10棟のうち残った1棟

荒川家住宅土蔵は、茨城県筑西市字田町甲929-1他に建つ明治後期の土蔵造2階建で、平成23年(2011年)に登録有形文化財に登録された。桟瓦葺の切妻造、建築面積は67平方メートル。

建つのは主屋の南、庭園を挟んだ位置である。棟は東西に通り、桁行9.4メートル、梁間5.6メートル。

筑西市の解説によれば、かつて荒川家の敷地には南北に走るトロッコレールがあり、それを挟んで5棟ずつ、計10棟の蔵が並んでいた。荒川家住宅土蔵は、そのうち唯一残った1棟である。

蔵10棟という規模

蔵が10棟あり、その間をレールが貫いていたという記述は、荒川家が扱った荷の量を示している。肥料や荒物、雑貨の卸問屋にとって、蔵は在庫そのものだった。人の手で運ぶ距離を短くするためにレールが敷かれ、レールに沿って蔵が並ぶ。

いま残るのは荒川家住宅土蔵1棟だけで、レールも失われている。それでも、庭園の南に1棟だけ残る蔵の大きさから、かつての並びの規模を推し量ることはできる。

登録番号は08-0255、登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。平成元年(1989年)に改修を受けている。

深い下屋と、8尺9寸の扉

荒川家住宅土蔵の北面には深い下屋がかかり、その下に出入口を2か所開ける。扉は掛子塗の両開戸で、框と扉の合わせ目を段状に噛み合わせて隙間をなくす仕上げである。火と湿気を同時に防ぐための工夫になる。

筑西市はこの大扉の高さを8尺9寸と記す。約2.7メートルにあたる。人の背丈を大きく超える扉が2組並ぶ姿は、荷を通すための寸法がそのまま外観になったものである。

内部は和小屋を組み、漆喰で仕上げる。屋根裏に太い梁が渡る構成で、蔵としては標準的だが、この規模で通しているところに問屋の建物らしさがある。

庭園越しに見ると、白い壁が緑を背にして重く据わる。文化庁の解説はこの効果を、庭園の景観を引き締めるものとして評価している。

見学方法とアクセス

荒川家住宅土蔵は個人の所有で、内部は公開されていない。庭園の南側という位置のため、国道50号側から建物を見ることもできない。外観の写真は文化庁の国指定文化財等データベースで確認できる。

撮影のために敷地へ入ることはできない。庭園も私有地である。

下館駅北口から北へ約700メートル、所要は徒歩10分程度。JR水戸線、関東鉄道常総線、真岡鐵道が乗り入れる。同じ敷地の旧店蔵は国道に面しており、そちらの外観は歩道から見られる(2026年9月5日時点)。

Q&A

Q荒川家住宅土蔵は見学できますか。
A荒川家住宅土蔵は非公開です。庭園の南側に建つため国道側からも見えません。同じ敷地の旧店蔵は国道に面しており、外観を見ることができます。
Q荒川家住宅土蔵はいつ建てられ、いつ登録されましたか。
A明治後期の建築で、平成元年(1989年)に改修されています。登録は平成23年(2011年)7月25日、登録番号は08-0255です。
Q荒川家住宅土蔵はもともと何棟あったうちの1棟ですか。
A筑西市によれば、敷地を南北に走るトロッコレールを挟んで5棟ずつ、計10棟の蔵が並んでいました。現存するのは荒川家住宅土蔵の1棟だけです。
Q荒川家住宅土蔵の扉はどれくらい大きいのですか。
A筑西市は大扉の高さを8尺9寸としています。約2.7メートルにあたり、北面の深い下屋の下に出入口が2か所開きます。扉は掛子塗の両開戸です。
Q荒川家住宅土蔵へのアクセスを教えてください。
A下館駅北口から北へ約700メートル、徒歩10分ほどです。JR水戸線、関東鉄道常総線、真岡鐵道が乗り入れています。

基本データ

名称荒川家住宅土蔵(あらかわけじゅうたくどぞう)
所在地茨城県筑西市字田町甲929-1他
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成23年(2011年)登録
員数1棟
寸法土蔵造2階建、瓦葺、建築面積67平方メートル
所有者個人
公開状況非公開。国道側からも見えない

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース(登録有形文化財・建造物)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00008635
茨城県教育委員会「荒川家住宅主屋ほか2棟」
https://kyoiku.pref.ibaraki.jp/bunkazai/bunkazai-registered-6038/
筑西市「荒川家住宅」(登録番号08-0253〜08-0255)
https://www.city.chikusei.lg.jp/kyouiku-bunka-sports/bunkazai/nationally-registered/page001170.html

最終更新日: 2026.09.05