旧冨田家住宅離れとは

旧冨田家住宅離れ(きゅうとみたけじゅうたくはなれ)は、奈良県桜井市大字桜井で材木商を営んだ冨田家の屋敷の中央西寄りに、昭和前期(1926〜1945年)に建てられた木造2階建の座敷棟で、令和3年(2021年)6月24日に登録有形文化財に登録された。屋根は入母屋造桟瓦葺、建築面積は52平方メートルである。

登録番号は29-0319、登録の基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」。平成30年(2018年)に改修を受けている。文化庁の解説は旧冨田家住宅離れを近代和風建築の好例と評価している。屋敷の6棟のうち、座敷を2階にも備えるのは旧冨田家住宅離れだけである。

上下に重ねた続き間座敷

旧冨田家住宅離れは東を向いて建ち、南東の隅に入母屋造の小さな玄関を張り出して、来客を取り次ぐ場としている。間取りは1階・2階とも同じで、南に6畳、北に8畳を並べた続き間座敷とする。北の8畳には床の間・棚・書院を備え、南の6畳がその次の間になる。

文化庁の解説が特に挙げるのは、2階の「たち」が高いことである。たちは階の高さを指す言葉で、旧冨田家住宅離れでは2階を物置や寝間のように低く抑えず、1階と同じ格の座敷として高さを取っている。同じ広さで同じ座敷飾りを持つ部屋を上下に重ねた構成は、どちらの階でも客を迎えられるように考えたものとみられる。

中庭に面した縁とガラス戸

旧冨田家住宅離れの座敷は中庭に面しており、縁をめぐらせてガラス戸を建て込んでいる。木の格子と板戸で閉じる縁ではなく、ガラス越しに庭を取り込む縁で、昭和前期の座敷らしい明るさがある。

宿「蔵の宿 櫻林亭」は、入母屋造の玄関間を抜けて1階に6畳と8畳、箱階段を上がった2階にも6畳と8畳がある客室を「松風(しょうふう)」と名付けており、この説明から松風は旧冨田家住宅離れにあたるとみられる。宿の案内によると、1階は縁側回廊の練りガラスの障子越しに庭を眺める座敷で、2階は床の間の前にベッドを置いて寝室にしている。座敷飾りを残したまま寝室に使っている点に、登録された座敷を宿として活かす工夫がうかがえる。

旧冨田家住宅離れの見学

旧冨田家住宅離れは宿の客室として使われているため、内部に入れるのは宿泊者に限られるとみられる。予約なしで見学できるという案内は確認できなかった。敷地の中ほどに建つので、公道から見えるかどうかも確かめられていない。

宿泊するなら、2階の座敷に上がって天井の高さを1階と比べてみたい。南東の玄関の入母屋屋根と、縁のガラス戸越しに見る中庭も、旧冨田家住宅離れを知るうえで見ておきたいところである。

Q&A

Q旧冨田家住宅離れはいつ建てられましたか?
A昭和前期(1926〜1945年)の建築で、平成30年(2018年)に改修されました。令和3年(2021年)6月24日に登録有形文化財に登録されています。
Q旧冨田家住宅離れの間取りはどうなっていますか?
A1階・2階とも、南に6畳、北に床・棚・書院を備えた8畳を並べた続き間座敷です。
Q旧冨田家住宅離れはなぜ評価されているのですか?
A2階の階高を高く取り、上下とも端正な続き間座敷とした近代和風建築の好例とされ、「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録されました。
Q旧冨田家住宅離れは宿のどの部屋にあたりますか?
A客室の説明から、宿「蔵の宿 櫻林亭」の「松風」にあたるとみられます。
Q旧冨田家住宅離れは見学できますか?
A宿の客室として使われており、内部に入れるのは宿泊者に限られるとみられます。予約なしの見学の案内は確認できませんでした。

基本情報

名称旧冨田家住宅離れ
所在地奈良県桜井市大字桜井262-2
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年令和3年(2021年)6月24日登録
員数1棟
寸法木造2階建、瓦葺、建築面積52㎡
所有者文化庁データベースに記載なし
公開状況宿「蔵の宿 櫻林亭」の客室。内部は宿泊者向け

参考文献

国指定文化財等データベース 旧冨田家住宅離れ(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013865
文化遺産オンライン 旧冨田家住宅離れ
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/586743
文化庁 文化審議会の答申(登録有形文化財(建造物)の登録)一覧表(令和3年3月19日、PDF)
https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/pdf/92882201_03.pdf
蔵の宿 櫻林亭 松風(しょうふう)
https://sakurai-sakuramachi.com/ourintei/plan/shoufuu/

最終更新日: 2026.10.02