坂田家住宅新倉

主屋の南、庭を挟んだ先に、坂田家が「新倉(しんぐら)」と呼んだ木造二階建の蔵が建つ。桁行およそ九・一メートル、梁間四・九メートルと、大きな蔵ではない。目を引くのは、収納のための建物にこれほど手をかけたという点だ。人が暮らす部屋にふさわしい丁寧さで組まれた蔵である。

その手がかりは壁にある。新倉は骨組みを滑らかな漆喰で覆い隠すのではなく、柱を密に立て、それを外壁にも見せている。あえて木を隠さず並べて現すこの造りが、壁面に一定の律動を与え、単なる物置ではない配慮を示している。

造りを読む

新倉は東西に棟を通し、置屋根を載せる。置屋根とは、屋根の骨組みを蔵の箱に直接載せず、その上に別に架ける造りで、切妻造を桟瓦で葺く。北面には蔵前を設ける。蔵前は、蔵の扉の前に張り出した覆いのある作業空間で、荷の出し入れをここで行った。

壁の仕上げはよく見たい。上部は白い漆喰、腰の部分は黒漆喰で仕上げる。白い上壁に対する黒い腰は、蔵に広く見られる手法で、汚れに強く、同時に落ち着いた見映えをもつ。内部は板張である。黒漆喰の腰、外にまで現した密な柱、板張りの内部。これらをあわせて、新倉は屋敷のなかでも造りの細やかな一棟となっている。

登録の理由と着目点

新倉は平成二三年(二〇一一年)一月、坂田家の五棟の一つとして国の登録有形文化財に登録された。登録番号は一五―〇三二六。登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」。屋敷全体の景観に加えるものによって、その価値が認められている。

外観のみの公開であるから、注目は外壁の細部に向けたい。黒い腰と白い壁が接する線、外面にまで現された密な柱を探してほしい。庭を挟んだ主屋、近くの土蔵と並べて見ると、一つの家が年代の異なる複数の蔵をもち、新しい蔵にも手を抜かなかったことが見えてくる。

Q&A

Q「新倉」とはどういう意味ですか。
A「新しい蔵」の意で、同じ敷地の古い土蔵と区別するための呼び名です。年代は昭和前期、おおむね一九二〇年代から四〇年代にあたります。
Q壁の下部の黒い帯は何ですか。
A黒漆喰で仕上げた腰壁です。白い上壁に黒い腰という組み合わせは、日本の蔵に広く用いられた丈夫な仕上げです。
Q北面の「蔵前」とは何ですか。
A蔵の扉の前に設けた覆いのある空間で、荷の積み下ろしを行うための場所です。
Q中を見られますか。
A見られません。公開は外観のみで、常時見学できます。板張りの内部には立ち入れません。
Qほかの蔵とどう違いますか。
A新倉は柱を密に立てて外に現す木造ですが、ほかの二棟は土蔵造です。並べて見比べるのも見どころの一つです。

基本情報

名称坂田家住宅新倉(さかたけじゅうたくしんぐら)
所在地新潟県五泉市土堀字上ノ代295
指定区分登録有形文化財(平成23年〈2011年〉1月26日登録/登録番号15-0326)
登録基準国土の歴史的景観に寄与しているもの
年代昭和前期(1926〜1945年)
構造木造2階建、桟瓦葺、桁行9.1m・梁間4.9m、建築面積57㎡
員数1棟
公開状況外観は常時見学可/内部は非公開

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)— 坂田家住宅新倉
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00008432
文化遺産オンライン — 坂田家住宅新倉
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/169608
五泉市公式ホームページ — 坂田家住宅
https://www.city.gosen.lg.jp/organization/21/7/1/1/1869.html

最終更新日: 2026.07.07