大塚家住宅とは
大塚家住宅は、茨城県つくば市栗原にある江戸時代中期の民家で、昭和51年(1976年)2月3日に重要文化財に指定された。桁行18.5メートル、梁間11.6メートルの寄棟造・茅葺の主屋1棟が指定の対象である。
筑波山の南に広がる田畑のなかに、大屋根だけが低い樹木の上に浮かんで見える。近づくと、正面の幅がかなりあることに気づく。18.5メートルという桁行は、同じ地域の農家としては群を抜いて大きい。
大塚家は代々この地の名主を務めた家で、歴代の当主が源兵衛を名乗ってきたと茨城県教育委員会は記している。太田道灌の系譜をひく旧家とも伝えられる。指定名称に「茨城県新治郡桜村」という括弧書きが付いているのは、指定を受けた昭和51年(1976年)当時の所在地がそう呼ばれていたためで、桜村は昭和62年(1987年)につくば市の一部になった。名称のほうは指定時のまま据え置かれている。
整形四間取りという平面
大塚家住宅の骨格は「整形四間取り」と呼ばれる平面にある。田の字に4つの部屋を並べ、その手前に土間を取る形式で、部屋の境が通し柱の線でそろう。間仕切りが規則正しく並ぶぶん、柱の位置が揃い、梁の架け方も単純になる。近世の民家が、行き当たりばったりの増築から整った設計へ移っていく途中に現れた形と考えられている。
茨城県教育委員会は、県内における整形四間取りの初期の例として大塚家住宅を位置づけ、現在の建物は12代目の当主が正徳から享保にかけての頃、つまり18世紀前期に建てたと伝えられるとしている。文化庁の国指定文化財等データベースは年代を江戸中期(1661年から1750年)と記す。
平面は曲がらず一直線で、こうした民家を直屋(すごや)という。西面には桁行4.8メートル、梁間5.7メートルの突出部があり、ここが「まや」、つまり馬を入れる場所だった。母屋と馬屋を一つの屋根の下に収めず、下手側に張り出させる納め方は、関東の平地に多い。
なぜ重要文化財なのか
国指定文化財等データベースの解説は、大塚家住宅を「名主の住宅」とし、茨城県下に分布する整形四間取り民家のうち、大規模で質が良く、保存の良い遺例と評価している。昭和51年(1976年)2月3日の重要文化財指定は、この3点を根拠としたものである。
民家の指定では、古さだけが基準になるわけではない。その地域にどういう住宅の型が分布していたのか、その型の代表として何が残っているのか、後世の改造がどの程度で止まっているのか。大塚家住宅はこの三つの問いにいずれも答えられる建物として選ばれた。県内には江戸期の民家がほかにも残るが、名主層の家でこれだけの規模を保ったまま伝わった例は限られる。
大塚家住宅の見どころ
まず屋根を見てほしい。寄棟造の茅葺で、四方に葺きおろした面が地面に近いところまで下りてくる。軒先は幾重にも刈り込まれ、断面が層になって見える。茅の厚みは軒付けの部分でもっとも増し、そこに家の格式が現れる。
東面には庇が付いていて、この部分だけは桟瓦葺になっている。茅と瓦が同じ建物の上で接する場面は、写真で見るよりも実物のほうが違和感なく収まっている。屋根の材が切り替わる線を目で追うと、この庇が本体より後の手当てであることが読み取れる。
西へ回ると、まやの突出部が見える。桁行4.8メートル、梁間5.7メートル。母屋の壁面から直角に出た小さな棟は、住居と生業が同じ敷地で完結していた頃の名残である。
大塚家住宅は今も人が暮らす家で、庭先には季節ごとに違うものが置かれている。生活の気配があることも、この建物の見どころのひとつと言っていい。
大塚家住宅の見学方法とアクセス
大塚家住宅は個人の住まいとして使われている。屋敷前の道からは主屋の正面と茅葺屋根の全体が無理なく見え、外観を眺めるだけなら自由にできる。内部の見学は、案内では午前9時から午後4時までとされ、料金はかからない。ただし住人のいる家であるから、門前で声をかけて承諾を得てから入るのが前提になる。食事どきなど、生活の時間帯は避けたい。
撮影についても同様で、外観は道路上から撮ることができるが、内部や庭に立ち入っての撮影は必ず住人に確認する。訪問前に条件を確かめたい場合は、つくば市教育局文化財課(電話029-883-1111)が窓口になる。
アクセスは、つくばエクスプレスのつくば駅、またはJR常磐線の土浦駅からバスが利用できる。いずれも栗原方面へ向かう路線で、便数は多くない。時間が読めるのは車で、つくば駅からおよそ20分、常磐自動車道の桜土浦インターチェンジからも同程度である。専用の駐車場は設けられていないため、路上駐車にならないよう周辺の状況を見て停める必要がある。
Q&A
- 大塚家住宅は見学できますか。内部にも入れますか。
- 外観は屋敷前の道からいつでも見られます。内部については午前9時から午後4時までの公開と案内されていますが、現在も人が住む個人の住宅ですので、訪ねた際に声をかけて承諾を得てください。確実を期すなら、つくば市教育局文化財課に事前に問い合わせるのが安心です。
- 大塚家住宅の見学に料金はかかりますか。
- 見学料は不要です。ただし居住者の好意で成り立っている公開ですので、静かに見学し、生活の時間帯を避ける配慮をお願いします。
- 大塚家住宅はいつ建てられた建物ですか。
- 文化庁の国指定文化財等データベースは江戸中期、西暦では1661年から1750年の間としています。茨城県教育委員会は、12代目の当主が正徳から享保にかけての頃、18世紀前期に建てたと伝えられると記しています。
- 大塚家住宅の「整形四間取り」とはどういう間取りですか。
- 田の字に4室を並べ、その手前に土間を置く平面のことです。部屋の境が柱の通りでそろうため、間取りが整然とし、梁の架け方も単純になります。大塚家住宅は茨城県内におけるこの形式の初期の例とされています。
- 大塚家住宅へはどう行けばよいですか。最寄り駅はどこですか。
- つくばエクスプレスのつくば駅、またはJR常磐線の土浦駅が起点になります。どちらからも栗原方面へのバスがありますが本数は限られるため、車の利用が現実的です。つくば駅からおよそ20分、常磐自動車道の桜土浦インターチェンジからも同程度です。
基本データ
| 名称 | 大塚家住宅(茨城県新治郡桜村) |
|---|---|
| 所在地 | 茨城県つくば市大字栗原835番地 |
| 指定区分 | 重要文化財 |
| 指定年 | 昭和51年(1976年)2月3日 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 桁行18.5メートル、梁間11.6メートル、西面突出部は桁行4.8メートル、梁間5.7メートル |
| 所有者 | 個人 |
| 公開状況 | 現在も住居として使用。外観は屋敷前の道から見学可、内部は居住者の承諾が必要 |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース 大塚家住宅(茨城県新治郡桜村)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/248
- 文化遺産オンライン 大塚家住宅(茨城県新治郡桜村)
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/143948
- 茨城県教育委員会 いばらきの文化財 大塚家住宅
- https://kyoiku.pref.ibaraki.jp/bunkazai/kuni-20/
- つくば市 文化財の保護
- https://www.city.tsukuba.lg.jp/soshikikarasagasu/kyoikukyokubunkazaika/gyomuannai/2/1/1001638.html
最終更新日: 2026.09.06