屋敷でいちばん古い蔵

荒川家住宅内蔵は、茨城県筑西市甲868の荒川家の屋敷奥に建つ明治元年(1868年)の土蔵造2階建で、平成11年(1999年)に登録有形文化財に登録された。桟瓦葺の切妻造、建築面積は50平方メートル。

棟は南北に通り、妻側から入る妻入。桁行4間、梁間3間の規模である。奥座敷である付属屋の背後に位置し、その廊下がそのまま蔵前として使われる。蔵と座敷が廊下1本で直結する構えになる。

同じ敷地の5棟のうち、荒川家住宅内蔵がもっとも古い。表通りに面した店蔵より約40年、洋館の主屋より65年さかのぼる。

「再現することが容易でない」という登録基準

荒川家住宅内蔵の登録番号は08-0010で、登録基準は「再現することが容易でないもの」である。同じ屋敷でも主屋・店蔵・付属屋の3棟は「造形の規範となっているもの」で登録されており、内蔵と石蔵の2棟だけが別の基準をあてられている。

この違いは施工の質に関わる。厚く塗り重ねた壁も、黒漆喰の仕上げも、今日では同じ手順を踏める職人と材料をそろえること自体が難しい。荒川家住宅内蔵は、そうした技術の側から評価された建物である。

松と鶴の鏝絵、黒漆喰の観音扉

荒川家住宅内蔵の南面には、黒漆喰塗の観音扉が付く。左右に開く両開きの重い扉で、艶のある黒い表面が漆喰とは思えない硬さを見せる。

見どころは扉ではなく壁面にある。奥座敷に面した側が、松と鶴の漆喰で仕上げられている。鏝絵は、鏝で漆喰を盛り上げて図柄をつくる左官の技法である。茨城県教育委員会はこの仕上げを県内では珍しいものとして挙げている。

蔵は本来、人に見せる建物ではない。それでも奥座敷から見える一面にだけ絵を置いたのは、そこが客の目に入る面だったからだろう。

ただし、この壁は屋敷の内側を向いている。通りからは見えない。

見学方法とアクセス

荒川家住宅内蔵は個人の住宅の一部として使われており、公開されていない。屋敷の奥にあるため通りからも見えず、鏝絵を実見する機会は現状ない。写真は文化庁の国指定文化財等データベースで確認できる。

撮影のために敷地へ立ち入ることはできない。隣接する私有地から覗くことも避けてほしい。

下館駅北口から徒歩10分、距離にして約700メートル。JR水戸線、関東鉄道常総線、真岡鐵道が乗り入れる。公開の可否について確認したい場合は、筑西市の文化スポーツ課が問い合わせ先になる(2026年9月5日時点)。

Q&A

Q荒川家住宅内蔵は見学できますか。
A荒川家住宅内蔵は非公開です。屋敷の奥にあり通りからも見えません。写真は文化庁の国指定文化財等データベースで見ることができます。
Q荒川家住宅内蔵はいつ建てられましたか。
A明治元年(1868年)の建築です。同じ敷地の5棟のうちもっとも古く、平成11年(1999年)8月23日に登録有形文化財に登録されました。登録番号は08-0010です。
Q荒川家住宅内蔵の鏝絵とはどのようなものですか。
A奥座敷に面した壁面が、松と鶴の図柄で仕上げられています。鏝絵は鏝で漆喰を盛り上げて絵をつくる左官技法で、茨城県教育委員会はこの仕上げを県内では珍しいものとしています。
Q荒川家住宅内蔵の登録基準はほかの棟と違うのですか。
A違います。荒川家住宅内蔵と石蔵の2棟は「再現することが容易でないもの」、主屋・店蔵・付属屋の3棟は「造形の規範となっているもの」で登録されています。
Q荒川家住宅内蔵の最寄り駅と所要時間を教えてください。
A下館駅です。北口から約700メートル、徒歩10分ほど。JR水戸線、関東鉄道常総線、真岡鐵道が乗り入れています。

基本データ

名称荒川家住宅内蔵(あらかわけじゅうたくうちぐら)
所在地茨城県筑西市甲868
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成11年(1999年)登録
員数1棟
寸法土蔵造2階建、瓦葺、建築面積50平方メートル
所有者個人
公開状況非公開。通りからも見えない

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース(登録有形文化財・建造物)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00001237
茨城県教育委員会「荒川家住宅母家ほか4棟」
https://kyoiku.pref.ibaraki.jp/bunkazai/bunkazai-registered-6491/
筑西市「荒川家住宅」(登録番号08-0007〜08-0011)
https://www.city.chikusei.lg.jp/kyouiku-bunka-sports/bunkazai/nationally-registered/page000272.html

最終更新日: 2026.09.05