本源寺とは ― 津山藩主森家の菩提寺に残る5棟

本源寺は、岡山県津山市小田中にある臨済宗妙心寺派の寺院で、慶長12年(1607年)上棟の本堂をはじめとする5棟が、平成25年(2013年)に重要文化財に指定された。

津山城を築いた森忠政が整えた、森家の菩提寺である。前身は津山市神戸にあった美作の安国寺で、慶長8年(1603年)に美作へ入封した忠政が小田中の丘陵地へ移し、慶長12年に現在地へ移して龍雲寺と改めた。いまの寺号は、天和3年(1683年)の忠政の五十回忌に、その院号をとって名づけられたものである。

指定の対象は本堂、庫裏、霊屋、霊屋表門、中門の5棟で、本堂の棟札1枚が附として加わる。

伽藍は南北の軸に沿って並ぶ。南の総門から参道が北へ延び、中門をくぐった先に本堂が建つ。庫裏は本堂の東に並び、渡廊下でつながっている。本堂の北西が森家の墓所で、本堂の西にある霊屋表門の内側に、霊屋が南を向いて建つ。

国の指定を受ける前の平成21年(2009年)には、本堂と庫裏が津山市の、霊屋と霊屋表門が森家の墓塔や石敷の参道とともに岡山県の文化財となっていた。5棟が一括して国の指定に移ったのは、その4年後である。

本源寺が重要文化財に指定された理由

文化庁の解説は、慶長期にさかのぼる方丈形式の本堂を中心に、庫裏、中門、彫刻で飾られた霊屋までがひとまとまりで残る点を評価している。地方の大名家が菩提寺として建てた臨済宗寺院の、初期の姿を示す遺構という位置づけである。

本堂は桁行25.3メートル、梁間18.9メートル。禅寺の仏殿の形ではなく、住職の居所でもある方丈の形式をとり、部屋を2列3段に並べる六間取を基本とする。目を引くのは西列北側の部屋で、ここを御座間とし、奥に上段と位牌壇を設けている。文化庁は、慶長の建立時から位牌堂の機能を方丈の間取りの中に取り込んだ本堂の特徴がよく残る、と述べる。

正面の広縁の表側の建具や、南面東隅の玄関など、後の時代に手が入った部分はある。岡山県の解説によれば、いま正面に開く花頭窓も改変後のものだという。それでも柱、梁組、平面の構成は建立当初の姿をとどめている。

霊屋と霊屋表門は寛永16年(1639年)の建立で、忠政が没してから5年目にあたる。庫裏は延宝年間(1673〜1681年)頃とみられる。中門は文化庁の解説で江戸時代初期、棟ごとの記載では17世紀中期とされる。本源寺の建物は、桃山時代の本堂から江戸時代中期の庫裏まで、段階を追って整えられてきたことになる。

本源寺の見どころ ― 霊屋の彫刻と方丈形式の本堂

霊屋と霊屋表門

本源寺の境内でもっとも手の込んだ建物が霊屋である。3間四方の宝形造で屋根は銅板葺、正面に唐破風屋根の向拝を付ける。向拝の柱頭には金襴を巻いたような地紋彫、頭貫には亀甲模様の地紋彫が刻まれ、破風や垂木の先まで細かな彫刻で埋められている。正面中央には朱漆塗の桟唐戸を吊り、両脇に花頭窓を開く。

内部は中央の8畳を上段とし、天井は折上格天井、その中央を円く縁取った鏡天井に龍を描く。背面に張り出した位牌壇には、津山市の資料によれば森忠政ら28基の位牌が祀られている。霊屋は平成18年度から19年度(2006〜2007年)にかけて解体修理を受けた。

霊屋表門は1間1戸の四脚門で、平唐門と呼ばれる形をとる。本柱は円柱、控柱は角柱で、石の礎盤の上に立つ。蟇股の彫刻、冠木の先端の八双形の彫刻、桟唐戸の幕板の地紋彫など、霊屋と同じ水準の細工が門の各所に見られる。門をくぐると石敷きの参道が延び、霊屋の背後には森家一門7人の五輪塔が並んでいる。

本堂と庫裏

本堂は一重の入母屋造、桟瓦葺で、南面に唐破風の庇を付ける。中央南の室中は21畳で、その北が仏間になる。室中、仏間、正面広縁の北半を鏡天井とし、ほかの部屋は棹縁天井である。室中の正面と東・北・西の境には筬欄間がはまる。正面の西寄りには御成玄関があり、七畳半と御次の間を通って御座間へ進む。藩主の来訪を前提にした入口と部屋の連なりが、そのまま平面に残っている。

