通りに面して構える長屋門
長屋門は、門と建物をひとつにした形式である。細長い低い建物に通路を穿ち、そのわきに部屋を並べる。寺村徳夫家住宅長屋門もこの造りで、屋敷地の西南角に切石積の基礎の上に東西棟で建ち、東端に門口をとる。通路の西側には四畳半の部屋を四室、東西に並べ、北面に廊下を通す。
建物は桁行七間一尺・梁行二間の木造平屋建で、切妻造に桟瓦を葺き、建築面積はおよそ51平方メートルである。外部は腰を押縁下見板張とし、上部にはこの地区に共通する土佐漆喰を塗る。屋敷が通りに向けた顔にあたる。
登録の理由
長屋門が国の登録有形文化財となったのは平成17年(2005)7月12日、登録番号は39-0184で、敷地の五棟とともに登録された。文化庁は登録の基準を「国土の歴史的景観に寄与しているもの」とし、解説はこれを「正面の構えに欠くことのできない存在」と記す。
この言い回しには意味がある。武家地において門は人の出入りを許すだけでなく、その奥の家の格を示し、道からのアプローチを整えた。通路のわきの部屋は、下男や物置、あるいは門番の詰所として使うことができた。そう読むと、寺村家の門の規模や仕上げは付随的なものではなく、それ自体が要点となる。屋敷の他の建物と同じく、年代は明治後期である。
見どころ
門が建つのは、五藤家の家臣の屋敷が並んだ土居廓中である。五藤家は土佐藩の家老を務めた家柄で、地区は平成24年(2012)に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された。歩くときに心にとめておきたいのが、この一画の習わしである。多くの敷地では塀・生垣・門を斜めに振ることで、玄関までの道が折れ曲がり、直線ではなく浅い枡形のアプローチをつくる。
寺村家の門では、まず水平に長く延びる全体を受けとめ、次に板張の腰と漆喰の上部がどう出会うかを見たい。数歩先の蔵と同じ二段の塗り分けである。門の通路は、その奥の屋敷を枠取る。建物は個人住宅の一部で内部は公開されていないが、地区の路地から眺める外観こそ、訪ねる価値のあるところである。
Q&A
- 長屋門とは何ですか。
- 門と細長い建物をひとつにした形式です。通路が貫き、そのわきに部屋が並びます。ここでは四畳半の部屋が四室あります。
- なぜこのような門があるのですか。
- 武家地では門が家の格を示し、道からの入りを整えました。わきの部屋は門番や下男、物置に使われました。
- 門をくぐれますか。
- くぐれません。個人住宅の一部のため、道から見るかたちになります。地区で公開されているのは野村家住宅で、見学は無料です。
- いつ建てられましたか。
- 敷地の他の建物とともに明治後期に建てられ、平成17年(2005)に登録有形文化財となりました。
- どうやって行きますか。
- ごめん・なはり線の安芸駅からレンタサイクルで約15分、または安芸元気バスで野良時計前下車すぐ。高知龍馬空港からは車で約40分です。
基本情報
| 名称 | 寺村徳夫家住宅長屋門(てらむらのりおけじゅうたくながやもん) |
|---|---|
| 所在地 | 高知県安芸市土居993-1 |
| 区分 | 登録有形文化財(建造物) 登録番号 39-0184 |
| 登録年月日 | 平成17年(2005)7月12日(告示 8月2日) |
| 員数 | 1棟 |
| 構造 | 木造平屋建、瓦葺、建築面積約51㎡ |
| 年代 | 明治後期(1868〜1911) |
| アクセス | ごめん・なはり線安芸駅からレンタサイクル約15分。土居廓中伝統的建造物群保存地区内 |
| 備考 | 個人住居のため外観のみ |
References
- 国指定文化財等データベース — 寺村徳夫家住宅長屋門
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004838
- 安芸市 — 安芸市土居廓中伝統的建造物群保存地区
- https://www.city.aki.kochi.jp/life/dtl.php?hdnKey=1381
- ひがしこうち旅 — 土居廓中・武家屋敷
- https://higashi-kochi.jp/spot/detail.php?id=241
最終更新日: 2026.07.05