寶福寺秋葉宮五社明神宮 ― 本殿の背後に並ぶ5基の石祠

寶福寺秋葉宮五社明神宮(ほうふくじあきばぐうごしゃみょうじんぐう)は、岡山県総社市井尻野の寶福寺境内、秋葉宮の本殿背後に並ぶ明治25年(1892年)の石祠群で、2009年(平成21年)4月28日に国の登録有形文化財に登録された。

本殿の後ろに東西へ細長い石積の基壇を築き、その上に同じ大きさ・同じ形式の石祠を5基、横一列に据えている。1基の大きさは正面0.62メートル、側面0.68メートル。石製の基礎石の上に、側面と背面を石板で囲い、正面には板扉を立て、軒先がゆるやかに反る入母屋造の屋根をのせる。建物というより工作物に近い規模だが、文化庁の区分では建築物として扱われ、員数は「1所」と数えられている。

登録上の建築面積は2.1平方メートル。石祠1基の平面(0.62メートル×0.68メートル)を5倍するとちょうどこの値になり、面積が基壇ではなく石祠そのものの広さを指していることがわかる。秋葉宮の登録5件のうち、築造の年まで判明しているのは寶福寺秋葉宮五社明神宮(1892年)と手水舎(1894年)の2件だけで、ほかは「明治中期」とされている。

登録の理由と価値

寶福寺秋葉宮五社明神宮の登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。文化庁の解説は、この石祠群が秋葉宮の境内に落ち着きを与えていると述べる。

その意味は現地に立つとよくわかる。秋葉宮の建物は、南の長い石段、拝殿、渡殿、本殿と、斜面を上へ奥へと重なっていく。その最後に、低く水平に延びる石積基壇と、同じ形の小祠が等間隔に並ぶ。縦に積み上がってきた構成を、横一列の静かな線が受け止めて終わらせている。1基だけでは目立たない石祠が、5基揃うことで境内の奥の輪郭をつくっている。

寶福寺は臨済宗東福寺派の禅寺で、室町時代の画僧雪舟が少年時代に修行した寺として知られる。戦国時代の兵火のあと江戸時代から再興が進められ、現在は24件の建造物が登録有形文化財となっている。寶福寺秋葉宮五社明神宮の登録番号は33-0225である。

見どころ

寶福寺秋葉宮五社明神宮の前では、5基を一度に眺めてから、1基ずつ近づいて見比べてみたい。寸法も形式も揃えてあるのに、石の肌合いや苔の付き方、扉板の風化の具合がそれぞれ違う。130年あまり同じ場所で雨風を受けてきた結果である。

屋根に注目すると、石で刻んだ入母屋の軒先がわずかに反り上がっている。硬い石材で木造の屋根の曲線を写した部分で、正面から見るより横から見たほうが反りがよくわかる。

基壇の石積みも見逃せない。東西に長く積まれた石が、傾斜地のなかに5基分の水平な台をつくっている。手前の本殿の組物や雲龍の彫刻と見比べると、同じ秋葉宮のなかで木と石、装飾と簡素が対になっていることに気づく。

見学の手引き

寶福寺秋葉宮五社明神宮は、寶福寺の境内の北西、秋葉宮の本殿の裏手にある。寺の参拝時間は午前5時から午後5時までで、境内の見学に拝観料は設けられていない。石祠は屋外にあるため、時間内であれば外から見学できる。

伽藍の中心から北西の高台へ、石垣に挟まれた石段を上ると秋葉宮の拝殿に着く。石祠群はそこからさらに奥、本殿の後方に位置する。祠の扉には手を触れず、正面から静かに見学したい。

公共交通ではJR総社駅から徒歩約30分。車の場合は岡山総社ICから約15分で、普通車75台の駐車場が使える。撮影の可否について寺や観光案内に明記はないが、祠の正面をふさがないよう配慮したい。紅葉は例年11月中旬が見ごろとされる。

Q&A

Q寶福寺秋葉宮五社明神宮とはどのようなものですか。
A秋葉宮の本殿背後の石積基壇に、同じ規模・形式の石祠5基を並べたものです。明治25年(1892年)の築造です。
Q寶福寺秋葉宮五社明神宮はいつ登録有形文化財になりましたか。
A2009年(平成21年)4月28日です。登録番号は33-0225、登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」です。
Q寶福寺秋葉宮五社明神宮の石祠の大きさは?
A1基あたり正面0.62メートル、側面0.68メートルです。5基を合わせた建築面積は2.1平方メートルです。
Q寶福寺秋葉宮五社明神宮の石祠はどんな造りですか。
A石製の基礎石の上に、側面と背面を石板で囲い、正面に板扉を立て、軒がゆるく反る入母屋造の屋根をのせています。
Q寶福寺秋葉宮五社明神宮は自由に見学できますか。
A屋外にあり、寶福寺の参拝時間(午前5時から午後5時)内であれば見学できます。拝観料の設定はありません。

基本情報

名称寶福寺秋葉宮五社明神宮(ほうふくじあきばぐうごしゃみょうじんぐう)
所在地岡山県総社市井尻野2068-4
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年2009年(平成21年)登録
員数1所(石祠5基)
寸法石造、石祠5基及び基壇、各石祠正面0.62メートル・側面0.68メートル、建築面積2.1平方メートル
所有者宗教法人寶福寺
公開状況屋外のため見学可(拝観料なし)

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)寶福寺秋葉宮五社明神宮
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00007686
文化遺産オンライン 寶福寺秋葉宮五社明神宮
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/143448
総社市 国登録_宝福寺建造物群(方丈・庫裏・仏殿など全24件)
https://www.city.soja.okayama.jp/soshiki/26/2960.html
総社市 国指定_宝福寺三重塔
https://www.city.soja.okayama.jp/soshiki/26/2878.html
岡山観光WEB 宝福寺
https://www.okayama-kanko.jp/spot/detail_10821.html

最終更新日: 2026.09.10