庫裏とは
庫裏は、寺院で炊事と僧の生活に充てる建物である。土間と居室からなり、本堂とは別棟として建てて渡廊下で結ぶのが基本になる。
大型の庫裏は諸室を備える。新潟県の慈光寺庫裏は宝暦9年の建築で、「桁行26.7メートル梁間14.1メートル、入母屋造銅板葺で、上手の本堂側に丈室や書院、下手に韋駄天内陣や土間、典座寮などを配し、正面側を土縁とする。江戸後期における曹洞宗寺院の伽藍構成を伝える大型の庫裏」と解説されている。
上手に住持の居室と接客の書院、下手に炊事の場という配置が読み取れる。典座は食事を司る役職で、その居所が下手に置かれる。韋駄天は厨房を守る神である。
本堂と渡廊下で結ばれる。岐阜県の真龍寺玄関及び茶室は大正後期の建築で、「百々ヶ峰南麓の浄土真宗寺院の本堂と庫裏を繋ぐ渡り廊下と、その南側の唐破風玄関、北側の切妻造茶室からなる建物」と解説されている。
堂庫裏形式
本堂と庫裏を一棟に兼ねる形式もある。滋賀県の浄華寺本堂は江戸前期の建築で、「仏堂と庫裏を兼ねた堂庫裏形式の浄土宗本堂。屋根は入母屋造、茅葺(現在鉄板仮覆)の四方に桟瓦葺の庇を付ける農家風の外観となる。間仕切や床、天井などに何回かの改造があるが、近世初期の小規模な道場建築のありさまをしのぶことができる」と解説されている。
農家風の外観という評価が示すとおり、堂庫裏は民家に近い姿になる。専用の本堂を建てる余裕のない小規模な寺院で用いられた。
京都府の仁和寺大玄関や方丈と並ぶ位置づけではなく、庫裏は生活の場である。記録でも本堂や方丈とは別に数えられ、員数も棟ごとに記される。
表記は庫裏と庫裡の両方が用いられる。文化庁の記録では庫裏が多い。
参考文献
- 文化庁 文化財の紹介 国宝・重要文化財(建造物)
- https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/kokuho_bunkazai.html
- 国指定文化財等データベース(文化庁)慈光寺庫裏/上手の本堂側に丈室や書院、下手に韋駄天内陣や土間、典座寮などを配す
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009140
- 国指定文化財等データベース(文化庁)浄華寺本堂/仏堂と庫裏を兼ねた堂庫裏形式の浄土宗本堂
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003106
- 国指定文化財等データベース(文化庁)真龍寺玄関及び茶室/茶室は四畳半で西面に床構え、床脇に円窓、東に水屋を配す
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014385
最終更新: 2026.09.11