山田旅館本館とは
山田旅館本館は、長野県北安曇郡小谷村の小谷温泉にある江戸時代末期(1830年から1867年のあいだ)建築の木造3階建の旅館建築で、平成13年(2001年)10月12日に国の登録有形文化財に登録された。登録番号は20-0092。
明治17年(1884年)には増築を受けている。屋根は切妻造で、もとは割板を並べて石で押さえる石置板葺だったが、いまは鉄板で葺かれている。建築面積は353平方メートルあり、山田旅館で登録された6棟のなかで最も大きい。
宿の客室案内では、山田旅館本館を「江戸期の本館」と呼んでいる。2階と3階は現在も客室として使われており、江戸時代の建物に泊まることのできる棟である。
登録の理由:縁を重ねた木造3階建の構え
山田旅館本館の登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁の解説が取り上げるのは、建物の外まわりの構えだ。1階の西面と南面に縁側をめぐらし、2階と3階にはヴェランダのような縁廊下を回している。
縁と縁廊下には現在建具が入っていて、外へ開け放たれた当初の姿そのものではない。それでも、3つの階に縁を重ねた外観が木造3階建の旅館建築のたたずまいを残している、というのが評価の要点になっている。
江戸時代末期に建った山田旅館本館が、明治17年(1884年)の増築を経て、140年以上のちの現在も客室として使われ続けていることも見逃せない。登録の6棟のうち、江戸時代にさかのぼるのは山田旅館本館と薬師堂の2棟だけである。
見どころ:欅の骨組みと、囲炉裏の茶の間
宿の案内によると、山田旅館本館は欅の太い柱と梁で組まれ、豪雪に耐えてきた。1階には囲炉裏を切った茶の間があり、神棚が祀られている。その奥に3部屋続きの座敷があって、山田旅館本館のなかでこの座敷だけが天井を高く造ってある。
2階と3階の客室について、宿は雪国らしく天井を低く抑えた造りで、入口は障子になっていると説明している。低い天井は、冬の暖を逃がさないための寸法と読める。
外から見るなら、縁側と縁廊下の重なる西面と南面に目を向けたい。3つの階に建具が帯のように並ぶ姿が、山田旅館本館の外観の要になっている。切妻屋根を見上げ、もとは石を載せた板葺だったことを思い浮かべると、建物の古さが実感しやすい。
山田旅館本館には、明治時代の長屋を改装した客室棟「明治棟」がつながっている。宿は、長野県ではほとんど見られなくなった自炊場を本館の近くに残しており、自炊で長く滞在する湯治も受け付けている。
山田旅館本館の見学条件
山田旅館本館の内部に入れるのは宿泊客である。見学だけを目的とした受け入れは宿の公式サイトに案内されていない。木造の客室は昔のままの造りのため音や振動が伝わりやすく、静かな部屋を望む客には鉄筋コンクリート造の別館を勧める、と宿は注意を添えている。
外観は、敷地内の小路から見ることができる。前土蔵は、本館から新館へ抜けるこの小路をはさんだ西側に建つ。営業中の旅館なので、ほかの客の出入りを妨げない位置から眺めたい。館内での撮影の可否は公式サイトに書かれていないため、宿に確かめてほしい(2026年10月9日確認)。
Q&A
- 山田旅館本館はいつ建てられ、いつ登録有形文化財になりましたか?
- 山田旅館本館は江戸時代末期(1830年から1867年のあいだ)に建てられ、明治17年(1884年)に増築されました。登録有形文化財への登録は平成13年(2001年)10月12日で、登録番号は20-0092です。
- 山田旅館本館は何階建てですか?屋根はどんな形ですか?
- 木造3階建で、建築面積は353平方メートルです。屋根は切妻造で、もとは石置板葺でしたが、現在は鉄板葺になっています。
- 山田旅館本館はどこが評価されて登録されたのですか?
- 1階の西面と南面に縁側をめぐらし、2階と3階にヴェランダのような縁廊下を回した外観が、木造3階建の旅館建築のたたずまいを残している点です。登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」です。
- 山田旅館本館に泊まることはできますか?
- できます。2階と3階が現在も客室として使われています。予約は電話で3か月前から受け付けており、支払いは現金のみです。
- 山田旅館本館は宿泊しなくても見学できますか?撮影はできますか?
- 外観は敷地内の小路から見ることができますが、内部に入れるのは宿泊客です。撮影の可否は公式サイトに記載がないため、宿に確認してください。
基本情報
| 名称 | 山田旅館本館(やまだりょかんほんかん) |
|---|---|
| 所在地 | 長野県北安曇郡小谷村大字中土18836 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成13年(2001年)10月12日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造3階建、鉄板葺、建築面積353平方メートル |
| 所有者 | 株式会社山田旅館 |
| 公開状況 | 営業中の旅館。外観は敷地内から見学可、内部は宿泊客向け |
参考文献
- 山田旅館本館(文化庁 国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002387
- 山田旅館本館(文化遺産オンライン)
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/115467
- 建物(小谷温泉 大湯元 山田旅館 公式サイト)
- https://otari-onsen.net/index.php?%E5%BB%BA%E7%89%A9
- お部屋と料金(小谷温泉 大湯元 山田旅館 公式サイト)
- https://otari-onsen.net/index.php?%E3%81%8A%E9%83%A8%E5%B1%8B
- 営業案内(小谷温泉 大湯元 山田旅館 公式サイト)
- https://otari-onsen.net/index.php?%E5%96%B6%E6%A5%AD%E6%A1%88%E5%86%85%E3%80%81%E3%81%94%E5%88%A9%E7%94%A8%E3%81%AE%E3%81%8A%E5%AE%A2%E6%A7%98%E3%81%B8%E3%81%AE%E3%81%8A%E9%A1%98%E3%81%84
最終更新日: 2026.10.08