本館の背後に離れて建つ旧料理旅館九重別館

旧料理旅館九重別館は、三重県伊賀市上野西日南町の旧料理旅館九重にある昭和24年(1949年)頃の離れの小座敷で、平成30年(2018年)に登録有形文化財に登録された。読みは「きゅうりょうりりょかんここのえべっかん」。木造平屋建、瓦葺で、建築面積は54平方メートルの小さな建物である。

旧料理旅館九重別館は本館の背面に離れて建つ。2018年の地元紙は、本館と中庭を隔てた西側にあると説明している。本館が通りに顔を向けているのに対し、別館は敷地の奥に引いて、通りからは隔てられた位置にある。

平面は座敷2室からなり、それぞれに玄関を構える。2室をつなぐ部分には共通の水回りを置く。客は別々の入口から自分の座敷に上がり、隣の座敷と顔を合わせずに過ごせる。宴席を主にした料理旅館が、少人数の客をもてなすために足した離れと見てよい。

旧料理旅館九重別館の登録の理由

旧料理旅館九重別館は平成30年(2018年)5月10日に登録有形文化財(建造物)に登録された。登録番号は24-250、登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。

文化庁の解説は、旧料理旅館九重別館の仕上げを新興数寄屋風の意匠とし、本館とともに伝統木造の料理旅館の姿をよく伝えていると評価している。新興数寄屋は、昭和期に広まった、数寄屋の意匠を近代の感覚で整理した作風を指す。終戦から間もない時期に、こうした新しい好みを取り入れた客座敷が地方の城下町の料理旅館に建てられたことになる。

旧料理旅館九重別館の見どころ

旧料理旅館九重別館の見どころは、素材の取り合わせにある。玄関と下屋には青瓦を葺き、壁には不定形の石を張る乱形石やタイルを用いる。一般的な瓦の灰色や土壁の色とは違う、硬質で色のある素材が、小さな建物に軽やかな表情を与えている。

内部は柱を壁の中に塗り込める大壁造とする。柱を見せる真壁が数寄屋の定石であることを思えば、壁面を平らに整えるこの選択に、伝統の形をなぞるより新しさを求めた設計の意図が読み取れる。

2室それぞれに玄関があるという平面も、旧料理旅館九重別館の大きな特徴である。玄関を二つ並べた外観は、離れが二組の客を同時に迎える場であったことを示している。

旧料理旅館九重別館を見るには

旧料理旅館九重別館には、見学のための公開の案内が見当たらない(2026年10月時点)。本館の背面に離れて建つため、通りには面しておらず、外から全体を見ることは難しい。

敷地は私有地で、通りから別館の位置を確かめるにとどめたい。撮影についての決まりも見当たらないので、写真を撮る場合も敷地には立ち入らないようにしたい。

Q&A

Q旧料理旅館九重別館はいつ建てられたのですか?
A文化庁のデータベースでは昭和24年(1949年)頃とされています。本館や門及び塀より後に建てられた、旧料理旅館九重の3件のうちでもっとも新しい建物です。
Q旧料理旅館九重別館が登録有形文化財になったのはいつですか?
A平成30年(2018年)5月10日に登録有形文化財(建造物)に登録されました。登録番号は24-250です。
Q旧料理旅館九重別館はどのような間取りですか?
A座敷2室からなり、それぞれに玄関があります。2室をつなぐ部分に共通の水回りを設けています。
Q旧料理旅館九重別館の意匠の特徴は何ですか?
A玄関や下屋の青瓦、壁の乱形石やタイル、内部の大壁造など、新興数寄屋風の意匠で仕上げている点です。
Q旧料理旅館九重別館は見学できますか?
A見学のための公開の案内はありません。本館の背面に離れて建ち、通りに面していないため、外から全体を見ることも難しい位置にあります。

基本情報

名称旧料理旅館九重別館(きゅうりょうりりょかんここのえべっかん)
所在地三重県伊賀市上野西日南町1773他
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年2018年5月10日登録
員数1棟
寸法木造平屋建、瓦葺、建築面積54平方メートル
所有者不明(文化庁データベースに記載なし)
公開状況公開なし。通りに面していない

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)旧料理旅館九重別館
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00012380
文化遺産オンライン 旧料理旅館九重別館
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/543594
伊賀タウン情報YOU 有形登録文化財へ 伊賀市の旧料理旅館九重(2018年3月9日)
https://www.iga-younet.co.jp/news1/2018/03/post-460.html

最終更新日: 2026.10.16