幕末に建った袴腰付の鐘楼

慧日寺鐘楼は、兵庫県丹波市山南町太田の慧日寺境内に慶応3年(1867年)に建てられた鐘楼で、平成26年(2014年)12月19日に国の登録有形文化財に登録された。木造2階建、檜皮葺、建築面積5.9平方メートルの小さな建物で、慧日寺で登録された5棟のうち最も新しい。

慧日寺鐘楼は方丈の南に建つ。低い乱石積の基壇の上に、棟を東西に通して据えられている。平面は柱間1つ分の方一間で、下層を袴腰と呼ばれる裾広がりの板囲いで覆い、上層に鐘を吊る形式である。

登録の理由:丈の高さがつくる存在感

慧日寺鐘楼の登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁の解説は、丈が高く存在感のある鐘楼と評している。

建築面積は5.9平方メートルしかない。それでも、袴腰で持ち上げた上層に入母屋造の檜皮葺屋根を載せることで、背の高い姿になっている。方丈と庫裏の茅葺屋根が低く横に広がる境内で、慧日寺鐘楼は縦の線を加える存在である。

年代には注意が要る。兵庫県立歴史博物館の解説は、方丈・鐘楼などを元禄年間(1688〜1704年)以降、一説に享保3年(1718年)の再建とする。文化庁の登録データは慶応3年としており、両者には150年ほどの開きがある。このページは登録データに従っている。

見どころ:鐘の上に重なる架構と組物

見上げてほしいのは上層の内側である。慧日寺鐘楼では梁を現し(見せたまま)として銅鐘を吊り、その上で化粧隅木の尻を組む。天井は張らず、屋根の裏側をそのまま見せる化粧屋根裏とする。鐘の上方に、屋根の骨組みが幾重にも重なって見える。

軒は二軒の繁垂木で、垂木を上下2段にし、間隔を詰めて並べる。上層の縁を支える腰組には、二手先の詰組を用いる。二手先は組物が壁面から2段にわたって前へ持ち出す形式、詰組は柱の上だけでなく柱と柱のあいだにも組物を並べる手法である。文化庁の解説も、この縁腰組の充実ぶりに触れている。

足もとの乱石積は、形のそろわない自然石を積んだ基壇である。整った切石ではない素朴な石組みの上に、檜皮葺の柔らかな屋根が載る。

慧日寺鐘楼の見学方法

慧日寺鐘楼は、慧日寺の拝観時間内に入山料を納め、境内から外観を見学する。境内への行き方と拝観の条件は、慧日寺のページにまとめてある。

鐘を撞いてよいかどうかについて、公式の観光案内には記載が見当たらないため、寺の許しなく撞くことは避けたい。上層の組物と化粧屋根裏は、基壇の外から見上げて観察できる。撮影の扱いも、受付で確かめておくとよい。

Q&A

Q慧日寺鐘楼はいつ建てられましたか?
A文化庁の登録データでは慶応3年(1867年)で、慧日寺で登録された5棟のうち最も新しい建物です。兵庫県立歴史博物館は元禄年間以降の再建とする説を紹介しており、年代には見方の違いがあります。
Q慧日寺鐘楼の「袴腰」とは何ですか?
A鐘楼の下層を裾広がりの板で覆った部分で、袴をはいたような形になることからこう呼ばれます。慧日寺鐘楼では袴腰で持ち上げた上層に鐘を吊っています。
Q慧日寺鐘楼の見どころはどこですか?
A上層の内側です。梁を見せたまま銅鐘を吊り、その上に化粧隅木の尻を組んだ化粧屋根裏が見えます。軒の二軒繁垂木と、縁を支える二手先詰組の腰組も見どころです。
Q慧日寺鐘楼はなぜ登録有形文化財になったのですか?
A「国土の歴史的景観に寄与しているもの」という基準で、平成26年(2014年)に登録されました。文化庁の解説は、丈が高く存在感のある鐘楼と評しています。
Q慧日寺鐘楼の鐘は撞けますか?
A公式の観光案内に記載がないため、寺の許しなく撞かないようにしてください。外観は拝観時間内に境内から見学できます。

基本情報

名称慧日寺鐘楼
所在地兵庫県丹波市山南町太田127-1
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年2014年(平成26年)
員数1棟
寸法建築面積5.9平方メートル
所有者宗教法人慧日寺
公開状況境内は拝観可(入山料あり)。外観を境内から見学

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):慧日寺鐘楼
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010326
文化遺産オンライン:慧日寺鐘楼
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/289109
丹波市:国指定・選択・登録文化財
https://www.city.tamba.lg.jp/soshiki/shakaikyoikubunkazaika/gyomuannai/7/1/1650.html
兵庫県立歴史博物館「ひょうご歴史の道」:慧日寺
https://www.hyogo-c.ed.jp/~rekihaku-bo/historystation/trip/html/079/079.html
ぶらり丹波路(兵庫丹波観光ネットワーク推進委員会):慧日寺
https://www.burari-tambaji.com/spot/65

最終更新日: 2026.09.19