一辺に並ぶ二種類の塀
寺村徳夫家住宅塀は屋敷地の西辺を画する外塀で、実際にはひとつの中に二種類の塀を含む。南部の約十メートル、長屋門の北西端に発する部分は、土佐漆喰を塗った高さ一・七メートルの土塀である。北部の約十三メートル、蔵に附属する木戸門から南へ延びる部分は、石と土でつくる石練塀とする。
見るべきはこの北部の石練塀である。乱積の石積を基礎とし、両端部を古瓦積とし、その間を川原石の練積で埋める。全体には瓦を載せる。漆喰の部分が滑らかで白いのに対し、石の部分は肌理があって灰色を帯び、二つが合わさって、路地に接する屋敷の外面を形づくる。
登録の理由
塀が国の登録有形文化財となったのは平成17年(2005)7月12日、登録番号は39-0187で、この年に登録された敷地の五棟の掉尾を飾る。区分は建造物以外の工作物にあたり、登録の基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。
塀を国の登録にのせるのは軽いことに見えるかもしれないが、この地区ではむしろ中心にある。川原石と古瓦を赤土で練り固めた石練塀は、土居廓中の町並みを特徴づける造りのひとつで、地区の景観を語る際に繰り返し挙げられる。寺村家の塀を登録することは、この種の造りを、ひとつの完結した屋敷の一部として、その場に守ることを意味する。年代は屋敷の他の建物とともに明治後期である。
見どころ
塀が建つのは、五藤家の家臣たちの屋敷が並んだ土居廓中である。五藤家は土佐藩の家老を務めた家柄で、地区は平成24年(2012)に国の重要伝統的建造物群保存地区となった。路地を歩くと、同じ語彙が繰り返される。切り揃えた生垣、安芸川の川原石を用いた側溝、そしてこの漆喰と練石の瓦塀である。寺村家の塀は、そのうち二つの技法を一辺に集めている。
漆喰の南部と石積の北部が接する境で足をとめ、腰の高さで表情がどう変わるかを見たい。石練塀の両端に古瓦が積み込まれた箇所をよく見れば、廃材を用いるこの地方らしい手法がわかる。境界の塀であるから、これは屋敷のなかでも中に入らずに道路から十分に味わえる部分である。
Q&A
- 石練塀とは何ですか。
- 石と土でつくる塀です。ここでは川原石を練り、両端に古瓦を積み、乱積石積の基礎に載せ、瓦で覆っています。
- なぜ二種類の塀があるのですか。
- 南部の約10メートルは高さ1.7メートルの土佐漆喰の土塀、北部の約13メートルは石練塀です。合わせて屋敷地の西辺を画します。
- 道路から見られますか。
- 見られます。境界の塀なので路地に面し、外から十分に眺められます。屋敷の他の部分は個人のもので、地区で内部を公開しているのは野村家住宅です。
- 本当に古瓦が塀に積まれているのですか。
- 積まれています。石練塀の両端に古瓦が積み込まれており、廃材を再利用するこの地域の塀に特徴的な造りです。
- どうやって行きますか。
- ごめん・なはり線の安芸駅からレンタサイクルで約15分、または安芸元気バスで野良時計前下車すぐ。高知龍馬空港からは車で約40分です。
基本情報
| 名称 | 寺村徳夫家住宅塀(てらむらのりおけじゅうたくへい) |
|---|---|
| 所在地 | 高知県安芸市土居993-1 |
| 区分 | 登録有形文化財(建造物) 登録番号 39-0187 |
| 登録年月日 | 平成17年(2005)7月12日(告示 8月2日) |
| 員数 | 1棟 |
| 構造 | 土塀、瓦葺、延長約23m(漆喰塗の土塀約10m・石練塀約13m) |
| 年代 | 明治後期(1868〜1911) |
| アクセス | ごめん・なはり線安芸駅からレンタサイクル約15分。土居廓中伝統的建造物群保存地区内 |
| 備考 | 境界の塀のため道路から見学可 |
References
- 国指定文化財等データベース — 寺村徳夫家住宅塀
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004841
- 安芸市 — 安芸市土居廓中伝統的建造物群保存地区
- https://www.city.aki.kochi.jp/life/dtl.php?hdnKey=1381
- こうち旅ネット — 土居廓中
- https://kochi-tabi.jp/search_spot_sightseeing.html?id=802
最終更新日: 2026.07.05