平作原発電所鉄管路擁壁及び本館擁壁の概要
平作原発電所鉄管路擁壁及び本館擁壁は、岡山県苫田郡鏡野町上齋原字平作原の発電所本館まわりに昭和3年(1928年)に築かれた石造の擁壁で、平成18年(2006年)11月29日に国の登録有形文化財に登録された。
二つの擁壁からなり、総延長は68メートル。一つは水槽と本館を結ぶ鉄管路の脇に築かれた延長17メートルの擁壁、もう一つは本館の西側と北側を折れ曲がりながら囲む延長51メートルの擁壁である。どちらも花崗岩を谷積で積んでいる。
水槽から下りてくる鉄管も、発電機を収める本館も、平らな土地がなければ据えられない。山が川に迫る平作原でその土地をつくり、支えているのがこの擁壁である。
登録の理由と構造の特色
平作原発電所鉄管路擁壁及び本館擁壁の登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁の解説は、平地の少ない山間部に施設を建てるために必要な構造物であり、地形に沿って高さを変えた外観を持つと記す。
谷積は、石を斜めに傾けて互い違いに落とし込む積み方で、石どうしが噛み合って荷重を分け合う。擁壁の高さが一定でないのは、背後の地盤の高さに合わせて積み上げたためで、斜面の起伏がそのまま石積みの天端の線になって表れている。
平作原発電所では、沈砂池の川側の壁や、余水路の斜面を補強する擁壁にも石積みが用いられた。コンクリートの構造物を石の擁壁が支えるという組み合わせは、この発電所を通して繰り返し見られる。
本館のすぐ脇にある擁壁は、発電所の建物と一体の景観をつくっている点でも、ほかの石積みと少し性格が違う。
平作原発電所鉄管路擁壁及び本館擁壁の見どころ
まず見たいのは、本館の西側から北側へ折れ曲がる51メートルの擁壁である。角をまわるところで石の積み方がどう納まっているか、天端の高さがどこで変わるかを追っていくと、背後の地形が読めてくる。
次に鉄管路の脇の17メートルの擁壁。斜面を下りてくる鉄管に沿って築かれ、管の通り道を確保している。鉄管と石積みを同じ視野に入れると、水の道と土地の造成が一体で計画されたことが分かる。
花崗岩の斜めの目地は、光の当たり方で表情を変える。朝や夕方の低い光の中では、谷積の模様がとくにはっきり浮かび上がる。
見学の条件
平作原発電所鉄管路擁壁及び本館擁壁は、稼働中の平作原発電所の一部として中国電力が管理している。中国電力は発電所の外観はいつでも見学できると案内しているが、敷地内や門や柵で区切られた管理区域には立ち入れない。擁壁は立ち入りが認められた場所から外観を眺める形になる。
所在地は上齋原字平作原1878で、中国電力の案内では中国自動車道の院庄インターチェンジから車で約70分、JR姫新線の院庄駅から車で約75分である。冬は深い雪に覆われる。
見学料はかからない。外観の撮影を制限する案内は中国電力のページには見当たらないが、管理区域に入っての撮影はできない。
Q&A
- 平作原発電所鉄管路擁壁及び本館擁壁とは何ですか?
- 平作原発電所の鉄管路の脇と本館のまわりに昭和3年(1928年)に築かれた花崗岩の谷積の擁壁です。総延長68メートルで、平成18年(2006年)に登録有形文化財になりました。
- 平作原発電所鉄管路擁壁及び本館擁壁はどのような構成ですか?
- 鉄管路の脇の延長17メートルの擁壁と、本館の西側と北側を折れ曲がって囲む延長51メートルの擁壁の二つからなります。
- 平作原発電所鉄管路擁壁及び本館擁壁の見どころは?
- 地形に合わせて高さを変えた石積みの天端の線と、花崗岩を斜めに積んだ谷積の模様です。
- 平作原発電所鉄管路擁壁及び本館擁壁は見学できますか?
- 外観はいつでも見られ、料金はかかりません。発電所の敷地内や管理区域には入れません。
- 平作原発電所鉄管路擁壁及び本館擁壁へのアクセスは?
- 所在地は岡山県苫田郡鏡野町上齋原字平作原1878で、院庄インターチェンジから車で約70分、JR院庄駅から車で約75分です。
基本情報
| 名称 | 平作原発電所鉄管路擁壁及び本館擁壁 |
|---|---|
| 所在地 | 岡山県苫田郡鏡野町上齋原字平作原1878 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成18年(2006年)11月29日登録 |
| 員数 | 1所 |
| 寸法 | 総延長68メートル(鉄管路擁壁17メートル、本館擁壁51メートル) |
| 所有者 | 中国電力株式会社 |
| 公開状況 | 外観のみ見学可(敷地内は立入不可) |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース「平作原発電所鉄管路擁壁及び本館擁壁」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006052
- 文化遺産オンライン「平作原発電所鉄管路擁壁及び本館擁壁」
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/119127
- 文化庁 国指定文化財等データベース「平作原発電所本館」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006051
- 中国電力「平作原発電所の歴史|歴史的電力遺産」
- https://www.energia.co.jp/isan/heisakubara_history.html
- 中国電力「平作原発電所|歴史的電力遺産」
- https://www.energia.co.jp/isan/heisakubara.html
- 鏡野町公式観光サイト かがみの旅とくらし「恩原湖」
- https://www.kagamino.holiday/spot/entry-322.html
最終更新日: 2026.09.25