定義如来西方寺とは

定義如来西方寺(じょうぎにょらいさいほうじ)は、宮城県仙台市青葉区大倉の山あいにある浄土宗の寺院で、宝永3年(1706年)に開かれ、境内に残る昭和2年(1927年)から昭和8年(1933年)頃にかけての5棟が平成30年(2018年)3月27日に登録有形文化財となった。正式な寺号は極楽山西方寺で、仙台では「定義さん」と呼ぶ人が多い。

寺の起こりは平家の落人伝承にある。平清盛・重盛に仕えた平貞能(たいらのさだよし)が平家の滅亡後にこの地へ逃れ、名を「定義」と改めて、重盛から託された阿弥陀如来の画像を祀ったと伝わる。建久9年(1198年)に貞能が亡くなると、従臣が遺言に従ってその墓の上に小堂を建て、画像を安置した。これが定義如来西方寺の始まりとされる。

宝永3年、従臣の子孫にあたる早坂源兵衛が出家して観蓮社良念と名のり、極楽山西方寺を開いた。本尊は今も阿弥陀如来を描いた掛軸で、秘仏として大本堂に祀られている。寺の説明では、貞能が名のった「定義」がそのまま土地の名となり、本尊も「定義如来」と呼ばれるようになった。

読みは、寺・仙台市・宮城県のいずれも「じょうぎ」である。文化庁の国指定文化財等データベースは5棟の名称に「ていぎ」とふりがなを付けているので、資料を探すときは両方の読みで当たるとよい。英語表記は寺に合わせて Jogi Nyorai Saihoji Temple とした。

昭和前期の造営と気仙大工

定義如来西方寺の登録有形文化財5棟は、昭和の初めの7年ほどのあいだに続けて建てられた。昭和2年(1927年)に御廟貞能堂と御守授所、昭和7年(1932年)に山門と鐘楼堂、昭和8年(1933年)頃に手水舎が完成している。寺の案内によると、手水舎ができたことで当時の大規模な造営がひと区切りを迎えた。

設計はいずれも気仙大工の花輪喜久蔵である。気仙大工は岩手県の気仙地方を本拠に、各地へ出向いて社寺や民家を建てた大工の集団で、腕の確かな職人として知られた。寺の案内では、棟梁を花輪伝吉、脇棟梁を花輪伝五郎が務め、山門と御廟貞能堂の彫刻は石井寅正が手がけた。同じ設計者と職人が一つの境内をまとめて整えたため、5棟の細部には共通する手法が多い。仙台市は、手水舎の虹梁の入れ方や格天井が鐘楼堂とよく似ていると指摘している。

宮城県は、定義如来西方寺の境内が昭和前期に整えられた姿を今に残していると説明している。5棟の登録番号は04-145から04-149までの連番で、登録基準はそろって「造形の規範となっているもの」である。屋根はどれも銅板葺だが、仙台市の解説では、御守授所を除く4棟はもとは柿葺(こけらぶき)だった。昭和32年(1957年)には5棟とも改修を受けている。

定義如来西方寺の境内の歩き方

登録された5棟は、いずれも寺の旧中心地にある。平成11年(1999年)に大本堂が完成するまでは、御廟貞能堂が定義如来西方寺の本堂だった。旧中心地は、東の山門から西の御廟貞能堂へまっすぐ延びる参道に沿って建物が並ぶので、山門から順に歩くと5棟を見落とさない。

  • 山門は旧中心地の入口に建つ二重門で、左右に袖塀が付く。門に掲げた山号「極楽山」の文字は、第30代内閣総理大臣の斎藤実が書いたと寺は伝えている。
  • 鐘楼堂は、山門をくぐった先の参道北側、歩いて右手に建つ。
  • 手水舎は鐘楼堂と参道をはさんで向かい合い、南側の左手にある。
  • 御廟貞能堂は参道の奥に建つ六角堂で、平貞能の墓の上に建つと伝わる。
  • 御守授所は御廟貞能堂の手前、参道の南側に建つ小さな建物である。

