四国鉄道発祥の地に残る転車台
蒸気機関車は、向きを変える場所を必要とした。JR多度津駅の構内南西部には、花崗岩で縁取られた円形のピットの中で今も回転する鉄製の転車台が残る。昭和25年(1950年)の製作で、橋桁の直径は約19メートル。機関車をそのまま載せて半回転させ、来た方向へ向き直らせるための施設である。
多度津は四国の鉄道が始まった土地でもある。明治22年(1889年)に讃岐鉄道が丸亀と琴平の間を開業し、当地に置かれた車両修繕の工場が、のちにJR四国唯一の車両工場へと育った。転車台は、その稼働する鉄道の風景の中にある。
登録の理由と価値
この転車台の特色は足もとにある。現存する転車台の多くはコンクリート造のピットに収まるが、ここでは石造で、直径18.5メートル・深さ0.8メートル、側面を花崗岩の切石で積み上げ、上端には笠石をまわして仕上げる。こうした石造のピットは全国的にも数が少ない。
上部の橋桁は鋼製の上路式で、中央の支承と桁両端の車輪で支えるバランスト式を採る。平成24年(2012年)、再現することが容易でないものとして国の登録有形文化財に登録された。今日では再現の難しい材料と技術が評価されている。
見どころと訪ね方
縁に立つと、見どころは石積みそのものにある。花崗岩の整った目地、擦れた笠石、地面に刻まれた正円の静かな幾何。
転車台は博物館ではなく稼働中の鉄道施設に属するため、自由に立ち入ることはできない。工場とその建物群を間近に見る機会は、毎年10月の鉄道の日前後に開かれる一般公開「きしゃぽっぽまつり」で、当日は多度津駅から構内へシャトル列車が運転される。団体見学は事前申込で受け付ける場合もある。日程は年によって変わるため、訪問前にJR四国の案内を確認したい。関連する車両を常設展示で見るなら、愛媛県西条市の四国鉄道文化館をあわせて訪ねるとよい。
Q&A
- この転車台の何が珍しいのですか。
- 多くの現存例がコンクリート造であるのに対し、ピットが花崗岩の切石積みで、これほどの規模の石造ピットは全国でも少ない点です。
- いつ造られ、いつ登録されましたか。
- 鉄製転車台は昭和25年(1950年)の製作で、平成24年(2012年)8月に登録有形文化財となりました。
- 見学できますか。
- 稼働中のJR四国の鉄道施設内にあり、通常は自由見学できませんが、毎年10月頃の鉄道の日前後に一般公開が行われます。
- 大きさはどのくらいですか。
- 橋桁の直径は約19メートル、石造ピットは直径18.5メートル・深さ0.8メートルです。
基本情報
| 名称 | JR多度津駅構内転車台 |
|---|---|
| 所在地 | 香川県仲多度郡多度津町栄町3甲352-3他 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物)/登録 平成24年(2012年)8月13日 |
| 登録番号 | 37-0383 |
| 員数 | 1基 |
| 製作年 | 昭和25年(1950年) |
| 構造・形式 | 鉄製転車台、直径19メートル。石造ピット(花崗岩切石積)直径18.5メートル・深さ0.8メートル |
| 所有者 | 四国旅客鉄道株式会社 |
| 公開状況 | 稼働中の鉄道施設のため通常非公開。毎年10月頃に一般公開あり |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009387
- 文化遺産オンライン 香川県・仲多度郡多度津町
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/region/37/37404
最終更新日: 2026.07.03