芦澤第四号石積堰堤とは
芦澤第四号石積堰堤は、長野県東筑摩郡麻績村麻字芦沢ほかにまたがる芦沢川に明治20年(1887年)に築かれた石積の砂防堰堤で、平成26年(2014年)10月7日に国の登録有形文化財に登録された。読みは「あしざわだいよんごういしづみえんてい」、登録番号は20-0458、所有者は長野県である。
芦沢川に並ぶ明治の石積堰堤4基のうち、もっとも上流にある。第三号の300メートル上流に位置し、所在地は字芦沢のほかの土地にもかかっている。
規模は堤長15メートル、堤高6.8メートルで、文化庁は芦澤石積堰堤4基のなかで最大規模としている。長野県犀川砂防事務所の資料は堤長を15.3メートルとしている。ほかの3基が堤高4メートル前後にとどまるのに対し、芦澤第四号石積堰堤だけが6.8メートルの高さをもつ。
登録の理由と価値
芦澤第四号石積堰堤は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録された。文化庁の解説は、4基中最大の規模であること、ほかの3基と同じく石材に安山岩を用いることを挙げたうえで、土木監督署の制度が敷かれた後に内務省が実施した最初期の公共事業の遺構として貴重だと評価している。
芦澤の工事は、内務省土木局が明治44年(1911年)にまとめた『山地砂防工事歴』に記録があり、明治20年の4月から12月にかけて行われた。芦澤第四号石積堰堤は、国が直轄で進めた信濃川水源の砂防事業が、山あいの小さな沢にどのような形で残ったかを示す具体例である。
積み方はほかの3基と共通し、径50〜120センチメートルほどの野面石を「六つ巻」と呼ばれる空積の工法で、モルタルを使わずに組み上げている。6.8メートルの高さを石の噛み合わせだけで自立させている点に、この堰堤の技術的な見どころがある。
見どころ
芦澤第四号石積堰堤では、まず高さを実感したい。下流の3基が見下ろすような低い堰堤だったのに対し、第四号の前では見上げる角度になる。人の背丈のおよそ4倍の石の面が、沢を横切って立ちはだかる。
石積の面に近づいて見ると、大きな玉石と小ぶりの石が交互に噛み合い、高さが増しても目地が崩れていないことが分かる。中央の水通し部と両脇の袖部が直線で区切られる立面はほかの3基と同じで、規模が大きいぶん、その輪郭は遠くからでもよく見える。
芦澤第四号石積堰堤のまわりは散策路のなかでもっとも奥まった場所にあたり、木々に囲まれた沢筋で堰堤を間近に見られるよう整備されている。
見学方法
芦澤第四号石積堰堤は屋外の砂防施設で、見学に予約や料金は要らない。散策路の終点にあたり、第三号の先で、補強されたコンクリートの砂防堰堤を過ぎてから、さらに徒歩5分ほど上流にある(2021年時点の長野県犀川砂防事務所の案内)。長野県のブログによると、麻績村総合運動場の駐車場から第四号までは往復1時間ほどである。
上流側では令和5年度(2023年度)に老朽化した木橋3基が架け替えられ、令和7年度(2025年度)には遊歩道の砕石舗装が施された。それでも足元の悪い場所や落石・落枝の危険が残ると長野県は注意しているので、歩きやすい靴で出かけたい。
堤体の上や水通し部には下りず、散策路から眺めたい。撮影についての定めは長野県の資料に示されていない。芦沢川への行き方、散策路の全体、駐車場については、芦澤石積堰堤のページにまとめてある。
Q&A
- 芦澤第四号石積堰堤はいつ造られ、いつ登録されましたか?
- 明治20年(1887年)に内務省の砂防工事で築かれ、平成26年(2014年)10月7日に国の登録有形文化財に登録されました。登録番号は20-0458です。
- 芦澤第四号石積堰堤の大きさは?
- 文化庁の記録では堤長15メートル、堤高6.8メートルで、芦澤の4基のなかで最大規模です。長野県犀川砂防事務所の資料では堤長を15.3メートルとしています。
- 芦澤第四号石積堰堤が貴重とされる理由は?
- 文化庁は、土木監督署の制度が敷かれた後に内務省が実施した最初期の公共事業の遺構として貴重だと評価しています。
- 芦澤第四号石積堰堤まではどのくらい歩きますか?
- 散策路のもっとも上流にあり、長野県のブログによると麻績村総合運動場の駐車場から往復1時間ほどです。見学に予約や料金は要りません。
- 芦澤第四号石積堰堤の見学で気をつけることは?
- 足元の悪い場所や落石・落枝の危険があると長野県は注意しています。歩きやすい靴で出かけ、堤体や水通し部には下りずに散策路から眺めてください。
基本情報
| 名称 | 芦澤第四号石積堰堤(あしざわだいよんごういしづみえんてい) |
|---|---|
| 所在地 | 長野県東筑摩郡麻績村麻字芦沢他 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成26年(2014年)10月7日登録(登録番号20-0458) |
| 員数 | 1基 |
| 寸法 | 堤長15メートル、堤高6.8メートル |
| 所有者 | 長野県 |
| 公開状況 | 屋外の砂防施設。見学自由、見学時期は春から秋(長野県砂防課資料) |
参考文献
- 芦澤第四号石積堰堤(国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010148
- 芦澤第四号石積堰堤(文化遺産オンライン)
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/234261
- 芦澤第三号石積堰堤(国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010147
- 麻績村芦澤の石積堰堤(長野県犀川砂防事務所)
- https://www.pref.nagano.lg.jp/saisabo/jigyo/ashizawa201403.html
- 歴史的石積堰堤の保存と活用に向けた砂防計画(北陸地方整備局 事業研究発表会論文)
- https://www.hrr.mlit.go.jp/library/happyoukai/R8/d/d-15.pdf
- サイ砂防だより 令和3年度第2号その1(長野県犀川砂防事務所)
- https://www.pref.nagano.lg.jp/saisabo/jigyo/documents/saisabodayorir3-2-1.pdf
- めざせ近代化遺産カードマスターその8 No.2 芦澤の石積堰堤 編(長野県魅力発信ブログ 来て!観て!松本『彩』発見)
- https://blog.nagano-ken.jp/matsuchi/recommend/viewspots/39197.html
最終更新日: 2026.10.06