斜面の段差に合わせて建てた別邸の主屋

梅ヶ谷津偕楽園主屋は、長崎県平戸市明の川内町の梅ヶ谷津偕楽園に建つ天保10年(1839年)の木造の別邸建築で、平成17年(2005年)12月26日に国の登録有形文化財となった。平戸藩主・松浦熈の別邸として、平戸瀬戸を望む高台の斜面に建つ。

屋根は瓦葺で、建築面積は183平方メートル。文化庁の解説によれば、東側の中央に玄関を設け、外壁は板を縦に張る竪板張とする。建物は山の高低差を利用して南向きの2階建とし、海に向いた側は開放的に、山に面した側には茶室などを配している。

長崎県の解説は、斜面の中腹に石を築いて建ち、段差を利用した複雑な平面をもつと記す。平らな敷地に建てた住宅とは違い、梅ヶ谷津偕楽園主屋は地形そのものに間取りを合わせた建物である。

海に開き、山に籠もる

梅ヶ谷津偕楽園主屋の構成は、ひとつの建物の中で性格の異なる二つの面を持つ。南の海側は眺めのために開き、北の山側には茶室のような籠もる部屋を寄せる。眺望を楽しむ座敷と、茶の湯の静けさとを、斜面の上下で振り分けた配置である。

長崎県によれば、ここでは詩歌や書画に優れた文人たちとともに、茶の湯などの数寄が楽しまれたといい、その様子が建物の随所にうかがえることが建築的な価値を高めている。建築年代が天保10年と明らかで、往時の姿をよく残している点も評価された。

外装の竪板張も見ておきたい。板を縦に並べる張り方は、横に重ねる下見板張に比べて縦の線が強く出る。別邸らしい軽やかな外観をつくる要素の一つといえる。

梅ヶ谷津偕楽園主屋の見どころ

まず主屋の前に立ち、南を向きたい。足もとに石垣が走り、その先に庭と平戸瀬戸が広がる。梅ヶ谷津偕楽園主屋が海側をどう開いたのかは、建物を背にしたこの眺めで分かる。

次に、建物の東へ回って玄関を見る。玄関は東面の中央にあり、北の山から下りてくる石段の通路はこの玄関の手前に届く。来訪者がどこから来て、どこで建物に迎えられたのかが、玄関の位置から読み取れる。

最後に山側と海側の高さの違いに注目したい。2階建の部分は南の海側にあり、斜面の上手にあたる北側とでは建物の見え方が変わる。敷地の段差と建物の階がどう対応しているかを確かめると、複雑な平面の意味が見えてくる。

梅ヶ谷津偕楽園主屋の見学

梅ヶ谷津偕楽園主屋は資料館として内部が公開されてきた。長崎県の観光サイトは、書物や食器、玩具、蹴鞠の道具などの展示を紹介している。ただし休館しているとの情報もあるため、訪問前に電話で確認したい。館内の撮影の可否は、受付で尋ねるのが確実である。

開館時間、入館料、行き方は梅ヶ谷津偕楽園のページにまとめてある。

Q&A

Q梅ヶ谷津偕楽園主屋はいつ建てられましたか?
A天保10年(1839年)です。平戸藩主・松浦熈の別邸として建てられ、平成17年(2005年)に国の登録有形文化財になりました。
Q梅ヶ谷津偕楽園主屋はどんなつくりですか?
A木造瓦葺で、東側中央に玄関、外装は竪板張です。山の高低差を利用して南向きの2階建とし、海側を開き、山側に茶室などを配しています。
Q梅ヶ谷津偕楽園主屋の中は見学できますか?
A資料館として公開されてきましたが、休館しているとの情報もあります。訪問前に電話で確認してください。
Q梅ヶ谷津偕楽園主屋の広さはどのくらいですか?
A建築面積は183平方メートルです。
Q梅ヶ谷津偕楽園主屋から海は見えますか?
A南向きで海側を開いたつくりで、主屋の前からは石垣越しに庭と平戸瀬戸を望めます。

基本情報

名称梅ヶ谷津偕楽園主屋
所在地長崎県平戸市明の川内町348
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成17年(2005年)12月26日 登録
員数1棟
寸法建築面積183平方メートル(木造2階建、瓦葺)
所有者個人(長崎県文化財データベースによる)
公開状況資料館として公開されてきた。休館情報があるため事前の電話確認が必要

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース「梅ヶ谷津偕楽園主屋」
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00005207
長崎県の文化財「梅ヶ谷津偕楽園(主屋、石塀及び石段、石垣、稲荷社)」
https://www.pref.nagasaki.jp/bunkadb/index.php/view/392
ながさき旅ネット「梅ヶ谷津偕楽園」
https://www.nagasaki-tabinet.com/guide/356

最終更新日: 2026.09.19