文化庁のデータベースの座標では、山門から御廟貞能堂までは50メートルほどで、5棟は狭い範囲に収まっている。旧中心地の外には平成11年完成の大本堂や、昭和61年(1986年)に落慶した五重塔があるが、どちらも登録された建物ではない。

定義如来西方寺の参拝時間と行き方

寺の案内によると、定義如来西方寺の開門時間は、御廟貞能堂のある境内が午前8時から午後4時15分まで、大本堂の境内が午前7時45分から午後4時15分までである。境内の参拝に拝観料はかからない。祈祷や写経の申し込みには、それぞれ別に納める志納金がある。

仙台駅から路線バスで行く場合は、仙台駅西口バスプールの14番のりばから仙台市営バスの定義行きに乗り、終点の「定義」で降りる。乗車時間は1時間から1時間20分ほどで、仙台市交通局の運賃表では令和8年(2026年)10月の改定後に片道1,230円となっている。JR仙山線の愛子駅前からも定義行きのバスが出ている。

車の場合、寺の案内では東北自動車道の仙台宮城インターチェンジから国道48号を山形方面へ進み、熊ヶ根交差点を右折して大倉ダムを経由する道順で約45分である。寺には無料の駐車場があり、300台が止められる。冬は道路に雪が積もったり凍ったりすることがあるため、寺は冬用タイヤでの来訪を呼びかけている。

撮影について、寺は無許可のドローン撮影を原則禁止としている。それ以外の撮影についての決まりは公式の案内に見当たらないので、祈祷や法要の最中は参拝者の妨げにならないよう気を配りたい。

参考文献

国指定文化財等データベース 定義如来西方寺御廟貞能堂(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00012087
国指定文化財等データベース 定義如来西方寺御守授所(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00012088
国指定文化財等データベース 定義如来西方寺山門(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00012091
国指定文化財等データベース 定義如来西方寺鐘楼堂(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00012089
国指定文化財等データベース 定義如来西方寺手水舎(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00012090
文化遺産オンライン 定義如来西方寺御廟貞能堂
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/428116
文化遺産オンライン 定義如来西方寺御守授所
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/364977
文化遺産オンライン 定義如来西方寺山門
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/436630
文化遺産オンライン 定義如来西方寺鐘楼堂
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/387668
文化遺産オンライン 定義如来西方寺手水舎
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/442899
仙台市の指定・登録文化財 定義如来西方寺御廟貞能堂(仙台市教育委員会)
https://bunkazai.city.sendai.jp/shiteidb/c03039.html
仙台市の指定・登録文化財 定義如来西方寺御守授所(仙台市教育委員会)
https://bunkazai.city.sendai.jp/shiteidb/c03040.html
仙台市の指定・登録文化財 定義如来西方寺山門(仙台市教育委員会)
https://bunkazai.city.sendai.jp/shiteidb/c03043.html
仙台市の指定・登録文化財 定義如来西方寺鐘楼堂(仙台市教育委員会)
https://bunkazai.city.sendai.jp/shiteidb/c03041.html
仙台市の指定・登録文化財 定義如来西方寺手水舎(仙台市教育委員会)
https://bunkazai.city.sendai.jp/shiteidb/c03042.html
宮城県 登録有形文化財(建造物)の登録が答申されました(2017年11月22日)
https://www.pref.miyagi.jp/soshiki/bunkazai/touroku171122.html
定義如来西方寺 定義さんを巡る(境内のご案内)
https://jogi.jp/meguru/
定義如来西方寺 定義さんを知る
https://jogi.jp/about/
定義如来西方寺 交通アクセス
https://jogi.jp/access/
仙台市交通局 運賃
https://www.kotsu.city.sendai.jp/fare/unchin/

最終更新日: 2026.10.04

基本情報

名称定義如来西方寺
所在地宮城県仙台市青葉区大倉字上下1
所有者西方寺
指定登録有形文化財 5件
座標38.36371, 140.66851