旧中島病院本館とは

旧中島病院本館は、岡山県津山市田町にある大正6年(1917年)建築の木造2階建の病院建築で、平成22年(2010年)9月10日に国の登録有形文化財に登録された。

読みは「きゅうなかしまびょういんほんかん」。現在は「城西浪漫館(じょうさいろまんかん)」の名で一般に開放されており、所有者の津山市は「中島病院旧本館」とも表記している。津山城跡の西側、城西地区の田町に建つ。

岡山医学会雑誌に載った病院紹介によると、中島病院の始まりは明治11年(1878年)、初代の中島大次郎が津山市高野本郷に開いた「内外医術院」である。大正6年に二代目の中島琢史が「私立中島病院」として田町へ移り、その年に完成したのがこの旧中島病院本館だった。病院はいまも隣の新しい建物で診療を続けており、津山市の概要書によれば旧本館の敷地は病院からの借地である。

津山市は、大正から昭和にかけて多くの建物を手がけた地元の棟梁、池田豊太郎の作で、市内でもっとも古い病院建築だと説明している。地元の城西まちづくり協議会によれば、昭和50年(1975年)頃まで診察に使われた。平成21年(2009年)の改修を経て市の施設となり、令和2年(2020年)4月からは同協議会が指定管理者として「まちの駅城西浪漫館」を運営している。

旧中島病院本館が登録有形文化財になった理由

旧中島病院本館は登録有形文化財で、登録番号は33-0234、平成22年の第68回登録にあたる。登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」。文化庁の記載では木造2階建、鉄板葺一部スレート葺、建築面積127平方メートルで、津山市の概要書は延床面積を243.56平方メートル、部屋数を1階4室・2階5室としている。

文化庁の解説が注目するのは、城下町のなかに洋風の外観を持ち込んだ点である。東の正面に玄関ポーチを張り出し、その屋根をドーム状に仕上げる。壁は小豆色のモルタル掻き落とし、コリント式の柱や窓まわりの飾りは人造石でつくられている。解説は、津山城の西に広がる市街地の町並みに彩りを添える洋風建築だと評価している。

人造石とは、セメントに砂や小石を混ぜて塗り、天然の石に似せた仕上げのことで、岡山県のガイドブックもこの点を特徴に挙げている。骨組みは木造でありながら、表面だけを見ると石造の洋館に見える。城西まちづくり協議会はこの造りを「石造風木造」と表現している。

旧中島病院本館の見どころ

ドームを載せた玄関ポーチ

まず東の正面に立ってみたい。玄関の上に張り出したポーチの屋根が丸く盛り上がり、建物全体の印象を決めている。文化庁の解説によれば屋根は当初スレート葺で、その名残はいまドームの部分にだけ残る。ほかの屋根は鉄板葺に替わっているので、材質の違いに目を向けると建物が経てきた手入れの跡が読める。

小豆色の壁と人造石の柱

外壁に近づくと、表面を削り落としてざらりとした質感を出した掻き落とし仕上げが分かる。小豆色の壁の前に、葉飾りの柱頭を持つコリント式の柱が白っぽく浮かび、窓の上下にも同じ人造石の飾りが付く。旧中島病院本館を石造に見せているのはこの組み合わせである。

部屋ごとに違う暖炉

館内では、かつての病室を含む部屋ごとに、材質の異なる大理石を用いた暖炉が据えられている。城西まちづくり協議会もこれを見どころに挙げている。部屋を移るたびに、石の色や模様の違いを見比べてみたい。

2階の展示と貸しギャラリー

2階には中島病院の歩みを紹介する常設展示があり、残りの部屋は企画展示や貸しギャラリーに使われている。旧中島病院本館はNHKの連続テレビ小説「あぐり」のロケ地にもなった。1階には喫茶室があり、大正期の天井の高い空間で一息つける。

旧中島病院本館の見学方法

旧中島病院本館(城西浪漫館)は午前9時から午後5時まで開館し、入館料は無料。1階の喫茶室は午前10時から午後4時までで、飲食は有料になる。休館日は月曜日(祝日の場合は翌日)で、津山市の概要書では年末年始の12月29日から1月3日も休館としている。問い合わせ先は城西浪漫館(電話0868-22-8688)。

岡山県の観光公式サイトによれば館内での撮影はできる。ただし2階の貸しギャラリーで開かれる展示は主催者ごとに条件が違うことがあるので、会場の案内に従いたい。

JR津山駅からは歩いて約20分。車では中国自動車道の院庄インターチェンジから約10分、津山インターチェンジから約15分かかる。津山市の概要書によると来館者用の駐車場は近くの田町93番地1にあり、台数は8台分と少ない。外観をじっくり見るなら、ドームのある東正面を少し離れた位置から見上げると、ポーチと2階の窓飾りの関係がつかみやすい。

Q&A

Q旧中島病院本館はいつ建てられ、いつ登録有形文化財になりましたか?
A旧中島病院本館は大正6年(1917年)の建築で、平成22年(2010年)9月10日に登録有形文化財に登録されました。登録番号は33-0234です。
Q旧中島病院本館(城西浪漫館)の開館時間と入館料は?
A午前9時から午後5時まで開館し、入館は無料です。月曜日(祝日の場合は翌日)が休館で、1階の喫茶室は午前10時から午後4時まで営業しています。
Q旧中島病院本館の館内は写真撮影できますか?
A岡山県の観光公式サイトでは館内の撮影ができると案内されています。2階の貸しギャラリーの展示は主催者の条件に従ってください。
Q旧中島病院本館へはJR津山駅からどう行けばよいですか?
AJR津山駅から歩いて約20分です。車の場合は中国自動車道の院庄インターチェンジから約10分で、来館者用の駐車場が田町93番地1に8台分あります。
Q旧中島病院本館の外観で特に見ておきたいところは?
A東正面の玄関ポーチの上にあるドーム状の屋根と、小豆色の掻き落とし壁に並ぶ人造石のコリント式の柱です。ドーム部分には当初のスレート葺の名残があります。

基本情報

名称旧中島病院本館(城西浪漫館)
所在地岡山県津山市田町122
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成22年(2010年)9月10日登録
員数1棟
寸法木造2階建、鉄板葺一部スレート葺、建築面積127平方メートル
所有者津山市
公開状況城西浪漫館として公開(午前9時〜午後5時、月曜休館、入館無料)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁):旧中島病院本館
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00008367
文化遺産オンライン(文化庁):旧中島病院本館
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/224019
津山市:中島病院旧本館(城西浪漫館)概要書
https://www.city.tsuyama.lg.jp/common/photo/free/files/11453/201812190819460977621.pdf
岡山県:岡山県の近代建築ガイドブック(城西浪漫館)
https://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/504532_3774578_misc.pdf
城西まちづくり協議会:まちの駅(城西浪漫館)
https://josai-machidukuri.com/machinoeki/
岡山観光WEB(岡山県観光連盟):城西浪漫館
https://www.okayama-kanko.jp/spot/detail_10508.html
岡山医学会雑誌:中島病院の沿革と現状
https://ousar.lib.okayama-u.ac.jp/files/public/6/62044/20210603140254401316/133_76.pdf

最終更新日: 2026.10.02