ペン先形の柱頭を戴く御影石の門柱

大学の門は、通り抜けられこそすれ、立ち止まって眺められることの少ない建造物である。仙台・東北大学片平キャンパスの正門は、その数少ない例外に値する。大正15年(1926年)、キャンパス西面に建設されたこの門は、鉄筋コンクリート造御影石張の角柱二基を間口6.3メートルに立て、両脇に同形式で縮小した脇柱を添える構成をとる。各柱の頂部にはペン先状の三角形の柱頭が載る。令和3年(2021年)10月14日、国の登録有形文化財に登録された(登録番号04-0206、員数1基)。

ペン先形の柱頭は単なる装飾ではない。帝国大学の門にあって、この形は学問そのものの標章として読める。筆記具を石に刻んで門口に掲げ、くぐる者に学究の場への入口であることを告げる意匠である。

失われた門扉と残された門柱

現在の門は建設当初の姿を完全には留めていない。第二次世界大戦中の金属供出により当初の門扉は失われ、現在の門扉の意匠は建築当初とは異なる。昭和40年代にも改修が加えられている。

一方、御影石張の門柱は建築当時のままである。金属供出も、昭和20年(1945年)7月に仙台市中心部を焼いた空襲も、この石張の柱はくぐり抜けた。大学の文化財ガイドは、戦争を乗り越えた東北帝国大学から東北大学への歴史を示す建造物として本門を評価する。登録基準「国土の歴史的景観に寄与しているもの」は、周囲がすべて変わっていく中で動かずに立ち続けることを本務としてきた工作物に、よく似合う。

南側の本柱には東北大学の門標が掲げられ、門は一世紀を経た今も正門としての役目を果たし続けている。

片平散策の起点として

門戸開放の理念のもと構内を一般に開放している片平キャンパスの散策は、この正門から始めるのがよい。仙台駅からの市バスには「東北大正門前」という、この門の目の前に停まる停留所があり、地下鉄東西線青葉通一番町駅、南北線五橋駅からも徒歩約10分である。

門柱の間を抜けると、正面の大路の先に同じ大正15年築の旧附属図書館閲覧室(現・東北大学史料館)の銅板葺塔屋が見える。門と図書館は一つのキャンパス景観の部分として構想されており、両者を結ぶ軸線を歩くことは、帝国大学が来訪者の到着をどう演出しようとしたかを体感する最短の方法である。周囲には明治・大正・昭和初期の登録有形文化財が十棟余り、徒歩数分圏内に点在する。

Q&A

Q門は自由に通行できますか。
Aできます。東北大学片平キャンパスの正門として日常的に使用されており、構内も門戸開放の理念のもと一般に開放されています。
Q門扉は建設当初のものですか。
A違います。当初の門扉は戦時中の金属供出で失われ、現在の門扉の意匠は建築当初とは異なります。御影石張の門柱は建築当時のものです。
Q意匠の特徴はどこにありますか。
A御影石張の角柱にペン先状の三角形の柱頭を載せ、前後に柱形を付す点です。間口6.3メートルの本柱二基の両脇に、同形式を縮小した脇柱が立ちます。
Qアクセス方法を教えてください。
A仙台駅西口から市バスで「東北大正門前」下車すぐ。地下鉄東西線青葉通一番町駅、南北線五橋駅からは徒歩約10分です。門はキャンパス西面にあります。

基本情報

名称旧東北帝国大学正門(東北大学正門)
所在地宮城県仙台市青葉区片平二丁目1-1
指定区分登録有形文化財(建造物) 令和3年(2021年)10月14日登録 登録番号04-0206
登録基準国土の歴史的景観に寄与しているもの
構造・規模鉄筋コンクリート造御影石張、間口6.3メートル、両脇門柱付、員数1基
建設年代大正15年(1926年)/昭和40年代改修
所有者国立大学法人東北大学
公開状況正門として日常使用中、自由に見学可

参考文献

国指定文化財等データベース — 旧東北帝国大学正門(東北大学正門)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013918
東北大学 — 東北大学の登録有形文化財
https://www.bureau.tohoku.ac.jp/somu/bunkazai/kenzobutsu/
東北大学 — 片平キャンパス
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/profile/campus/01/katahira/

最終更新日: 2026.07.02