旧冨田家住宅洋館とは

旧冨田家住宅洋館(きゅうとみたけじゅうたくようかん)は、奈良県桜井市大字桜井で材木商を営んだ冨田家の屋敷の南東に、昭和前期(1926〜1945年)に建てられた木造平屋建の小さな洋館で、令和3年(2021年)6月24日に登録有形文化財に登録された。屋根は切妻造のスレート葺で、建築面積は34平方メートルである。

登録番号は29-0318で、同じ屋敷から登録された6棟の最初の番号にあたる。登録の基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」。文化庁の解説は旧冨田家住宅洋館を、規模は小さいものの印象に残る外観を持つ洋館と評している。座敷や茶室、土蔵が並ぶ和風の屋敷のなかで、西洋の木造の形を借りているのは旧冨田家住宅洋館だけである。

ドイツ壁とハーフティンバーの外観

旧冨田家住宅洋館の外壁は、柱や梁などの木部を壁の表に見せるハーフティンバーで、木部のあいだをドイツ壁で埋めている。ドイツ壁はモルタルに砂利などを混ぜて塗り付けたり吹き付けたりし、表面を粗く仕上げた壁で、昭和初期の住宅によく見られる。平らな白壁ではなく、ざらついた壁面と木部の線の対比で見せる外観である。

目を引くのは妻面だ。旧冨田家住宅洋館の切妻の三角形の面には、束と呼ばれる短い縦材が細かい間隔で立ち並び、木部の線が密に重なって見える。

正面の玄関ポーチは、上端を弓形のアーチとしている。直線の木部で組み立てた外観のなかで、曲線はこのアーチだけで、入口の位置をはっきりと示している。

一室の洋室と漆喰天井の中心飾

旧冨田家住宅洋館の内部は一室の洋室である。壁の下部は板張の腰板とし、天井は漆喰で塗り上げ、その中央に中心飾を付ける。中心飾は天井の中心に設ける円形などの装飾で、照明を吊る位置に合わせることが多く、洋風の部屋を格調よく見せる飾りとして用いられてきた。

旧冨田家住宅洋館は、屋敷の他の5棟と違って、文化庁データベースの年代欄に平成30年(2018年)の改修の記載がない。宿の案内も旧冨田家住宅洋館の使い道には触れておらず、現在どのように使われているかは確認できなかった。

旧冨田家住宅洋館の見学

旧冨田家住宅洋館は、宿「蔵の宿 櫻林亭」として営業している屋敷の南東に建つ。宿が客室として案内しているのは離れや奥座敷にあたる棟で、旧冨田家住宅洋館の内部を公開しているという案内は確認できなかった。

屋敷の南東という位置から、旧冨田家住宅洋館は敷地のなかでも通りに近い側にあるとみられるが、公道からどこまで見えるかは確かめられていない。営業中の宿の敷地なので、立ち入らずに外から眺めるにとどめ、撮影するときも利用客への配慮を忘れずにいたい。

Q&A

Q旧冨田家住宅洋館はいつ建てられましたか?
A昭和前期(1926〜1945年)の建築です。令和3年(2021年)6月24日に登録有形文化財に登録されました。
Q旧冨田家住宅洋館の外観にはどんな特徴がありますか?
A木部を壁の表に見せるハーフティンバーで、壁はドイツ壁です。束を密に立てた妻面と、玄関ポーチの弓形アーチが目を引きます。
Q旧冨田家住宅洋館の内部はどうなっていますか?
A一室の洋室で、壁の下部を板張とし、漆喰塗の天井の中央に中心飾を付けています。
Q旧冨田家住宅洋館はどのくらいの大きさですか?
A木造平屋建で、建築面積は34平方メートルです。屋根は切妻造のスレート葺です。
Q旧冨田家住宅洋館は見学できますか?
A宿「蔵の宿 櫻林亭」の敷地内にあり、内部を公開しているという案内は確認できませんでした。敷地には立ち入らないでください。

基本情報

名称旧冨田家住宅洋館
所在地奈良県桜井市大字桜井262-2
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年令和3年(2021年)6月24日登録
員数1棟
寸法木造平屋建、スレート葺、建築面積34㎡
所有者文化庁データベースに記載なし
公開状況宿「蔵の宿 櫻林亭」の敷地内。内部公開の案内は確認できない

参考文献

国指定文化財等データベース 旧冨田家住宅洋館(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013864
文化遺産オンライン 旧冨田家住宅洋館
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/572142
文化庁 文化審議会の答申(登録有形文化財(建造物)の登録)一覧表(令和3年3月19日、PDF)
https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/pdf/92882201_03.pdf
蔵の宿 櫻林亭(公式サイト)
https://sakurai-sakuramachi.com/ourintei/

最終更新日: 2026.10.02