します。

こどものくにには観覧車のほかにも、開園当初から稼働するメリーゴーランドや空中ブランコなど、16種類のアトラクションがあります。入園料は無料で、各乗り物はチケット制(1枚350円)。8枚綴りの回数券(2,500円)やフリーパス(2,800円)もあり、手軽に楽しめます。

特におすすめの季節は春です。函館公園は北海道内でも早い時期に桜が開花するスポットとして知られ、例年4月下旬頃に見頃を迎えます。満開の桜に囲まれながら観覧車に乗る体験は、函館ならではの季節の楽しみとして大変人気があります。

周辺情報

函館公園とその周辺には、魅力的なスポットが数多くあります。

  • 函館公園ミニ動物園:公園内にある無料の動物施設。ウサギ、エゾリス、カルガモ、コハクチョウ、クジャク、イグアナ、カメなどが飼育されており、お子様連れに人気です。
  • 旧函館博物館一号・二号:公園内にある北海道有形文化財指定の歴史的建造物。函館の歴史を学ぶことができます。
  • 白川橋:北海道初の洋式石橋。公園内に現存しています。
  • 函館公園の竹林:寒冷地の北海道では珍しい孟宗竹の竹林を見ることができます。
  • 立待岬:公園から徒歩圏内。津軽海峡の絶景を楽しめ、天気の良い日には下北半島や津軽半島まで見渡せます。
  • 谷地頭温泉:公園近くの公共温泉。散策の後にゆっくりと疲れを癒すのに最適です。
  • 函館山:世界三大夜景の一つに数えられる函館山。ロープウェイやバスでアクセスできます。

Q&A

Q函館公園こどものくに空中観覧車はいつ造られましたか?
A1950年(昭和25年)に製造されました。当初は七飯町の大沼国定公園に設置され、1965年(昭和40年)に現在の函館公園内に移設されました。日本国内で現役稼働する観覧車としては最古のものです。
Q営業期間と営業時間を教えてください。
Aこどものくにの営業期間は3月中旬から11月下旬までです(雨天時は休園)。営業時間は平日11:00〜16:00、土日祝日・春休み・夏休み・GW期間は10:00〜17:00です。冬季(11月下旬〜3月中旬)は休園となります。
Q観覧車に乗るにはいくらかかりますか?
Aこどものくにへの入園は無料です。各乗り物はチケット制で、1枚350円。お得な8枚綴り回数券(2,500円)やフリーパス(2,800円)もあります。
Q小さな子どもでも乗れますか?
Aはい。ゴンドラはカプセル型ではなくベンチ型の開放的な造りですが、保護者同伴であればお子様も安全にお乗りいただけます。毎日の点検、月1回の定期整備、年1回の国指定検査を実施しており、安全管理は徹底されています。
Q函館公園へのアクセス方法は?
A函館市電の谷地頭行きに乗車し、青柳町駅で下車後、徒歩約2〜3分です。JR函館駅からは車で約10分。無料駐車場があり、桜の時期には臨時駐車場も開設されます。

基本情報

名称 函館公園こどものくに空中観覧車
文化財指定 国登録有形文化財(建造物)(令和元年12月5日登録)
建造年 1950年(昭和25年)製造/1965年(昭和40年)現在地に移設
構造 鉄骨造、高さ10m、ホイール直径8m、脚間2.2m、ゴンドラ8台(ベンチ型2人乗り)
所有者 北海興業株式会社
所在地 北海道函館市青柳町17
アクセス 函館市電「青柳町」駅下車 徒歩約2分/JR函館駅より車で約10分
営業期間 3月中旬~11月下旬(冬季休園・雨天休園)
営業時間 平日 11:00〜16:00/土日祝・春夏休み・GW 10:00〜17:00
料金 入園無料/乗り物チケット1枚350円(8枚綴り2,500円・フリーパス2,800円)

参考文献

函館公園こどものくに空中観覧車 - 文化遺産オンライン
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/413945
「函館公園こどものくに空中観覧車」が新たに国の登録有形文化財に登録されました - 函館市
https://www.city.hakodate.hokkaido.jp/docs/2019051300012/
函館公園 こどものくに - はこぶら(函館市公式観光サイト)
https://www.hakobura.jp/spots/351
昭和レトロな"映えスポット"として再注目!日本最古の観覧車のある「函館公園こどものくに」の魅力を徹底解説 - Domingo
https://domingo.ne.jp/article/41350
『函館公園こどものくに』にある国内最古と国内初の乗り物・遊具とは? - 北海道ファンマガジン
https://hokkaidofan.com/201405kodomonokuni/

最終更新日: 2026.03.28