庫裏は本堂からやや遅れて延宝年間頃に建てられた。桁行20.0メートル、梁間12.0メートルの切妻造で、南の妻側を入口とする。南から2間半が土間で、西側の土間の東北隅に大竈を据え、土間は吹き抜けにして梁組を見せる。屋根の東面には煙出しが2か所切り上げられ、上部にはつし二階がある。本堂とは桁行12.5メートルの渡廊下で結ばれている。

中門

参道で最初に出会う本源寺の指定建物が中門である。1間1戸、切妻造桟瓦葺の薬医門で、断面が長方形の五平の本柱で冠木を受け、それと直交する梁を4本渡す。梁の上の大瓶束は頭部の四方に拳鼻を付け、垂木には反りがある。扉は格子戸で、腰を板張りとする。

本源寺の拝観方法とアクセス

本源寺は拝観でき、拝観料は200円である。岡山県の文化財紹介は、住職が不在のこともあるため事前に連絡するよう求めている(電話0868-22-7351)。本堂、庫裏、中門、霊屋表門は外から見られるが、霊屋の扉はふだん閉じられている。霊屋の内部が公開されるのは、森忠政の命日である7月7日の法要に合わせた1週間ほどで、年ごとの期間は寺に確かめておきたい。堂内の撮影については公表された案内が見当たらないため、拝観の際に寺で確認してほしい。

本源寺へはJR津山駅から徒歩で約20分。車なら中国自動車道の院庄インターチェンジから約10分で、岡山県の文化財紹介は津山インターチェンジから約15分としている。駐車場がある。

本源寺は津山城跡の西、寺院が集まる城西地区にある。総門は町の変化のなかで境内から切り離され、道の中ほどに残っている。

Q&A

Q本源寺はどこにありますか?駅からの行き方は?
A本源寺は岡山県津山市小田中にあり、JR津山駅から徒歩で約20分です。車では中国自動車道の院庄インターチェンジから約10分で、駐車場があります。
Q本源寺の拝観料はいくらですか?予約は必要ですか?
A本源寺の拝観料は200円です。住職が不在のこともあるため、岡山県の文化財紹介は事前の連絡を求めています。問い合わせ先は寺の電話0868-22-7351です。
Q本源寺の霊屋の内部はいつ見られますか?
A本源寺の霊屋はふだん扉が閉じられています。森忠政の命日である7月7日の法要に合わせて、1週間ほど内部が公開されます。期間は年によって変わることがあるため、寺への確認をおすすめします。
Q本源寺で重要文化財に指定されているのはどの建物ですか?
A本源寺の本堂、庫裏、霊屋、霊屋表門、中門の5棟で、本堂の棟札1枚が附として含まれます。平成25年(2013年)8月7日に重要文化財に指定されました。
Q本源寺の本堂はいつ建てられ、どんな特徴がありますか?
A本源寺の本堂は慶長12年(1607年)に上棟した方丈形式の建物で、桁行25.3メートル、梁間18.9メートルあります。西列北側の御座間の奥に上段と位牌壇を設け、藩主一族の位牌を祀る機能を間取りに取り込んでいる点が特徴です。

基本情報

名称本源寺(本堂、庫裏、霊屋、霊屋表門、中門)
所在地岡山県津山市小田中
指定区分重要文化財(建造物)
指定年平成25年(2013年)8月7日
員数5棟(附 棟札1枚)
寸法本堂 桁行25.3m・梁間18.9m、庫裏 桁行20.0m・梁間12.0m
所有者本源寺
公開状況拝観可(拝観料200円、事前連絡を推奨)。霊屋内部は7月7日前後の約1週間のみ公開

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)「本源寺 本堂」
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/102/00004698
国指定文化財等データベース(文化庁)「本源寺 中門」
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/102/00004702
文化遺産オンライン「本源寺 本堂」
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/207007
岡山県「本源寺 本堂、庫裏、霊屋、霊屋表門、中門」(岡山県の文化財)
https://www.pref.okayama.jp/uploaded/attachment/260707.pdf
岡山県「国指定文化財一覧(その5)重要文化財(建造物)」
https://www.pref.okayama.jp/page/detail-50626.html
津山市「本源寺津山藩主森家一門墓 附参道、石灯籠」
https://www.city.tsuyama.lg.jp/common/photo/free/files/2366/201509171610130523073.pdf
広報津山 特集「城西地区を歩く」
https://www.city.tsuyama.lg.jp/common/photo/free/files/14149/798_06-07.pdf
岡山観光WEB「本源寺」
https://www.okayama-kanko.jp/spot/detail_10582.html
ふるさとおこしプロジェクト「津山城下最大の寺院集積地 江戸時代の面影を感じながら歩く」
https://www.jr-furusato.jp/magazine/9227/

最終更新日: 2026.10.02

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  1. 本源寺 中門 0.00 km
  2. 本源寺 本堂 0.04 km
  3. 本源寺 霊屋表門 0.04 km
  4. 本源寺 庫裏 0.05 km
  5. 本源寺 霊屋 0.06 km