芦澤第三号石積堰堤とは
芦澤第三号石積堰堤は、長野県東筑摩郡麻績村麻字芦沢を流れる芦沢川に明治20年(1887年)に築かれた石積の砂防堰堤で、平成26年(2014年)10月7日に国の登録有形文化財に登録された。読みは「あしざわだいさんごういしづみえんてい」、登録番号は20-0457、所有者は長野県である。
芦沢川に並ぶ明治の石積堰堤4基のうち、下から3番目にあたる。第二号の190メートル上流に位置し、そこからさらに300メートル上流に第四号がある。
規模は堤長16メートル、堤高4.0メートルで、堤長は4基のなかでもっとも長い。長野県犀川砂防事務所の資料は堤長を15.8メートルとしている。表法(下流側の面)の勾配は1割3分、つまり高さ1に対して水平に1.3の割合で寝かせてあり、石を斜めに積み上げた堤体になっている。
登録の理由と価値
芦澤第三号石積堰堤は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録された。文化庁の解説がこの堰堤について評価しているのは、1基の大きさではなく配置の考え方である。堤高を低く抑え、勾配の緩い石積堰堤を沢筋に連ねて置くことで、河道を安定させ、崩れた斜面に植生が戻るのを助けた。芦澤第三号石積堰堤はその連なりの1基として、いまも同じ働きを続けている。
石材は径50〜120センチメートルほどの安山岩などの野面石で、「六つ巻」と呼ばれる空積の工法で積まれている。モルタルを使わず、石どうしの噛み合わせで積石を自立させる工法で、長野県犀川砂防事務所は高度な技術を要し現在では施工が難しいとしている。築造から130年以上、コンクリートを使わない石積の堤が現役であり続けている点に、この堰堤の価値がある。
見どころ
芦澤第三号石積堰堤の前に立ったら、まず堤の上端の線を目で追いたい。中央の一段低い水通し部と左右の袖部の境が直線で切り替わり、石積でありながら輪郭がはっきりしている。文化庁が4基に共通する近代的な立面と呼ぶのはこの形である。
次に、堤体の傾きに注目したい。下流側の面は1割3分の勾配で寝かせて積まれ、大小の野面石が噛み合いながら斜めに立ち上がる。高さは4.0メートルと控えめで、見上げるというより、沢の幅いっぱいに石の斜面が横たわっている印象を受けるだろう。
16メートルという堤長は、下流の第二号(12メートル)よりひと回り長い。低く長く沢をふさぐ姿は、高さで土砂を受け止めるのではなく、勾配の緩い堰堤を連ねて川床を落ち着かせるという芦澤の考え方を、もっともよく表している。
見学方法
芦澤第三号石積堰堤は屋外の砂防施設で、見学に予約や料金は要らない。沢沿いの散策路を下流から歩くと、第一号・第二号に続いて3番目に現れる石積堰堤である。長野県の資料では見学条件は特になく、見学時期は春から秋とされている。
第三号と第四号のあいだには、昭和期に造られたコンクリートの砂防堰堤があり、令和元年度(2019年度)からの工事で高さ4.65メートル、長さ22.0メートルの堰堤に補強された。表面には地元の石が張られ、明治の空石積と見比べられる位置にある。
堤体の上や水通し部には下りず、散策路から眺めたい。撮影についての定めは長野県の資料に示されていない。芦沢川への行き方、散策路の全体、駐車場については、芦澤石積堰堤のページにまとめてある。
Q&A
- 芦澤第三号石積堰堤はいつ造られ、いつ登録されましたか?
- 明治20年(1887年)に築かれ、平成26年(2014年)10月7日に国の登録有形文化財に登録されました。登録番号は20-0457です。
- 芦澤第三号石積堰堤の大きさは?
- 文化庁の記録では堤長16メートル、堤高4.0メートルです。下流側の面は1割3分(高さ1に対して水平1.3)の緩い勾配で積まれています。
- 芦澤第三号石積堰堤はなぜ低く造られているのですか?
- 文化庁の解説によると、堤高を抑えた緩い勾配の石積堰堤を沢筋に連ねることで河道を安定させ、斜面の植生回復を助けるためです。
- 芦澤第三号石積堰堤の見学に予約や料金は必要ですか?
- 必要ありません。屋外の砂防施設で、長野県の資料では見学条件は特になく、見学時期は春から秋とされています。安全のため散策路から眺めてください。
- 芦澤第三号石積堰堤の上流にある新しい堰堤は何ですか?
- 第三号と第四号のあいだにある昭和期のコンクリートの砂防堰堤です。令和元年度(2019年度)からの工事で高さ4.65メートル、長さ22.0メートルの堰堤に補強され、表面に地元の石が張られています。
基本情報
| 名称 | 芦澤第三号石積堰堤(あしざわだいさんごういしづみえんてい) |
|---|---|
| 所在地 | 長野県東筑摩郡麻績村麻字芦沢 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成26年(2014年)10月7日登録(登録番号20-0457) |
| 員数 | 1基 |
| 寸法 | 堤長16メートル、堤高4.0メートル |
| 所有者 | 長野県 |
| 公開状況 | 屋外の砂防施設。見学自由、見学時期は春から秋(長野県砂防課資料) |
参考文献
- 芦澤第三号石積堰堤(国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010147
- 芦澤第三号石積堰堤(文化遺産オンライン)
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/281720
- 芦澤第二号石積堰堤(国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010146
- 芦澤第四号石積堰堤(国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010148
- 麻績村芦澤の石積堰堤(長野県犀川砂防事務所)
- https://www.pref.nagano.lg.jp/saisabo/jigyo/ashizawa201403.html
- サイ砂防だより 令和3年度第2号その1(長野県犀川砂防事務所)
- https://www.pref.nagano.lg.jp/saisabo/jigyo/documents/saisabodayorir3-2-1.pdf
- 歴史的石積堰堤の保存と活用に向けた砂防計画(北陸地方整備局 事業研究発表会論文)
- https://www.hrr.mlit.go.jp/library/happyoukai/R8/d/d-15.pdf
最終更新日: 2026.10.06